控え室より愛と殺意を込めて①
死刑囚でも無い私が此処に居る理由解る?
「合併症?」
姫川佳乃はモニターを凝視していた。画面の向こうでは月執の両の手の間に一枚の写真の様なモノが視える。その写真の様なモノには白鷺の姿が写り込んでいた。姫川が白鷺に嵌めた首輪へと意識を集中させると、モニター越しの二人の会話が鮮明に脳内で響き渡った。
「此れが私の【咎】【レディ・ピクチャー・ショー】。現在、私の能力で貴方の事を写真として残した…。別に能力で写した写真じゃなくても良いんだけどね。被写体の人生の一部を切り取ったモノで顔が写っているモノ何でも…。」
姫川は記憶を弄る。胎天地心教の信徒の一人、漆川の【咎】【壁越しの監視者】の能力の解析結果では合併症の事は記載されていなかった。でも…。ソレは理解出来る。人間は成長もするし、堕落もする…。だから後に【合併症】が発症したと云う事は理解は出来る…。でも…。何故か違和感がある…。
白鷺の声が響く。
「ソレが貴方の本当の能力なの?嘘を吐いてたって事?」
「嘘は吐いてないでしょ?隠してただけ…。」
「へぇ…。」
白鷺の瞳は温かい。感心した眼差しで月執を視ている。
まぁ。とりあえず聞いてよ。と月執は手に持つ写真をヒラヒラと靡かせ、挑発するかの様に問う。
「死刑囚でも無い私が此処に居る理由解る?」
「あぁ。何か聞いたような…。確か予選前に一人死んだとか聞いたわね。」
「そう。私が殺した。この能力で…。」
その言葉を聞いた姫川は違和感の正体に気付く…。
『轟京也が殺された時には…。その【咎】を持っていた?漆川が調査したのは、直後だった…。それなのに何故…。漆川の【壁越しの監視者】の能力を欺けたの?』
月執は白鷺の姿が写り込んだ写真を白鷺の前に差し出し、写真の一部を破いた。
ビリッと音が木霊する…。
すると眼前の白鷺の右の翅が…。
千切れて墜ちていった。
彼女は自分の名を知らない。
彼女は自分の顔を知らない。
名前も顔も知らない。
痛みは…。その儘に…。ある儘に…。




