105/149
前夜祭 僕の人生は君の人生を捕食する④
ソレでも…。
僕は…。
麻痺していた感覚がユルリと戻ってくる。惚けながら欲獣の死体を視た。欲獣の死体は人の形を取り戻していく。ソレが幻覚だったのか現実だったのかは解らない。其処には見慣れた女性の遺体が在った。
【愛した人を殺めてしまった…。】
ソレに気付いたのは数刻後の事。
聲が聞こえた。懐かしい聲だった。
【ステージIIIへと病状進行しました。物質を構成する成分の解析、増減、変化、消失が可能となりました。【所在無き風船】を現実世界に干渉させる事に成功。具現化、意思疎通が可能となります。】
僕の瞳に映ったのは…。遊の姿をした【ナニか】だった。遊とは違う【ナニか】。【咎】とは、その者の心の根幹にある【想い】だと識る。
『やっと逢えた。』
【咎】は云う。
態とらしく、ソレは甘く囁く。
『貴方を愛してるのは私だけ…』
多分、その言葉は…。
遊から云われたかった言葉だ。
この【咎】は遊ではない…。
容姿も声色も仕草も似てはいるけど…。
この【咎】は遊ではないのだ…。
ソレでも…。
僕は…。




