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タイトル未定2025/06/10 19:06

剣と魔法のある世界線の、とある王国の、とある領で、突如、魔物が大量発生した。

同時に神託が降りた。

魔王が産まれ、育ちつつある。

と。

王国は悲嘆にくれた。

だが、神託はそこで終わりでは無かった。

王国に聖女を遣わす。

と。


神託の通り、聖女は現れた。

王国は聖女を旗印に討伐隊を組んだ。

王子も、公爵子息、騎士団長の子息など高位貴族もその一員になり、苦難の旅を乗り越え、とうとう魔王を討伐したのだった。


封印の地は、今は聖域として管理されている。

・・・・・はずだった。




+++++

世に平和が訪れてから二年は経っただろうか。

ある日リュートは王太子に呼ばれた。


リュートは魔王討伐隊の一員であった公爵子息だ。

知識と魔術の腕で討伐隊でも活躍した。

王宮に向かう道中、公爵家の紋を掲げた馬車を見た都民から歓声があがる。

どうも、王都では聖女一行の魔王討伐談が小説になり、劇になり、子供向けの読み物になり広く読まれ支持されているらしい。

大変な旅ではあったが、こうして正当な評価を得ることにリュートは誇りを覚える。

だが、今日のリュートの心は沈鬱なままだった。

王宮についても最上級の扱いですぐさま王太子宮に案内された。

出迎えたのは聖女アイリーン。

美しくも屈託の無い笑顔を浮かべた彼女はドレスの裾を翻して現れ、

「リュー!久しぶり!」

と、声をかけてくれた。

後ろから、追いつけなかったのだろう侍女達がゾロゾロ現れる。

侍女達に『淑女は走ってはならない。』

などと注意をされているのを見ると、リュートの胸はギュッと絞られるような気持ちになった。

王宮ではアイリーンは窮屈そうだ。

本来なら、もっと自由であるはずなのに。


それでもアイリーンは、相も変わらず闊達で、溌剌としていた。

そんな彼女にリュートは恋い焦がれていた。

実際、自分の伴侶にしたいと願い行動すらしていた。

アイリーンの父母は平民であったが、祖父母は没落貴族であったらしい。

それなりの由緒ある血筋であり、アイリーン自身も多少の教育は受けていた。

だから、全くの平民と違う。

そして、聖女だという希有な存在で、公爵家に迎えるのも全く問題は無い。

そう両親を説得した。

だが、同じように思った王太子に先を越されてしまったのだ。

何よりも聖女としての力を持つ彼女を王家が放っておかなかった。

リュートは泣く泣く、アイリーンを王太子に譲った。

何よりもアイリーン自身が王太子の事を望んだから仕方なく。

彼女の為に、身を引いたのだった。

リュートは一生涯、自分の思いはアイリーンに捧げるつもりだった。

今も、これからも。

だから、今回の呼び出しにも、すぐさま応じたのだ。

リュートはアイリーンに近況を聞いた。

困っていることは無いか。

自分が力になれる事は無いか。

と。


「こんな感じで大変なの。」

ペロッと舌を出して笑う彼女。

その仕草をまた注意されて、また笑っている。

その姿は何処までも明るい。


討伐の旅でも彼女は、いつだって前向きで明るかった。

どんな困難な事態でも、その明るさは失われなかった。

その眩しさにリュートはいつでも憧れたのだ。

目を細めて見ていると

「久しぶりだな。」

遅れて王太子が現れた。

アイリーンの表情と違い眉間に皺を寄せている。

「元気そうで何よりと言いたいが、我が婚約者との距離が近いのではないか?」

アイリーンとは真逆の歓迎の意志がない発言。

ストレートに牽制までされてしまう。


アイリーンは

「もう!そんな言い方!!」

などと気安く王太子の肩をパシパシ叩いている。

王太子は一転、表情を和らげ笑顔を浮かべた。

そんな気安い態度の二人を苦い思いでひとしきり見させられた後、応接室へ移動した。

そこで話された事にリュートは眉を潜めた。

「聖女の祠が穢されている?」

「あぁ、祀るべき場所を平民にまで公開しているらしい。有料でな。」

「な・・・。私達が魔王を封印した、かの場所をですか・・。なんと不謹慎な。」

「それだけでは無いようだ。」

更に続いた王太子の説明によると、魔王の封印地を名所として売り出すだけでは無く、領全体が観光地化され、それから得たお金を領主は良いようにしているらしい。

「リュートも知っているだろうが、あの領は爵位返上を打診してくるほど困窮していたからな。」

その実態を調べてくるようにと王太子は言う。

「承知しました。」

リュートは黙って受け入れた。

なぜなら、その土地・・・その領主とはかつて親戚であったからだ。

「大丈夫なの?」

アイリーンが美貌を歪ませて心配そうに言う。

「まぁ、名ばかりとは言え、妻であった者がいる場所だからな。」

妻という単語を強調して王太子が言う。

「そっか、そうだよね。」

アイリーンも納得したように頷く。

リュートは苦笑した。

「確かに、短期間の名ばかり妻であったとは言え、問題を起こせば平等に処罰を与えなくてはならないでしょう。まずは真意を確かめて参ります。」

リュートは苦笑いで応えた。

アイリーンに心配をかけたくなかったからだ。

「うん・・。でも、一回くらいしか会った事ないような人なんでしょう?何を考えているかわからないって前にリューも言っていたでしょう?ちょっと心配。」

「ありがとうございます。でも、聖女アイリーンが魔王を封じた聖なる場所が穢される方が問題です。早急に調べましょう。」

そう伝えてリュートは王宮を後にした。


帰りの馬車内、往路と同じように歓声が聞こえてくる。

リュートは往路とは違う思いで憂鬱になっていた。


何故、アイリーンに想いを捧げたリュートに結婚歴があるかと言うと、事情がある。

討伐隊の編成時に独身男性は除外すべきと王太子が言い出したのだ。

女性は聖女であるアイリーン一人のみ。

外聞を考えて、既婚者で固めたいと。

リュートは王太子からの牽制を感じた。

王も、王妃も、その他の側近。

親世代も、王太子の気持ちに理解を示しながらも、難しい顔をした。

実力を考えればリュートは外せない。

高位貴族としての責務を考えても率先して隊に入れるべきだろう。

ただ、後に聖女を王太子妃とするならば、年の近い独身男性を侍らせての旅は外聞が悪い。


問題は各々の思惑も絡み、複雑になっていった。

しかし、時間は無い。

遅くなればなるほど。魔王達は力を付けてしまうだろう。

そうすれば愛しいアイリーンも危険も増してしまう。

悩むリュートに宰相がある提案をしてきた。

同行するものは、仮初めの婚姻を結ぶのはどうであろう。

リュートは、またも悩んだ。

しかし、すぐに決心した。

決断が遅くなればなるほど、危険は増す。

聖女アイリーンの力になる為には、どんな汚名でも被ろう。

誰に何と思われても構わない。

自分の手で、愛する者を守るには、それしかないのだ。

決心して、結婚できる相手を探した。

自分の愛は与えられない。

討伐の旅が終わればすぐ離婚。

その代わり公爵家の一員となる栄誉を与え、望むものを報酬として与える。

そんな条件のもとで探すが全ての条件を飲むという女性はいないだろうと思えた。

時間も無く、焦る気持ちばかり募る。

出発まで間もない。

そんな中、とある子爵家の長女が自ら手紙を寄越してきた。

曰く、我が子爵家は魔王が産まれた地となり、領地は荒れ、領民は困窮しております。

我が子爵家を経済的にも助けて頂けますでしょうか?

私はそれ以外望みません。

あなたの愛も、公爵夫人としての待遇も求めません。

と、いう内容と共に、手紙の中には身上書と、サイン済みの婚姻書まで同封されていた。


リュートは、すぐさまその子爵家を調べた。

概ね、書いてある内容通りであり子爵家は爵位返上を考える程、困窮しているらしい。

何しろ、父親は魔物に襲われて動けない程の傷を負い療養中。

病弱な母と、健康だがまだ幼い弟しかいない。

この婚姻によって彼女は望む物を手に入れられるだろう。


リュートはその婚姻書にサインをし提出をした。

そうして討伐隊に参加する資格を得ることが出来たのだ。

名ばかり妻となった女性には出発直前に面会した。

リュートは挨拶もソコソコに今回の結婚の条件を再度説明し、討伐終了後には離縁するという条件を足した書面にサインするように伝えて、討伐の旅に出た。

下手に関わって情がわいても困る。

そんな気持ちもあって、殊更事務的な態度を貫いた。

何しろ、討伐が終われば、また他人に戻るのだ。

その方が良いとすら思っていた。

彼女は終始、顔を俯かせてリュートの話を黙って聞いていた。


旅の間中、家族から安否を尋ねる手紙が何度か届いた。

その中には嫁への文句もいくつかあった。

地味。上位貴族としてはもちろん、下位貴族としてのマナーもおぼつかない。

ドレスも、宝石も、靴も、必要な物を買わず身だしなみを整えることもしない。

なのに、金遣いが荒い。

事ある毎に、彼女の実家への仕送りに使ってしまう。

彼女の弟の進学費用や、彼女の父親の治療費や、叔父や、叔母や・・・遠い親戚の家の補修やら、庭の整備や・・果ては温室を強請られたなどなど・・・その他、諸々謎のものに使われていくお金。

契約通り資金援助もしているのに、公爵夫人の為の予算上限一杯まで使い切ってしまう。

婚家を蔑ろにし、実家とばかり懇意にしている。

婚家に馴染む努力もしない。

メイド達に混じって働こうとして、公爵家の品位を貶める。

等など。

リュートは全ての手紙に、討伐後離縁するので次期公爵夫人として扱わなくて良い。彼女の領の支援は名ばかり結婚の条件なので、ソコソコの浪費は目を瞑るようにと返信をした。

が、その内、手紙は見れなくなった。

王都には、討伐隊の快進撃が伝わり、討伐地までファンレターなるものが届くようになったのだ。

その中に家族の手紙が紛れ、目を通すのもおっくうになっていってしまった。

実際、討伐の為、体調を調える為にも、身体を休めるのが何よりも大切で、そんな手紙達に目を通す余裕などは無かった。

それは王太子達も同じようだった。

旅に、手紙は嵩張り、拠点に置いていくしかない。

置いていけば、その存在は忘れられてしまった。

それほど、過酷な討伐旅だった。

いくほどとも知れぬ困難を乗り越え、最後の封印まで辿り着いた時は一年程経過していた。


迎えの馬車に揺られ、往路と違いゆっくりと帰途についた。

聖女が残党退治をすべきだと主張したので往路には通らなかった場所まで立ち寄ったりした。

残党がいるとはいえ、魔王を討伐した成果か、人々の表情は穏やかだった。

往路時には休業していた宿も再開しており、野営もせずに済んだ。

中には温泉地もあり、身体を癒やしながら王都に辿りついた為、封印から更に半年ほど経過してしまった。

都内では歓迎パレードが行われた。

オープンタイプの馬車に乗って大通りをゆっくり進み、人々の熱烈歓迎を受けた。

王宮では、すぐに謁見の間に案内され、今回の討伐への褒賞を賜ることになった。

最初に王太子が玉座の前に立ち、今回の討伐の成果を報告する。

王から労いの言葉を受けてから、王太子も王と同じ壇上にあがり玉座の横に立った。

次にリュートの名が呼ばれた。

赤絨毯を踏み、王の前に進む。

リュートの家族も一緒に御前に出るようにと言われる。

リュートはその時点で家族も呼ばれており、名ばかりの妻も末席についている事を知った。

彼女は前と同じように俯いたままだった。

リュートとその後ろの家族は、皆の前で功績をたたえられ、受け取る褒賞が読み上げられた。

突然、王太子が

「次期公爵夫人。」

と、呼びかけた。

呼ばれた彼女は全く反応しなかったが、リュートの母が小声で囁いて自分の事と気づいたのだろう。

それでも俯いたまま、拙い礼を披露した。

王太子は

「夫人として尽くしたと聞いておる。慣れない事で苦労もしたであろう。」

と労った。

期間限定妻、そして、浪費をするという悪評は知っての上でそんな事を言い、続けて

「そなたにも何か褒美を与えよう。公爵夫人のままでいたいという願いでも良いぞ。元の暮らしに戻るのは辛かろう。」

等と言い出した。

リュートは奥歯を噛みしめた。

そこまでして、聖女アイリーンから遠ざけたいのかと王太子を恨みたくなった。

だが、彼女は

「恐れながら、私には荷が重う御座います。離縁の書類は既に用意済みです。褒美を頂けるということでしたら、討伐の地を管理する権利を頂きとうございます。」

「・・・国が管理する事になっておる。」

「ですが、あそこは実家の領でございました。残りの人生をもって、祠を祀り、魔物が出た土地の責任を果たしたく思います。」

と、答えた。

マナーに不慣れな下位貴族らしく、言葉選びは今一つ。

礼を取ったままの姿勢はふらつく。

だが、彼女の言動に場内は静まりかえった。

彼女の言うことは一理あった。

魔物が出た、魔王が生まれ出た土地の責任を負う。

それは、領を治める貴族らしい、貴族としてあるべき姿だと思わせた。

王太子も黙り込んだ。

「まぁ、良いであろう。褒美をやると言ってしまったのだ。願いを叶えよう。」

沈黙に王が割り込んだ。

「しかし!」

「あの地は王都より離れておる。人を遣るのにも問題がある。彼の地の領民も元々の領主縁者が治めるほうが良いであろう。」

そこまで言われると王太子も強く言うことは出来なかったのだろう。

その場は収まった。


その後は慰労を兼ねて華やかな宴が開かれた。

だが、彼女は「私は荷造りをして明日には公爵家を出たいと思います。」と、言う。

リュートが返事をする前に、母は、

「そうね。そうなさい。」

と、返事をしてしまった。

本来は宴に出るべきなのに。

何か、声をかけるべきなのに。

リュートも思うことはあったが、彼女は早々に出て行ってしまったのだ。

討伐前と、帰ってきた日の二回。

それが、リュートと彼女との接触の全てだった。


振り返っても、会話という会話をしたことがない。

俯いたままの彼女の顔すら満足に見た事がない。

そして、何より、彼女の名前すら記憶になかった。


リュートは執事を呼び彼女のサインした書類を用意させた。

離縁時に書かせた、公爵家とは今後関わらない。

公爵家で得た情報は他に漏らさない。

などの誓約書だ。

離縁後の旧姓でサインされている文字は几帳面に整っている。

書類には、

クレラリア・リーフと書かれていた。

それが今の彼女の名前だ。


出発の準備を整えつつ、リーフ領の噂を集めさせた。

曾て壊滅的な状態だったリーフ子爵領は今は驚異的な復興を遂げたらしい。

平和になった土地に領民が戻り、聖女の加護がある土地として信仰心の篤い人が入領して人口も増えた。

復興バブルで随分と羽振りが良い事になっているらしい。

実際に、何年も滞納していた国税も遡って治め借金も順調に返却中。

今、注目株の優良領と認識されているらしい。

王太子からの情報との違和感を感じながらも、準備が整ったリュートはリーフ子爵領へと出発した。

お忍びなので従者を一人連れただけだ。

旅は思った以上に快適だった。

王都から馬車で二週間ほどで子爵領にすんなり到着してしまった。

街道は広げられ、しっかりと整備されていた。

馬車もスムーズに進んだ。

討伐時は、子爵領に近づくにつれ、道は荒れ進むのに苦労した。

もちろん宿もほぼ無く野営だった。

野営だと天幕を張ったり準備でどうしても時間がかかってしまう。

だが、今回は全て宿に泊まり、換えの馬などの手配も順調で、二月ほどかかった道のりを数日で進んでしまった。

更に、前回、子爵領に入ってからは徒歩で道を切り開き、魔物を討伐しながら進んでいたのに、今回は整備された道だ。

当然、進みは段違いだ。

リュートはまず馬車で子爵領を見回った。

子爵領は、南半分が平野、北に山脈が連なっている。

なので、主に南半分の土地で人々は暮らしている。

南からの道で子爵領に入ったが一目で変わっているのがわかった。

かつて耕作する人はおらず、荒れ地になっていた場所は綺麗に整備され、新たに開墾されたのだろう麦畑が広がっている。


農作業をする領民も、汗を流し働いている。

平和な気持ちの良い景色だ。


その景色を横目に、領地の中心に向かった。


中心に向かうに連れ、建物が増え、人出が多くなる。

道は広く沢山の馬車が整然と行き交っていた。


中心街は完全に別物になっていた。

停車場が整備され、停まった馬車からは次々に人が降りて、乗って引っ切りなしに動いている。

降りてくる者は一目で旅行者と思われる団体が多かった。

彼らは宿と思われる場所に入っていったり、商店街を見回ったりしている。

店は多く多岐にわたっている。

飲食店・衣料店・土産物・小物屋・・・そのどの店も客で賑わっており、とにかく人の熱気が凄い。

曾てのこの領は、商店街も人気は無く、潰れて壊れた店舗がそのまま放置されていたのに。

唯一変わらないように見えるのは領主館だけだった。

数年ぶりに見る、領主の館の佇まいは変わっていない。

こじんまりとして若干古びている。

いや、・・・・・変わっているようだ。

以前、訪ねた時はボロボロだった。

修復の手が入っている。

壊れたままに放置された外壁やら、屋根も綺麗になっていた。

更に、人の出入りも多く見られた。


リュートは余りの変わりように困惑してしまった。

呆然とする気持ちを堪えて、とにかく、宿を取り情報を集めることにした。


宿は数件あったが、何処も満室だった。

だが、リュートは慌てなかった。

以前の旅では野営が当然だった。

今回も野営をする可能性があると考えて用意してあったのだ。

ただ、今のリーフ子爵領で野営の出来る所はあるのか。

数年前は何処も放置されていたから自由に天幕など張れたが、今の領ではどこも管理されているようだ。

宿の従業員が、観光組合なる施設まで案内してくれた。

曾ての討伐隊の真似をして野営を望む旅行者もいるのだと言う。

リュートは従者を伴って観光組合に行くと、席に案内され、対応した男が愛想良く

「野営をご希望ですか?色々コースがありますが、どうされますか?」

と、紙を差し出してきた。


Aコース:一泊野営体験。

聖女様ご一行が宿泊された野営地で一泊。

討伐隊同行者によるマル秘エピソード披露。

初心者向け、同行者が天幕張りから全てサポート。

野趣溢れる野営料理を堪能頂けます。

オプション:聖女様が宿泊された天幕見学。アップグレードで聖女様と同タイプ同設備の天幕に変更可能。


Bコース:二泊野営体験。

聖女様ご一行が宿泊された野営地で二泊。

実際に討伐隊が歩いた道を歩くハイキングコースつき。

中級者向け:討伐隊同行者がガイド致します。

オプション・・・・・。


Cコース:・・・・。



などなど色々なコースがあった。


リュートは目眩がした。

完全に商業ベースに乗せられている。

自分達が命をかけて行った討伐が。

なんということだ。

倒れそうな気持ちになるが、何とか堪えいくつかあるコースから


Aー3コース:一泊野営体験後ハイキングコース。

魔王封印体験付き。


あなたも勇者、聖女気分を味わってみませんか?


を、選んだ。


他にも説明文がついていたが、目が滑って読めなかった。

読んだが全然頭に入ってこなかった。

もっと言うと、最初に読んだコース説明文もあんまり頭に入ってこなかった。

辛うじて選んだリュートに男は

「は~い!こちらですね!お客さん良かった。もう出ますのでね。ギリギリ間に合いましたよ!」

と、愛想良く返答した。

付き添った従者が料金を支払い手続きを進めてくれた。

「じゃあ、このリボンを肩に付けて下さいね。A-3コースの人の目印になりますから。外に出てA-3馬車乗り場でお待ちください。もう出発しますよ。」

言われるままに馬車乗り場に出て、集団の後列についた。

集団は20人ほどいるだろうか。

男女ペアが多かった。

ぞろぞろとオープンタイプの数台の大型馬車に分かれて乗りゆっくりと領内を進んでいく。

時折、停まって、討伐時のエピソードが説明される。

曰く、「聖女が領民の犠牲に涙した地」・・・一家全滅した空き家や、働き手を無くし困窮しているはずの家から食糧などを供出された事に涙を流して感謝捧げた場所であり、今は村は消滅している。

「公爵子息が魔術で一帯を焼き払った地」・・・今も焼けたままで何も生えない為、広場として活用している。

「王太子が剣で魔王幹部に止めを刺した地」・・・・瘴気で土地が穢された為、日々浄化が必要。今は見習い神官の浄化練習場として活用している。

等など。

討伐時、討伐後の話をされ、皆が頷いて聞いている。

あの時は、討伐することが一番の目的だった。

だから、その後がどうなるかなんて考えもしなかった。


討伐時のエピソードと、その後のその土地の状態を聞くのは何とも居心地の悪いものだった。

そんな時間を過ごして到着したのは、リュートの記憶では最後の野営地だった。

ただ記憶とは全く違う。

記憶の中でリュート達が泊まった天幕の位置などは忠実に再現されていたが、そこを中心に円を描くように、天幕が沢山、沢山、張られていた

その天幕がある横には天幕では無い建物もあった。

かなりしっかりした作りの建物だ。

ガイドの説明によると、公衆トイレ、簡易シャワー場、レストラン、土産物売り場らしい。

さらには、王太子、リュート、聖女を模した銅像まで建てられている。

作りは荒いし、顔も似ているかどうかという程度の銅像だ。


象徴やら、記念で建立した物、という但し書きがされているのを、呆然とリュートは見ていた。

そんな物でも観光客は嬉しいのか、燥いでいる。

スタッフが「記念撮影をご希望の方並んでください。」なんていって声をかけるとほぼ全員が並んでいる。

最近、流行の撮影機がパシャパシャと放つ光を見ているしかなかった。

撮影が終わった人たちに別のスタッフが声をかけている。

「他の施設もどうぞ、ご利用ください。レストランの食事も美味しいですよ。もちろんスイーツも!後、お土産も様々なものを取りそろえていますから。」

宣伝をしてから、更に、他のツアー客もいるので天幕間違いをしないように。

何か問題が起きたらガイドに相談を。

それから、明日は早朝に出発します。

集合場所は・・・。

などなど色々な説明がされ、説明を聞いた者から解散。

自由行動となった。


リュートは野営地を歩いてみた。

完全に整備され、若いカップルがあちらこちらでイチャついている。

所作、言動から、判断すると、客層は裕福な下級貴族・平民といった所だろう。


数年前、ここではヒリついた空気しかなかった。

世界を救うために身体を張り、そして今、最前線だった場所ですら平和そのものとなっている。


驚きの出来事が連続して気落ちしていたリュートだったが、人々の幸せそうな姿に気持ちを持ち直した。

この平和を齎したのが自分だ。

そう想い、自分の成し遂げた事を誇らしく思っていたリュートの耳に男の声が入ってきた。


「夕食が出来ました。Cコースの方!お試し夕食を取りに来て下さい。」

声の方を見ると、人が列を作り小さな黒パン一欠片と小さなカップに入ったスープを受け取っていた。

「皆さん受け取られましたか?こちらのメニュー。貴人用のスープの残りの鍋に水を足して嵩増しをして少々、塩気を足したものです。お味は如何ですか?」

所々から

「薄い。」

「具が無い。」

などの声が上がる。

「平和な今の世では満足できないものだと思いますが、それでも当時では食べられるだけマシでした。何しろここまで食材を運ぶのも大変でしたしから。当時の子爵領は壊滅的な程、荒れ果てていましたから食材の支援も本当に難しかったのです。ちなみに更に下級の人はこのスープが残った物に水を足した物を飲んでいました。ほとんど水です。」

さすがに文句を言っていた人たちが黙り込む。

「仕方ないんですよ。水で薄めたスープを最後に作る事で、鍋を洗う手間も少し省けますからね。そもそも水場の確保も難しかったので、水分が摂れるだけありがたかったのです。人によってはここに辿り着くまで飲まず食わずってこともありました。離脱する人が現れて当然ですよね。」

リュートは朧気になった記憶を思い出した。

旅には従者がついてきていた。

数人だったが、彼らが天幕を張り、料理を作り聖女とリュート達の身の回りをしていた。

最初は王都から連れてきた従者であったが、そのうち子爵領の人間が交代で務めてくれていた。

彼らはガイドも兼任していた。

地形に詳しいということで、危険な任務をこなしてくれていたのだった。

戦いに専念するために必要な事だとしか思っていなかった。

彼らが離脱していたという事実をリュートは今頃知って愕然とした。

「水場の確保は難しかったのでスープは贅沢品でした。ですが、この野営地では皆に配られました。何しろ最後の突入前の食事ですからね。ここまでの道中は、碌に食べられない人もいましたので薄いスープの方が身体に負担が少なく飲むことが出来ました。ちなみに、ここでは離脱者は現れませんでした。どちらにしろ決死の覚悟で最後の突入に志願した者達です。離脱するつもりはありませんでした。それに万が一の事があれば某公爵家から慰労金などの保証がされる事になっていました。実際、途中離脱して仕事が出来なくなった人は慰労金を受け取り療養生活を送っています。あ、今は元気になっていますよ!かく言う自分もその一人です。」

「某公爵家・・・って。」

誰かが質問し、ガイドが意味ありげに頷き視線を銅像の方へと向けた。

「さすがだなぁ。」

「そんな気遣いまでするなんて。」

「でも、ここまで連れてくるんだから当然じゃ無い?」

「いやいや、してくれない人の方が多いよ。」

ざわざわする声を聞いて、リュートはそんな事を采配しただろうかと疑問に思った。

旅の中盤、特に子爵領に入ってからは領の人間が旅のサポートをした。

思い返しても、そんな指示を出した記憶は無い。

その間に、軽食を摂り終えた人たちは天幕の方へと移動を始めた。

リュートもさり気なくついていき説明を一緒に聞く。

「こちらの天幕にもランクがありました。天幕に入れない人もいました。それ以外の人たちは立番をしていました。一晩立ちっぱなし。火を絶やすことなく、ただ一心に聖女様達が無事で過ごせるように願っていました。なにしろ聖女様達に何かがあればこの世は終わってしまいますからね。彼らは進んでこの仕事に就きました。」


ガイドの説明は他にも続いた。

天幕を用意するのにも人員がいる。

撤収するのにも人員がいる。

聖女様は最後の突入に当たって身を清める事を希望されました。

命がけで水を汲みに行き、貴重な薪を燃してお湯を出しました。

薪が足らなくなり、暖を採れない者はくっついて眠れない夜を過ごしたが、聖女様が本来の力を出すために、文句を言う者はいなかった。


解説に批判的な声が上がりそうになるが、

本来聖女様は、神殿の奥で大事にされている存在。

こんな野営では耐えがたかったかと思う。

と、ガイドは批判を諫めた。


リュートは知らない内容の話に愕然とするしかなかった。

従者目線での話。

従者達がいかに自分達の旅を支えていたかを知った。

そのまま聞き続けたかったが、他のツアーのプランだったため、リュートはガイドに軽く注意をされて、その場を離れた。

天幕に入ると、自らの従者がリュートの荷物を整えてくれていた。

従者はリュートの為にレストランから食事を運び、すぐ食べられるように手配し、汚れ物を片づけ、お湯を手配してくれた。

これだけ設備が整っていても従者一人では大変なのだろう。

従者はせかせか動き続けていた。

その姿をリュートはボンヤリと見ていた。

あの旅の最中。

自分はどうしていたのだろう。

そういう記憶は一切、抜け落ちている。

とにかく、アイリーンの事しか見ていなかった。

他の事を全く気にしていなかった。


旅での出来事を思い返しながらリュートは床についた。


翌日、集合場所にツアー客が集まった。

「皆様、お集まりですか!?よろしいですか?よろしいですね?」

交代制なのだろうか、今日のガイドは下級兵の装備を身につけた男だった。

手を上げてリュートの参加するツアー客を先導する。

「はい!では、ここからは私、ガウスがご案内させて頂きます!」

明るく通る声で男はガウスと名告る。

動きも動作も機敏な所を見ると、鎧はレプリカのようだ。

軽く動きやすい素材で出来ているらしい。

ツアー客も動きやすい恰好をしている。

「皆様、いよいよ最後の試練となります。今から一時間ほど歩きまして、奥にある洞窟を目指します。では、参りましょう。」

道は整備されていた。

あの時、草や木を伐採しながら進んでいたが、今は並んで歩ける程だ。

数時間かかった道が、小一時間で進めてしまった。

しかもゆっくりとお喋りを楽しみながら。

ツアー客の中には「気持ち良いわね。」「そうだね。」なんて話している人もおりハイキングのような和やかな空気が漂っている。

あの当時、いつ敵が襲ってくるかもしれない緊張感や、悪路に苦しんでいた事、重い装具を身につけていたこと等を思い出すとどうにもモヤモヤするが、目的地に着いたリュートはモヤモヤを振り払った。

今回の調査の大本だから、冷静な目で見据えなくてはならない。

「はい!到着しましたよ~。では皆様到着されたか、人数数えますぅ。」

ガウスは慣れた行程なのか、疲れも見せず機敏な動作で到着人数を確認した。

「10分小休止しますね。この先は、おトイレはありませんのでね。今!今行って下さいね~。水分補給もお願いしますね。」

と、告げられて解散になる。

各々、トイレに行ったり、備え付けのベンチに座ったりして休憩してる様子をリュートはボンヤリと見る。ここまででも何度も様変わりした場所に驚かされたリュートだったが、ここでも驚かされてしまった。


魔王を封じ込めた洞窟。

うっそうとした森の奥にあった。

今、その場所は開けた広場があり、トイレも完備。

王都の公園のようになっている。

洞窟前は柵で覆われ、警備員らしき人も立っているが、その横に「こちら魔王封印の地」なる看板も立っている。

その下には入場料案内という看板も。

料金が書かれた下には、収益で洞窟の整備を行っています。ご理解とご協力をお願い致しますとも書かれている。

その看板のかかっている小屋でガウスが金銭のやりとりをしている所を見ると、入場料を支払っているのだろう。

何とも気が抜けた雰囲気だ。

ただ、リュートは何となくガウスという男に見覚えがあるような気がしてきた。

じっと見ていると、ガウスが突然振り返りバッチリ目があってしまった。

一瞬、動揺したリュートだったが、ガウスは全く気にした様子も無く、にっかりと笑うと、視線を周りに巡らせた。

そして、また手を上げて大声を上げる。

「もう、時間ですよ。皆様!よろしいですか?よろしいですね。出発前にもう一度人数数えますぅ。1人、二人、三人・・・はい皆さんお揃いですね!では、参りましょう。私が先頭です。この旗を持っていますのでね。はい、皆様ご存じの旗ですね。見逃さないようにお願いしますね~。」

小さな三角の旗をつけた棒をピロピロ振りながらガウスは集団に背を向けた。

その三角の旗は聖女の旗印のレプリカだ。

先の野営地のお土産屋でも見かけた物だった。

「では、二列でお願いします。狭いですのでねぇ。」

ガウスの先導で皆洞窟への道を進む。

洞窟内はひんやりしているが、皆、興奮していて気にならないようだ。

ガウスは先に進んでいく。

集団は辛うじて二列になっているが、多くの人が手を繋ぎ合ったり喋っていたりしている。

それでも、小さな三角の旗を目印に皆、初めての洞窟内を迷うことなく歩いていく。

万が一迷っても、洞窟内にはご丁寧に『順路』という看板もそこかしこについているようだ。

5分ほど歩いてからガウスが止まって旗を振った。

「はい。皆様、ついて来ていますか?ここで一旦集合です。

何度も申し上げていますが、もう一度伝えます。今回は近道を通りますのでね、赤文字の『順路』は行きませんよ~。そっちを通ると二時間くらいかかりますから。黄文字の『最短順路』を行きますからねぇ。は~い、こっちです。コッチの階段を降りていきますよ~。気になる方は是非次回、討伐本ルート体験コースにご参加下さい。では、参りますよ~。15分ほどで到着しますが、只管降りますし急ですからお気を付けて~。」

そこから二十分ほどだろうか、急な階段を降り続けてぽっかりと広がった場所についた。

リュートは鮮明に記憶が蘇った。

ここ。

疲労困憊で辿り着いた、最後の決戦の場所。

今は、ガウスの明るい声とツアー客の燥いだ声が響く単なる観光地となっている。

「はい、皆様お疲れ様です。到着しました~。皆様、大丈夫でしたか?でも、油断大敵ですよ~。ここもそこかしこに段差がございますのでね。注意して下さいね。大事な儀式の前に怪我をしては、この国の損失ですから。」

その言葉に集団はドッとわいた。

「はい!では、皆様、奥に進みます~。はい!ここが封印の地ですね。」

入った

一段高くなった所に大きな岩があり、そこに剣が突き立てられている。


おぉぉっ。

歓声が沸いた。

「では、記念撮影をしましょう。」

集団で並べられ、リュートは固辞して収まらなかったがツアー参加者が笑顔で写真に収まった。

「は~い。それでは、皆様の冒険の旅も終わりに近づいて参りました~。」

ガウスは手で指し示す。

「では、最初の聖女様。こちらに。」

「はぁい。」

「はい。では、こちらのローブを身にお纏い下さい。」

ガウスが手にしているのは、曾て聖女が身に纏っていたのと同デザインのローブだ。

但し、素材が違う。

ペラッペラの安っぽい生地で作られた聖女のローブ。

着脱しやすいように被るだけになっているようだ。


纏った女性がいそいそと示された場所に立った。

先ほど見た封印の場所と似た物が設置されていた。

いや、ほぼほぼ一緒だ。


「こんな感じなポーズ取っちゃいましょうか。」

ガウスがまた言う。

いや、実際にポーズを取ってみる。

「はぁい。」

まねて女性がポーズを取る。

「ジェニー、綺麗だぁ。」

付き添いの男がウットリと言う。

「やだぁマックスぅ。」

ジェニーと言われた女性がクネクネする。

「惚れ直しちゃいますよね。本当に美しい。」

合いの手を入れているガウス。

「本当、神々しいマックス様だけの聖女様ですね。」

そんな事を言いながらもジェニーと呼ばれた女性に、

「こう、こんな感じでお願いします。」

等と手順を説明している。

大層、忙しく回る口で。

ジェニーは言われるままに、ポーズを取り、キャアキャア燥いだ。

その合間に

「今から浄化します。」

と、言って聖女の浄化の真似事を一通りして見せる。

終わった後で、二人は

「ジェニー似合ってる。」

「恥ずかしいわ。」

なんて言いながらベタベタくっついている。

ガウスは、

「そうですとも、大変お似合いでございます。聖女様。では、こちらに勇者マックス様とご一緒に一枚写真をお撮りしましょう。」

「では、勇者様もこちらの剣をお持ち頂きましてポーズを取ってみましょう。」

なんて言いながら二人を誘導する。

「はい。では、マックス様もこちらの剣をここに突き刺して。はい!そうです。」

言われるままにマックスは動いている。

ご丁寧にレプリカの岩には差し込み穴までついていた。

少しまごついたがマックスはこれまたレプリカの剣を差し込み、ジェニーも両手を翳して浄化の真似事をしたポーズをとった。

そのタイミングでまた写真が撮られる。

「はい!これで封印が成されました。聖女様、勇者様ご一行のお陰で世界の平和は保たれたのです。誠に感謝致します。」

大げさな程の拍手をするガウス。

それを期待を込めた目で見る他のツアー参加者達。

中にはガウスと一緒に拍手を送る人たちもいる。

やり終えた二人は満足そうに微笑んでいる。

「では、次の方。リオ様、アンヌ様。」

読み上げられて次の男女が出て来る。

ローブを着て、ポーズを取って・・・先ほどと、ほぼ同じやり取りがされ記念撮影が終わる。

そして次のカップルが呼ばれた。


「えーっと、次の方は。リート様?リート様?」

手の中の紙を見ながらガウスは名を読み上げキョロキョロしている。

従者が

「ご主人様。」

と、呼びかけて、偽名を使っていた事を今更ながら思い出した。

パッと目があったガウスがにっこりと笑って、

「え~と、お一人でしたか?」

それから紙をもう一度見て、リュートの後ろの従者を見て

「あっ。ご友人とでしたか?」

と、聞いてくる。

「あっ、いや、見に来ただけだから良い。」

「はぁ・・・っ・・・あぁ!そうですか。ご主人様の旅行の下見でしたか?でしたら、こちらの列にお並び下さい。見学でしたらこのイベントは無料です。後で払い戻しも致します。明細書も必要な方には出しておりますが・・・ご自由にお使い頂く方もいらっしゃるみたいですよ。」

と、意味ありげに目配せしたガウスは

「どうぞご主人様にお伝え下さい。このように楽しいツアーになっております。記念写真もプロのカメラマンがしっかりと責任もって美しく・・・・。」

ペラペラと喋るガウスをリュートは圧倒されて見ていた。

リュートを使いの者と認識した上で、払戻金を着服しても目を瞑りますよと暗に言う。

その代わり主人への宣伝をして下さいと。

なんという商魂のたくましさ。

いや、それよりも神聖なるこの場所を穢すような行為をするのだろう。

と、リュートは怒りを覚えた。

だが、ここで怒る訳にもいかない。

最後まで見届けなければいけない。

我慢するリュートはガウスに従って少し離れた場所に移動した。

そこには3人ほどの男性が集まっていた。

「こちらお仲間のようです。宜しいですか?」

既に並んでいる人達にリュートと従者の事をそう伝えてガウスは離れていった。

「失礼します。」

リュートの従者が挨拶をすると、

「あっ。どうぞ。」

「お互い大変ですな。」

なんて労いの言葉までかけられる。

かっちりした服装。

丁寧な態度、どこぞの雇われ人だとうかがい知れた。

「私たちは見ましたのでこちらの方が良く見えますよ。」

皆快く場所まで譲ってくれさえした。

その親切心を有り難いとは感じるが、既にイベント的には見たのだから必要ない。

と、リュートが思っていると、疑問の表情を察したのだろう。

内の一人が

「あれ、裏オプションですよ。」

と、言われて視線を走らせた。

まさしく封印した場所。

その場所に、先ほどの人たちが並んでいる。

前面からは見えなかったが裏側には階段が作られている。

そこに直に上がり、二人で何か・・そうリュートは見たことがある。

あれは、聖水だ。

教会で扱っている物と同じ容器をカップルが掲げて降り注いでいる。


キラキラッと聖なる光の欠片が降り注いでいる。

聖水の力を得たのか封印の剣も輝いたようにみえる。

封印の地に聖水を振りまくのは良い事のように思えるが、全くの一般人がそれをするのはどうなのだろうか。リュートの口から疑問の言葉が漏れた。

「オプション・・とは。」

今、正しく目の当たりしている。

だから、理解できるはずなのに、脳が処理できていない。

「このツアーでは、聖女の真似事をする事がメインと謳っていいるんですけどね。裏オプションで聖水を購入してあそこにかける事が出来るんですよ。実際の封印の場所に自分の手で聖水をかけるって凄くないですか?自分達も封印の手助けが出来るなんて。それに聖女と王子様は困難を乗り越えてゴールイン間近。

そこにあやかりたいっていうカップルに人気なんですよね。こうやって、力を合わせて封印するっていうことで一体感も産まれますし。良い記念になりますでしょう?」

突然後ろからガウスの囁き声がして、リュートはビックリした。

余程、気が抜けていたのだろう。

後ろを取られるとは。

驚くリュートだったがガウスは。


「さて、これでツアーイベントは終了です。」

そう明るい声で告げて帰り道をガイドした。


洞窟の前の広場には迎えの馬車が集まっていた。

ツアー参加時と同じようにそれぞれに分かれて乗り、ゆっくりと外の景色を眺めながら街へと案内された。

ハイキングコースとは別に車道も整備されたらしい。

揺れも少なく、林道として整備された道は快適で、同乗した客達も景色が綺麗だと喜んでいた。

街に辿り付くとそれぞれ解散していった。

宿に行く者、買い物に行く者。

楽しそうな笑顔を浮かべて去っていく。


リュートの気持ちとは全く真逆だった。

そこにガウスが、

「事務所の方にお寄り下さい。返金手続きをどうぞ。手続きされないと返金できませんので。」

などと言ってくる。

「いや、返金は不要だ。時間が無い。」

リュートは苛立ちのままに断った。

こんな茶番、すぐさま終わらせなくてはならない。


そのまま領主館へと赴いた。

自分の名前を告げ、面会を要請する。

先触れは無いが、緊急事態だ。

そう主張すると応接間には通されたが、領主の侍女が現れた。

侍女?

何故?

と、疑問に感じた

侍女は面会は出来かねると返答をしてきた。

たかが子爵が公爵家の者になんという無礼だと従者が怒ると

「現子爵は・・そちらとの契約で公爵家との関わりを持たないと・・えぇと契約書にサインをしているので、契約違反になっちゃいますので。えぇと・・・お会い出来ません。」

「現子爵とは・・。」

「うちのお嬢様です・・。あの・・・公爵様の元奥さん。」

そう口にしてから侍女はハッとして口元を抑えてペコペコ頭を下げた。

「すみません。あの人手不足で、私みたいなのしかいなくてすみません。あの今は、執事さんもいませんし。はい。私ですみません。」

口調で話が分かる者はいない事ということが察せられた。

リュートはまだ公爵ではない。

「それに、お嬢様・・は、今、いません。本当にいないです。嘘じゃないです。ちょうど王都に買い出しに行ってて。なのでここには分かっている人はいないんです。すみません。」

只管すみませんと言い続ける侍女。

ここに居続けても意味は無いとリュートも悟った。

「今、王都にいるのだな。」

「はい。あの、でもどのくらいいるかはわかりません。です。」

オドオドした侍女を尻目に、リュートは領主館を後にした。

今度は王都を目指す。

契約を変更するならば新たな契約を。


その為には王都に戻らなくてはならない。

帰りは馬車では無く、馬に乗って帰った。

往路よりも早くつく事が出来た。

屋敷に戻り、一気に指示を出す。

契約の再確認。

王太子へ戻った事の報告。


最初に返答が来たのは王太子からだった。

すぐ登城するようにとの命令の為に城に向かう。

リュートは目にした事を報告した。

「私の方でも調べてはいたが、これで確証がとれたな。」

「聖水をそんな風に使うなんて。」

王太子もアイリーンもリュートの報告に憂い顔だ。

「確かに、今王都にいると影から報告もあった。契約を楯に会えないと言うのなら、ここに呼びだそう。」

王太子の言葉にリュートは頷いた。

そして、数刻後。

リュートは元妻。

クレラリア・リーフと対面した。

いや、対面と言うよりも彼女は騎士に連行されてきた。

王太子の間に現れた彼女は腰に縄を付けられて床に座らされた。


「久しいな。リーフ子爵代理。」

王太子の言葉にリュートは代理だったのか。

と、納得した。

事前に調べていた書類では、まだ子爵家の当主は彼女の父親だったからだ。

「とんでもないことをしでかしたな。陛下が信頼してあの地の管理を任せたのに、低俗な商売をするとは断じて許せない。何よりも許せないのは、聖女の存在を貶めたことだ。何か申し開きはあるか?」

クレラリアは俯いたままで答えた。

「お言葉ですが・・、私は、何ら恥ずべき事をしておりません。聖女様の存在を貶めるつもりもありません。」

「なんだと!」

王太子は怒り、聖女も不満を露わにした。

聖水を余興に使うなんて。

しかも売り物にするなんて。

悔い改めて欲しい。

そう続けた聖女の言葉に王太子もリュートも強く頷いた。

そして、リーフ子爵領、子爵位ともに取り上げると告げた。

「王家で適正に管理する。あの地は聖域だ。」

リュートは頷く以外なかった。

自分達の苦難と努力の地をあんな風に扱われて腹立たしくて仕方が無かった。

王都でぬくぬくと散財してただけの人間に良いようにされ続けるなんて許せなかった。

続けて王太子はむち打ち50回と告げて、聖女になだめられて20回に減刑した。

そのまま騎士に連れられてクレラリア・リーフ。

今や罪人のクレラリアは連行されていった。


これで憂いはなくなった。

王太子はリュートに、あの者との婚姻の書類を処分する許可をくれた。

つまり、婚姻自体が無かったことになる。


王太子なりに申し訳ないと思ったのだろう。

公爵家としても離婚後に罪人になった者がいるのは外聞が悪い。

リュートはありがたく受け入れた。

そして・・・また一刻後。

「なんということをしたのだ!!」

王太子、リュート、聖女は王の間で叱責を受けていた。

「なぜ!勝手に処罰を下した!」

「しかし、あのままにしておけませんでした。」

王太子は困惑を隠すこともできず、眉を潜めながら自分の意見を述べた。

あの地を観光地化されてしまっていたこと。

商売で利を得ていること。

聖水まで売買していること。

しかもかなりの高値であること。

「もうよい!」

王は王太子の言葉を遮った。

そして、告げた。

「そなた達はリーフ子爵代理に温情を与えて、むち打ち20回に減刑したそうだな。全く勘違いも甚だしい減刑ではあるが、その心意気を買って、温情を与えよう。リーフ領に向かい、実情を見て参れ。わかるまでは戻ってきてはならぬ。」

その命令は王太子とリュートのみに行使され、聖女は王太子妃教育を中止し教会での奉仕活動を申しつけられた。


王太子とリュートの楽しくもない二人旅。

今回は従者を付けることは許されなかった。

ただ、資金に制限は設けられなかったので、それなりの宿に泊まれて不自由は無かった。

二人それぞれ馬に乗り子爵領に辿り着く。

王太子にとっては討伐時以来、リュートは訪れたばかりの地。

それでも熱気は変わらずに二人を圧倒した。

「なんというか、全く違うな。」

「そうなんですよ。」

子爵領でもそれなりの宿に落ち着いた二人。

前回と違ってすんなり部屋が取れた。

とは言え相部屋しかとれなかったが。

窓から通りを眺めて改めて思う。

リュートがこの地を訪れるのは、ほぼ一ヶ月ぶり。

なのに、新しい店舗が出来、商店街は延長している。

今、二人が宿泊している宿も先日開業したばかりの所だ。

この進度でいけば子爵領は益々栄えていくだろう。

あの聖地を貶めるイベントを財源として。

「納得いかないな。」

王太子の言葉にリュートは同意しか無かった。

さりとて、王の命令は絶対だ。

二人は、子爵領を再調査するしか無かった。

使える人間はいないので自分達で現状を調査するしかない。

変装して、各店舗を見周り、各ツアーに参加、見学をしてみたりした。

だが、前回と同様の感想しか抱けなかった。

ツアーはどれも、討伐隊をネタにした物で、課金によって色んな体験ができる。

店舗にも同様の土産が溢れていた。

飲食店ですら、討伐隊メニューが溢れていた。

魔王討伐前の栄養ドリンク・・・。などなど。


王太子とリュートにとっては気分を害する代物ばかり。

ただ、この地に来る人は、皆笑顔で楽しんでいる人が多い。

王太子とリュートと真逆の人が多かった。

そんなある日、飲食店で食事中にボソボソ話す人の声が耳に入った。

「まだ、いるの?」

「帰りそうにないみたい。」

「・・・無理なのにね。」

その言葉には嫌悪感が満ちていた。

人の気配には聡いリュートと王太子は目配せし合い、声のする方を見た。

いや、すぐに距離を詰めて、何を話していたのかを聞いた。

正体は若い女給達だったが、彼女達に問い詰めると店長が平身低頭謝ってきた。

そこまでされれば、それ以上は問い詰められない。

王太子とリュートは引き下がった。

それからしばらく、そういう事が続くようになった。

続くと言うのは正しくない。

今まで隠れていた、いや、気づかなかった物が見えてくるようになったのだ。


王太子とリュートは変装している。

しかし、所作や態度で気づかれているのだと気づいた。

そんな中、ある噂が耳に入ってきた。

クレラリアが領に戻ってくるというのだ。

領主たるクレラリアは大層な人気があるようだ。

彼女のお陰で領は持ち直したと皆思っているらしく、皆浮き足だっていた。

そして、帰ってきた彼女の馬車を皆が歓迎していた。

商隊を連なって、自ら手綱を握ってはいるが人が群がり、まるで勇者の帰還パレードのようだ。

彼女の馬車は商店街の裏道に止められて、彼女が飛び降りてきた。

「心配してました。」

「大丈夫でしたか?」

人がわっと寄っていく。

「私は見ての通り無事よ!皆、仕事に戻りなさい!時間がもったいないわ。」

クレラリアが聞いたこともないくらい大きな声で叫ぶ。

「あぁ、良かった。」

等といって、皆がすぐ戻っていった。

「さぁ、仕事するわよ。」

なんて言って、次の仕事を始めている。

リュート達は子爵令嬢たる彼女が荷下ろしを手伝っているのを宿の窓から眺めていた。

そして、開けた窓からは話が聞こえてきた。


「災難でしたね。」

「ほんとね。」

などと言う話が。

リュートは知らなかったが彼女は存外声が通るらしい。

とても良く聞こえてきた。

高い建物に囲まれた構造からか上に音が響いているだけかもしれないが。

「笑い話にしてる場合ですか?鞭打たれたんでしょう?」

「うん。真似事だけね。だって、むち打ちなんて下手したら死んじゃうでしょう?私に後遺症なんて残ったら困っちゃうのはあちらだから。」

「確かに。」

周りの人が頷く。

そのウチ一人がまた言う。

「良かったですよ。でも、気づかないもんなんですかねぇ。」

と。

「気づかないんじゃない?だって、今までだってそうなんだもの。」

「え?全部やってもらってて気づかないもんなんですか?」

「男の人ってそういう人多いんじゃないですか?ウチの旦那もねぇ、私が全部段取っている事、気づかないで遅いとか、何でそんなに金かかるんだとか言いますから。」

「あぁ、わかる。その場の見える事は出来るんだけど。事前準備と、事後処理とか全然分かってない。全部お膳立てしちゃったのがいけないのかなぁ。そういう意味ではリア様も同じですよ。討伐の時の段取り全部やってあげちゃって。苦労を全部背負っちゃって。」

「ははは。そうかもねぇ。」

「それにそれに!聖水とかだって不当に売買してるって言われたんでしょ?教会の印がついているって言うのに、不当も何もないじゃないですか。王都の教会で購入した物なのにね。確かに高いですよ。高いですけど、王都とほぼ同じ値段なのに。」

「ね~、買った事が無い人はわからないんですよね。」

「確かに、王都では買えないかもしれないけど、ウチみたいな所は必要なんですよ。」

「しかも、普通は配送費かかってもっと高くなってもおかしくない所をアノ値段。破格なんですけどね。」

「まぁまぁ、大量に定期購入するって話がついているからね。ウチもいるし、あっちも売り上げがいるし、お互いにいい話なのよ。それでも高いけど。」

「本当、凄い金額ですよね!」

聖水が高いという話題でひとしきり盛り上がる。

クレラリアは窘めるように言った。

「それでも王都から神官様お呼びするよりは安いからね。本当、先立つものって必要よねぇ。今は旅行者がいてくれるから何とかなるけど。飽きられちゃったらどうしようかしらねぇ。新婚旅行客も全員来る訳じゃないしね。あ、学校の集団旅行とかどうかしら?旅行で定期的に来てくれるなら安心だものね。国にとっても若い人達に魔物の巣窟となった地を訪問させるのは良いことだと思うのよ。聖女様信仰にも繋がるしね。教会も国も聞いてくれそうな気がするわ・・・。そうね。そうしましょう。手紙を早速書いてみましょう。」

クレラリアは思いついた考えに夢中になったのだろう。

「後は任せたわ。」と、言って走っていってしまった。

残された人たちが自分達のいる窓の方をチラチラと見ている。

と、言うことは自分達に聞かせたのだろう。

領側の見解を話を。

噂話と言う体をとって。


その話を総合すると、自分達は全てをお膳立てされたのに気づかない上に、支えてくれた人を罰しようとした愚者らしい。


ここまで言われて、怒りを見せた王子にリュートは言った。

一度、領の人の立場、クレラリアの立場に立って調べ直してみましょう。と。

領内は既に好意的では無く、情報がとれないことから王子とリュートは王都に戻った。

それでクレラリアの行動を確認した。

使われた金額。

使用した先。

クレラリアの行動を。

調べて見ると簡単に判明した。


散財と言われていたのも、子爵領の整備の為だった。

子爵領の道を整備して、物資が運びやすくすることはもちろん、物資の購入費が主だった。

他にも、親族の家の補修と言う名目ではあったが、そこは遠征時の中継地として使った場所でもあった。


整備されれば、リーフ領にとって良いことではある。

だが、野営地などは普段の生活には使われない。

過疎化した領地の野営地など、使う人もいないのだ。


クレラリアは、使い終わった施設を有効活用する為にキャンプ場として開放したらしい。

あの聖女ごっこツアーも聖水を確保するための苦肉の策。

あのようにすれば、聖水を纏めて買えるし、人々も勇者達の苦難を一部でも感じてくれる。

現に、ツアーのお陰で勇者一行、王室への支持は維持できているらしい。

本来なら時が経つにつれて、熱は下がっていくのに。

遠征時も、遠征後もクレラリアに支えられていたのに、罰してしまった事に自責の念に襲われた。


王城に戻り得た答えを王に報告し、王子とリュートはクレラリアに謝罪と改めて賠償の申し出をした。

しかし、クレラリアは受け入れなかった。

二人に呼び出されたので一応、登城はした。

そこで彼女は答えた。

謝罪は不要と。

それどころか、整備によって、子爵家は多大な恩恵を得ている事への感謝を述べ、ツアー時、勇者一行へ説明が失礼であった事など詫びてきた。

そして、続けて言ってきたのは

子爵領では、遠征時の負担、色々な感情が残っており、更には、行き場の無くなった負傷兵やその家族が再雇用されているため勇者一行への悪感情が多少なりとも残っている。

勇者一行の事を、商売としているのにも関わらず、ツアー等もヘイトが滲み出てしまう。


それをクレラリアは諫めているが、なかなか収まらない。

もう少し目こぼし頂くようにと願い出る、クレラリアは堂々として、何よりも領民を思う覚悟を感じさせた。


その姿に、リュートは見惚れてしまった。

今更ながら。

曾て、書類上だけでも妻だった者の本質を、ようやく知って。


深い深い後悔の淵に、ずぶずぶと沈んでいくような気持ちになったのだった。





+++++++++++++++++++



一年くらい前に、八割ぐらい書いてあって放置していたものです。

そんな事、書いても読み手さんにしてみたら、「だから何?」って感じだと思うし、書かれても別に関係の無い話だと思うのですが、私は卑小な人間と言うか、こういう使い方が合っているのかちょっと日本語も自信無いのですが、

どうしても言い訳したくなるんです。

言い訳ばっかり。


多分、時間あいちゃったから、変な感じすると思うよ。

ごめんね。でも、直すことできないんだ。だってそんな実力無いから。

って。それだけです。


後、この話、最初は討伐した後の地を有効活用するにはどうしたら良いかな

って考えて、祠で記念撮影みたいな所からかき出したのですが、ぐちゃぐちゃ書き足して。長くなりました。

蛇足だらけ。

読み直すのがもう辛いのでおかしい所あったらご指摘頂けると大層助かります。


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