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前夜祭 僕の人生は君の人生を捕食する③


 リョウ…。


 僕は盲目的だった。何も気付いていなかった。違う。気付かない振りをしていただけなのだ。きっと遊は僕との時間を過ごしていたかったのだろう。彼女は心に負った傷を眼に視える形として自傷行為を繰り返していただけだ。僕が寄り添ってあげていたのなら…。僕等は違う結末があったのかも知れない。


 遊が変わってしまったのでは無かった。


 僕が変えてしまったのだ。


 行き場所を失ってしまった風船は、空を自由に飛び回るだけ…。その風船を僕が此の手で掴み続けていたのなら…。彼女は現在いまも僕の傍にいてくれたのだろうか…。


 そして…。

 運命の日。僕は彼女が犯した罪を背負った。彼女の幸せを願ったからだ。


 でも…。僕に待っていたのは彼女からの罰であり、制裁だった。今になって思えば幸福を手放したのは自分自身であり、彼女の裏切りでは無い事を理解している。


 理解してしまった現在いまだからこそ…。僕は犯した罪を償わなければならない。


 僕は刑務所で数多あまたの命を奪ってしまった。ソレが生き残る為だったとしても赦されざる行為には違いは無く、僕は僕の内に在る残虐性を受け入れた。人間とは不思議なモノで罪悪感を抱くのは初めだけで、幾度か繰り返すと感覚は麻痺をしていく。だからなのか刑務所を出る頃には、世界の総てが敵に思えていた。


 外の世界へ出てから幾月か経過した頃。要塞都市東京へ向かう途中、キングコブラに似た姿をした爬虫類タイプの複数の欲獣に遭遇した。つがいと思われる大型が二匹と小型が一匹。特徴としては眼球が無く、眼球部分があわびの様な形状をしている事だった。


 麻痺していた感覚で通常の様に欲獣を蹂躙する。欲獣の血液を増幅させ、肉体を膨張させる。欲獣は膨らみ過ぎた風船の様に破裂した。


 その時だった。

 【リョウ】


 微かに僕の名を呼ぶ声が…。

 聞こえた…。

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