ディストピアへ堕り立った大罪人①
ハンデをやるよ。
「覚醒めろ。サラ…。」
月執が語り掛けるとユラユラと蠢く大量の血液は…。人の形を成していく。
ウェイブした赤髪は鎖骨のラインで左右に揺れ、長い睫毛が吊り目を際立たせている。白い肌。薄めの桃色の唇が印象的だった。淡い水色のベビードールに身を委ねた大人でも子供でも無い中性的な人物が其処にはいた。サラと呼ばれた人物は月執を視るなり本能で理解する…。
「初めまして、貴方が御主人様の明日花様ですね。コレから宜しくお願い致します。」
姫川は無言で月執を睨め付ける。
月執は頸動脈付近を指差して…。ハンデをやるよ。【ディストピアの首輪】を嵌めさせてやる。なんなら時間もくれてやる…。悔いの無い様に万全の準備をしろ。と挑発した。
「黙りだった貴方が今更、何を強がっているのですか?ソレにソレは?」
姫川はサラと呼ばれた人物を指差す。
「いいから。早く首輪を嵌めろ。それなら嵌めた相手の能力が解るんだろ?【虚飾】は解除しといたから、現在の御前の能力なら私の能力が解る筈だ。あぁ。あと…。その隠し持っている心装人器も忘れずに身に付けろよ。」
ギリッと歯を噛み締める音がした。姫川は我を忘れていて致命的な事を見落とし、聞き落としている。
貴様如きに使う必要は無い…。と姫川は嘯き【ディストピア】の名を示した。月執の首に【ディストピアの首輪】が顕現する。
姫川の脳内に月執の能力が刻まれる。
「何なのよ…。これ…。」
「ソレが真実だ。」
一時の間が空いた…。
「巫山戯るのも大概にしろよ。この虚言者が…。貴様も跡形も無く消えて無くなれ。」
【ディストピア】の権能が発動する。月執の肉体が宙に浮上していく。
「ねぇ。助けなくて良いの?」
サラは足元の二つの影に問う。
そして…。
その二つの影も人の形と成った。
「久しぶりだね。」
「元気だった?」
ルルとベルーゼは言葉を重ねる。
「あのねぇ。質問の答えに無ってないのよ。相変わらずね。あんた達。」
呼ばれるまで動くなって云われたんだもん。と、ルルは欠伸をしながら答え、それに心配するだけ無駄…。視てれば解る。とベルーゼは云った。




