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8話 森

 カノと再会した日の翌日、私たちは当たり前のように集合した。


 丁度昨日出会った丘が、私とカノの村の間にあることから、集合場所もこの丘になった。


 丘を中心に東に私の村が、西にカノの村がある。


 この丘に正式な名前があるかは分からないが、私たちはこの丘を『再会の丘』と呼んでいる。

 


 

 私たちは話し合った。


 これからどうしたいのか。何をすべきなのか。


 明確な答えは出なかったものの、何をするにしても力がいる。


 そういうわけで私たちは、丘を少し南に進むと見えてくる森で訓練をすることにした。



 森の入り口に立つ。


「おっきいね・・・・」


 カノが目を見開いている。


 私も森の大きさにとても驚いていた。


 草原と森は何かの境界線があるかのように分断されており、地続きの草原からいきなり木が生え始める。


 鬱蒼とした森に入ると聞こえてくるのは虫や鳥の鳴き声。そして川のせせらぎだ。


 空気が美味しいとは良く言ったもので、本当に美味しく感じる。


 森を構成するすべての要素が心地いい。

 


「じゃあ、まずは小動物を狩ってみよう」


 訓練であることを思い出し、気を取り直す。


 親に訓練をすることは伝えていない。


 なので私たちは武器も防具も持っていない。あまり危険なことはせずに小動物を狩ることにした。


 ネズミやウサギ、リスなど、小動物はそこらじゅうにいる。



 タイミングよく目の前をウサギが横切る。


「カノ、あのウサギにしよう」


「う、うん」


 私は近くの植物から『平行脈・操』でクナイを2つ作り、1つをカノに渡す。


 前回のツキノメグマとの戦闘のように何かが吸い取られる感覚はしない。


 ウサギの周りの植物の葉脈を操り、四足を拘束する。


「カノっ、今だよ!」


「う、うん!えいっ」


 カノはクナイを振り落とす。


 命を奪うには至らず、ウサギが痙攣しているので、私がとどめを刺した。



「し、死んだのかな」


「うん、多分ね」


「私、初めて自分の意志で生き物を殺したかも・・・」


 とどめを刺したのは私だが、カノにとっては関係のないことなのだろう。


「大丈夫?」


「うん・・・・食事でいただいている時点で、命を奪っていることはわかってきたことだもんね・・。私、大丈夫!」


「うん、私もカノと一緒に頑張るよ」



 そうして、カノの初戦闘は終了した。


「ねぇ、シズヒ。私ウサギさんのスキルゲットしたよ!」


 そうだった。カノは倒した相手からスキルをゲットできるんだった。


 直接とどめを刺さなくても発動するんだなぁ。


 カノによると『跳躍』を獲得したみたいだ。


 これは名前の通り、ジャンプ力が高くなるものだろう。


「見て!すっごく高く飛べるよ!」


 初めてのスキルをゲットし、とても嬉しそうだ。


 


 その後、私たちは4時間近く狩りを続け、多くの動物を倒した。


 キリがいいところで引き上げて、私たちは『再会の丘』で今日のことについて話し合っていた。


 カノは今日だけで、10個ものスキル・称号を獲得した。


 鑑定結果を簡単にまとめると、



 まずは称号(常時・自動で発動するもの)

 

『跳躍』・・・高く飛ぶことができる。


『スタートダッシュ』・・・瞬発力が強化され、行動の開始とともに最高速度に達することができる。


『木登り』・・・木登りが上手くなる。


『頬張る』・・・口により多くの物を入れることができる。


『突進』・・・全速力で体当たりした時、自分にダメージを受けない。


『回避』・・・回避力が上がる。


『睡眠』・・・寝ることにより回復力が激増する。



 

 次にスキル(自分の意志で発動するもの)


『滑空』・・・高いところから落下する時、風に乗ってゆっくり降下することができる。


変化(へんげ)』・・・自分より体の小さいものに変化(へんげ)することができる。


『毒攻撃』・・・攻撃に毒を付与することができる。



 と多くのスキルを獲得した。


 これから一生使わない可能性があるものもあるが・・・


 多くのスキルをゲットしたカノはとてもニコニコしていた。


 この可愛い笑顔は絶対守らなければ。



「シズヒ、明日はもう少し奥まで行ってみようよ!」


「そうだね、じゃあ明日、いや、明後日にしよう」


「? うん、わかった!」


 こうして私たちは自分の家に帰って行った。

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