表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
118/149

揚羽と罪人②


 ジシアノアセチレンとオゾン…。


 ゴウッと音が爆ぜた。爆炎が白鷺の肉体を形成・・していった。炎の性質と色彩を変化させ、無機物と有機物を彷徨い歩く。其処には理屈も原理も常識すらも無くなった。炎の熱が凝縮していく…。白鷺の体温だけが約5800°Cの高熱を発していた。


 「ジシアノアセチレンとオゾンの混合炎。此れは化学反応による燃焼で…。約5800°Cにも達する。つまり太陽の表面温度をも超える温度…。」


 白鷺の廻りには一切の熱は無い…。


 「私の炎は…。いずれ太陽すらも超越する…。」


 白鷺の背に鮮やかな色彩を纏ったはねが現れる。空を舞う白鷺の肉体は揚羽蝶の形態と人間の姿が混合している。その複眼は大きく、その中では数え切れない数の人の瞳孔が蠢き、翅を動かす度に火の粉が鱗粉の様にヒラヒラと空を漂った。


 月執は地面に拳を叩き付けた。ドガッと音がして地面は崩れる。そして…瓦礫を掴んだ。


 「さて…。灰谷はいたに玲央れおが取った戦法は通用するのか…。」


 月執は瓦礫を放る。放った瓦礫が白鷺の肉体に弾着すると…。ジュッと音と共に瓦礫は消滅した。白鷺の口角が上がる。


 「まぁ。そうなるよな…。それにしても…。」


 月執はそう云うと…。

 白鷺の姿を観察した。


 【あの翅の柄は…。雌雄嵌合体しゆうかんごうたい?特徴からは…。オオムラサキ?マジか…。】


 雌雄嵌合体…。生物に於いて、一つの個体に雄の特徴と雌の特徴を持つ部分が、明らかな境界を持って混在している事。モザイク状態とも云う。


 オオムラサキ…。圧倒的な力強さと気性の荒さで【最強の蝶】とも称される日本の国蝶。 


 貴方も【咎】を使ったら?そう云った白鷺は音を轟かせ、高速で滑空していった。

 

 月執は小さく呟く…。

 【貴方は私よりも遅く。】

 【そして…。私よりも弱い。】


 月執の瞳は…。

 白鷺の動きを完全に囚えた。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ