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前夜祭 君の人生は僕の人生を捕食する


 あの人なら…。

 僕が犯した罪を…。

 罰してくれるだろうか…。


 要塞都市東京へと向かう最中、確か東街区よりも東の辺りを歩いていた時の事。此処ら一帯は廃墟とかした街並で、地面は湿地帯の様に泥濘ぬかるみグチャグチャと足音を装飾する。アレから僕は戦闘を避けていた。【咎】を発現するのなら、厭でも僕の犯した罪を魅せ付けられる気がしたからである…。遊の姿を模した【咎】の存在は、其れだけでも僕を責め立てる。其れが僕を愛していると知ったからには尚更だった。


 雨が降ってきた…。僕は廃墟となった建造物へと侵入する。肉体が冷えてしまったのなら死ぬ確率が増加するだけだからだ。


 死ぬ事に恐怖はしていない。こんな世界だからこそ生きている事に未練は無かった。況してや愛した人が存在しなくなった世界で生きていく意味も無い。


 ソレでも…。僕は死ぬ事を拒絶した。


 生きてさえいれば…。もしかしたら遊を蘇らせる事が出来るのではと淡い希望を抱いたからだった。愛して欲しい訳では無い。僕が犯した罪を罰してほしいと云うエゴだ。


 暖を取り崩れかかっている壁へと背を預ける。パチパチと焚き火は燃えている。眠りにつこうと眼を閉じた時だった。視覚の変わりに聴覚が鋭敏となる。微かに叫び声が聞こえた気がした。


 音の鳴る方へと歩みを進める。


 其処に居たのは爬虫類型の欲獣の群れと戦闘する女性だった。オリーブグレーの長袖ジャケットとカーゴパンツに肉体を包み、目深に被ったワークハットからは長い光沢のある黒髪が揺らめいていた。


 容姿は違う筈なのに…。

 遊に似た雰囲気があった。


 彼女は嬉々として欲獣を狩っている。返り血を浴びても尚、その表情は微笑みを崩してはいない…。


 あの人なら…。

 僕が犯した罪を…。

 罰してくれるのだろうか…。 

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