控え室より愛と殺意を込めて②
不条理でしょ?
「痛いでしょ?」
月執は艶の無い瞳を白鷺に向けた。白鷺は翅が千切れ空から降下する。
「不条理でしょ?理不尽でしょ?抗う事も何も出来ずに…。貴方は、ただ千切れていくだけ…。」
そう云うと、また月執は写真の様なモノを破った。ビリッと音が産まれ…。次は白鷺の左翅が千切れて堕ちた。ソレでも…。白鷺は激痛に耐えながらも思考を巡らせていく。
『翅は私の意思が炎で形成したモノ。なのに…。何故…。再生しない…。』
「関係無いの…。」
月執は白鷺の思考を読んだかの様な言葉を突きつける。
「魂魄って知ってる?」
「…。」
白鷺は苦痛に身悶えていた。月執はそんな白鷺を見下ろしながら言葉を紡いでいく…。
「魂魄…。仏教や道教での死生観、霊魂の概念でね。人間の精神を司る【陽】の【魂】と、肉体を司る【陰】の【魄】から成り立っている…。写真の中には、その人の魂魄の内の魂。つまり…。精神が封じ込められている状態になっている。ねぇ。聞いた事無い?写真を撮られると魂が抜かれるって迷信。」
月執は艶の無い瞳で嗤う。
「それでね。面白いのが魂魄ってリンクしててね…。魂を抜かれても、魂と魄は繋がった状態として扱われているから不思議と誰も気付かない。でも…。私の【知識の咎】【レディ・ピクチャー・ショー】は写真に封じ込められている魂に直接【干渉】出来る。」
と云う事は…。そう云いながら月執は写真の左右に指を添え、右と左で其々前後に力を加えていった。徐々にユックリと写真の上部中央付近に亀裂が入る。
「こうすれば…。魂は千切れていく…。」
白鷺は断末魔の叫びをあげ…。
肉体は引き裂かれていった。
モニター越しの姫川は引き裂かれていく白鷺を見つめていた。白鷺の首輪が割れた時…。姫川の白鷺への想いが断ち切られた様に感じた…。




