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巫蠱の儀②


 もしかして…貴方…。

 重罪の咎人?


 月執はギルドへ入るや否や辺りを見渡し、迷う事無く受付へと歩みを進めていく。周囲からの視線が月執の肉体の隅々を射抜いているのだが、当の本人はお構い無しの様子だった。


 いらっしゃい。受付の女性は言葉を置き、月執の様子を観察してから…。貴方、此処らじゃ見掛けない顔ね…。入会希望かしら?と言葉を並べた。


 「いえ。今の所、何処のギルドにも入会する気は全く無いんですけど…。ちょっと気になる事があって…。情報を集めたいんですが…。」


 「何処のギルドにも?」

 受付の女性は、其の言葉に反応し何処のギルドにも所属してないの?嘘付いてない?と月執の瞳を覗き込み訊いた。


 「嘘?どういう事?」

 と、月執は質問に質問で返す。


 「だって、貴方の身形みなりからすると、ソレなりの収入がある筈でしょ?」

 と月執に向かって指を指した。


 月執の肉体はオリーブグレーの長袖ジャケットとカーゴパンツに包まれ、ワークハットからは長い光沢のある黒髪が揺らめいていた。月執は目深に被ったワークハットの下からユルリと鋭い視線を覗かせた。


 「収入はありますよ。ただ何処のギルドにも所属はしていないし…。その必要が無いってだけで…。」


 「貴方、一人で来てるのよね?」

 と受付の女性は入り口の方へと視軸をずらした。


 「一人だけど…。何?」


 「どうやって此処まで来たの?教えて。」


 「質問の意図が解らないんだけど…。」


 「貴方の着ている服ってさ東街区で売られているものよね?…。それで貴方は東街区から西街区の端にある此のギルドまで一人で来たのよね?普通、貴方の様な女性が一人では来れない場所なのよ…。もしかして…貴方…。重罪の咎人とがびと?」


 「?」

 と月執は首を傾げる。


 「あぁ。東街区ではペイシェントって呼ばれているんだっけ?重罪は…。あっ。そうそう。貴方、重病のペイシェントなの?」

 と月執の瞳を再び覗き込み、訊いた。


 「重病とは?」


 「異能力のステージの事。ステージ。つまり段階が上がれば上がるだけ強大な能力になる。貴方のステージは?」


 「あぁ。あれの事?Ⅶですよ。」


 いや。嘘は…。そう云うと受付の女性は月執の瞳を三度覗き込んだ。それから…。えっ?嘘付いてないの?本当に…?と呟いた。すると、受付の女性は月執の手を掴む。突然の振る舞いに月執は少し驚き…。えっ?何?と困惑の表情で、言葉を漏らした。


 「私は九条くじょうそら。貴方に頼みたい事がある。」


 と、九条と名乗る受付の女性は真剣な表情で、月執をギルドの奥へと連行したのだった。

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