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前夜祭 考察。蛾と蝶の相違点①
その姿が愛おしかった。
世界が崩壊する前。私は世界を回す為の歯車としての役割が無い事を知った。私と云う歯車が歪んでいたからだろう。全くと云っても差し支えない程に噛み合わず、機能はしない。精神病質者、所謂サイコパスである事は私自身自覚はしていた。
脳にある恐怖や感情に関わる扁桃体の異常なのだと何かで知った。要は世界に産み堕とされる前、生産過程中に何らかの不具合が生じて、私が造られたと云う事なのだろう。ソレでも、世界はそう云ったモノに対しても人権と云うのを与えてくれるのだから慈悲深いとは思う…。私は私として産まれた。ソレだけの事である。
そう。私は私であった。
物心付いた時から私は私だったのだ。
幼い頃。祖父母の家に預けられる日が増えた頃。祖父は夜に焚き火をする事を愉しんでいた。暗い風景をユラユラと揺らめく炎がパチパチと音を立て染めていく。その光景が好きなのだと云っていた。
私もソレは綺麗だと想う。想うけれども私の心に焼き付いたのは…。綺麗な炎の光に誘われた蛾だった。蛾は炎に吸い込まれる様にパチパチと焼かれていく。
その姿が愛おしかった。




