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行間 片山


 【咎】とは個人の写し鏡。個人の思想、経験から産み堕とされる能力である。


 片山は控え室でモニターを眺めていた。その胸中にはまたしても違和感が在った。以前にも感じていた、過去に観た月執の戦闘スタイルとの差異である。過去に月執の戦闘を視た際の狂気を一切感じなかったからだ。そう。あの時の月執は理性の無い人の姿を模した【化物】だった。その存在其のモノが片山の記憶の淵に畏怖の念を刻み込んでいたからである。


 片山は理解している。【咎】とは個人の写し鏡。個人の思想、経験から産み堕とされる能力である事を…。


 『彼女は解離性同一性障害かいりせいどういついしょうがいなのだろうか?』


 片山は以前、聞いた事があった。様々なケースが有るらしく一概には云えないのだが…。解離性同一性障害の場合は人格によって、能力が変化する場合がある…。一種類の【咎】で人格により能力の性質が変わる者。数種類の【咎】を人格別に持つ者もいるのだと…。


 『あの時の彼女の戦い方は物理攻撃に特化した戦い方だった…。【正義】の【咎】と云われても納得するぐらいに好戦的だった…。だけど…現在いまの戦い方は残酷ではあるが好戦的とは違う…。纏っている気質も違う…。普段の彼女との落差も気にはなる。彼女は複数の人格を抱えているのだろうか?』


 片山は…。

 もう一度モニターに眼を向ける。モニターの向こうには欠伸をし、涙を拭っている月執が視えた。


 フッ。と…。

 片山の唇から笑みが零れたのだった。


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