2話 クイズ
《スキル 「クイズ」 を獲得しました。》
――――え?
私はとても困惑していた。
両親から聞いていた話によると、神託により獲得できるスキルは、「剣術」「魔法の才能」のように戦闘において利があるものや、「飛行」「調合」のように生活において利があるものだったはずだ。
しかし私が神託から与えられたスキルは「クイズ」だ。
なんというか、遊びじゃないか。
まあ、一度使ってみなければ何も分からない。
私は心の中で「クイズ」と唱える。
すると目の前に少し青みがかった半透明のウィンドウが表示される。
そのウィンドウの中心部には、
500円玉サイズの円に「Quiz」と書かれたボタンがある。
その他に表示されているものはなく、とてもシンプルだ。
私はボタンを押してみる。
《蝋で固めた翼で空を飛ぶも、太陽に近づき過ぎたために翼が溶けて墜落死したというギリシャ神話上の人物は誰でしょう?》
やはりクイズが表示される。
ハイパーサイメシアであり、普段から本やクイズ番組を見るのが趣味であった私にとって、答えは簡単だ。
私は心の中で「イカロス」と答える。
《正解です。 スキル「イカロスの翼」を獲得しました。》
――――え?
私は二度目の困惑に陥った。
10年間この世界で生きたことで、この世界の常識も知っている。
スキルとはそんなに簡単に獲得できるものではない。
あるものを研鑽し続けることでスキルを得られることはあるが、通常人は平均で4〜5個のスキルを得ることができると言われているのだから。
私は「Quiz」ボタンを再び押す。
《「DNA」「精神」「筆跡」などの言葉の後に付くことがある、専門家が、科学的、統計学的、感覚的な分析に基づいて行う、評価・判断をなんという?》
DNA鑑定、精神鑑定、筆跡鑑定――
答えは「鑑定」だね。
《正解です。スキル「鑑定」を獲得しました。》
やはりスキルが手に入る。
これは明らかに異常である。おかしい点がいくつかある。
しかし、今、悪影響があるわけでもなさそうなので先ほど獲得したスキルを試してみよう。
どの作品でも、大抵このスキルが重要なのは間違いない。
「鑑定」
私の目の前に先ほどと同じウィンドウが表示される。
しかし「Quiz」ボタンは見当たらず、先ほどのシンプルな見た目とはとって変わり、多くの情報量で溢れている。
なるほど、やはり『鑑定』は対象の情報を表示するのだろう。
そして今の対象は私自身である。
私はこのウィンドウをゆっくりと確認することにした――――
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名前:シズハ
スキル:『スキル』『鑑定』『イカロスの翼』
演繹:――
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