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ディストピアへ堕り立った大罪人③


 言葉は産まれない。


 「五月蝿うるさい。五月蝿い。五月蝿い。五月蝿い。五月蝿い…。貴様も弾けて消えろ…。」


 姫川が両の手を合わせようとした時。


 【子宮に沈める】

 と月執の言葉が沈下した。


 姫川の瞳が見開かれ、その両の手は重力を受け、ダラリと垂れ下がる。


 「【ディストピア】の爆破させる能力の発動条件・・・・は両の手を合わせる事だろ?」


 月執は嗤う。


 「何だ…。コレは…。」


 姫川の思考回路が様々な思考で埋め尽くされていく。現在いま、受けている攻撃が余りにも想定外の出来事で脳内で言葉が噛み合わなくなり、論理的思考が組み立てられなくなっていた。


 ユックリと重力に逆らう様に…。

 空から降下する月執。

 月執は更に言葉を重ねる。


 【モス・イントゥ・フレイム】


 月執を中心とした半径四メートルに炎の壁が出現した。その中心の炎は色彩豊かに輝き、バチバチと轟音を放っている。月執の肉体には防火服が顕現されていた。四層構造の造りで、内側が難燃性繊維。中層が透湿防水層。外側が耐炎、耐熱性繊維。そして、一番外側は…。世界が変貌した日、月執が殺した、虚人と化してしまった父母の血と肉と皮膚で構成されていた。月執の顔を左右から包み込む様に右に父、左に母の顔が張り付いている。父母の削ぎ取られた耳の穴から月執の瞳が姫川を覗き、口の付近にある防護マスクから二本の管が生えていた。そして…管は其々、父母の口へと繋がっている。其処から酸素が供給され…コシュー。コシュー。と音が漏れていた。


 「あの日。虚人化したパパとママを私は殺した。虚人化した人間は元には戻らないから…。虚人は【不死】の特性があるけれど…。私にはソレは意味が無かった…。何故だと想う?」


 月執は問うた。然し呆然とした姫川からは言葉は産まれない。


 「【暴食】の能力で虚人の【不死】の特性を喰らい尽くしたんだよ…。」


 と、月執は舌舐めずりをした。


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