コレは少し前の物語。
見つかった?
「傷を舐めて欲しかったの…。」
モニターに映る【所在無き風船】は…。
潸潸と泣いている。
その直後…。
解り難かったけれど、やっと確信出来た…。と月執は小さく呟いた。すると月執の足元の十ある影の内の三つの濃い影の一つがトプリと浮かび上がり…。その影は立体となり人の形を創った。
「ルル?」
月執は影に問う。
「ん。」
幼い声で言葉が返ってくる。
透き通る白い肌。寝癖の付いたクリーム色のボサボサとしたショートボブで寝惚け眼。ナイトウェア姿の枕を抱えた十二歳程の少女がいた。
「見つかった?」
「あの子。そうじゃない?」
月執はモニター越しに【所在無き風船】を指差した。ルルと呼ばれていた少女が画面を眼を細めて覗き込む。
「明日花の直感?」
再び、モニターを凝視する。
「姿形が違うけど…。…。…。…。あぁぁぁぁぁ。やっと解ったぁ。でもよく解ったねぇ。アレは普通気付かないって…。ソレでこそ僕等の主だねっ。でも、あの子何か混ざっちゃってるみたい…。彼女の名前はサラ…。」
ルルは、三度、画面を凝視する。
「あぁ。どうやら記憶を無くしてるっぽいね…。だから気付か無かったのか…。」
そっか…。と言葉を漏らすと…。月執は欠伸をしながら背伸びをした。
「ベルーゼ、ジェーンいる?」
「はぁぁい。」
月執の九つある影の内の濃い三つの影の一つがグニャリと浮かび上がった。影は立体となり人影を創る。
透き通る白い肌。金髪のツインテール。その瞳は燃える様に紅く、ゴシックロリィタの服装に身を包み、大きめの狼の人形を抱えている十二歳程の歳の少女となった。
「ジェーンは?」
「寝てるみたい。」
「ルルが起きてるのに?」
月執はルルを視る。何故かピースサインを向けているルルがいた。
「起こす?」
「うぅん。寝てるなら無理矢理に起こすのも可哀想でしょ…。まぁ。ソレはそれとして…。」
月執はモニターを指差し…。何か気に食わないから…。彼奴は殺す…。身体も鈍ってきた事だし…。少しは殺る気でも出すか…。と告げ、席を立った。モニターには腕を組み醜悪な笑みを浮かべた姫川が映っている。
「ルル。ベルーゼ。力貸せ。」
二人の少女は月執の腕を掴むと…。
「ん。」
「はぁぁい。」
と、満面の笑みで返事をしたのだった。




