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巫蠱の儀④


 風船の様に膨らんで…。

 爆ぜたんです。


 「一つだけ質問が…。」

 と月執は深く被ったワークハットから瞳を覗かせた。


 「普通に考えるとギルドで依頼した方が効率的なのでは?」


 いえ。と九条は首を左右に振る。そして…。これは個人的な復讐なんです…。と頭を垂れた。


 「復讐?」


 「はい。私には婚約者がいました…。彼…。ギルドの副マスターをしていたんです…。」


 と、九条の瞳からは涙が流れる。


 「この噂が流れ始めた頃。彼自身が噂の真相を確かめる為、新興宗教【胎天地心教】へと単身調査に向かいました。彼の咎は戦闘向きでしたから一人でも問題無いと…。実際、彼は満身創痍でしたが、無事に帰ってきました。」


 でも…。と九条は眼を閉じた。九条の肉体が小刻みに震えているのが解る。九条は両の手で、その震えを抑えると…。


 「胎天地心教で何が起こっているのか、話しをしようとした瞬間…。彼は…。爆ぜたんです…。」


 と云った。


 「爆ぜた?」

 月執は首を傾げる。


 「はい。風船の様に膨らんで…。爆ぜたんです。最初、何が起こったのか解らなかった…。彼が死んだと云う真実を受け入れられなかったんです。」


 九条は言葉に詰まる。そして…途切れ途切れに言葉を編んでいった。


 「その後。ギルドとしても見過ごせなくなり数名、名のあるメンバーを【胎天地心教】の元へと送り込んだのですが…誰一人として帰っては来なかった…。そして…。この件について誰も触れてはならない事となってしまいました…。ですからギルドとしてではなく、個人的に貴方に依頼をするしか…。」


 月執は珈琲を飲み干すと席を立つ。


 「何処にあるの?」


 「えっ?」


 「だから、その【胎天地心教】は何処にあるの?って聞いてんの。」


 「受けてくれるのですか?ですが…報酬の話は?後、貴方が求めている情報は?出来る限り力になりますので…。」


 「あぁー。報酬はさっきの珈琲で良いよ。知りたかった情報は知れたし、私は、その祭典って云うのに興味があるだけ。残りは、ついで。」


 九条は呆けた顔をしている。そんな九条を優しい瞳で視ると。


 「ついでだけど。仕事はちゃんとするからさ。だから泣かないで【胎天地心教】とやらの場所を教えて。」


 と月執は云った。



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