魔法の四大元素の「風」と「地」について
魔法の四大元素における「風」について。
師匠が言うには四大元素の「風」は極めて誤解を生じやすい呼び名なのだそうだ。
そもそもの語源は「air」であり、本来は「大気」を意味する。しかし翻訳する際に他の「地、水、火」に合せて一文字である「風」としてしまった為に、その後は他の属性よりも軽んじられるようになってしまったというのだ。
それぞれの元素の間には相互関係こそあるが、他に比べて「風」の元素だけが弱いというということはない。むしろ大気という存在であるため「火」や「水」よりも上位の存在とさえいえる。決して見劣りする存在ではないのだ。
さらには「風」の元素の本質が「大気」であるとするなら、なぜ雷系の魔法が風属性なのかも自ずと分かるだろう。雷とは大気中の雲の中で生じるものという考えに基づくからだ。
大気を操り、電流さえも操ることができる。充分に強い属性と言えるだろう。
また師匠は四大元素の「地」についても次のようなことを言っていた。
まれに四大元素を「土、水、火、風」と書き表しているものがある。しかしこれは誤りに等しいと。
「大気」に相対するのは「大地」である。表記としては「地」こそが正しい。「大地」を「土」と書き表すのはさすがに役者不足が過ぎるというものだと。
もしくは陰陽五行の「木、火、土、金、水」と混同しているのではないかと。
これらを表記する際には注意が必要とのことだ。
師匠は言っていた。上辺の言葉に惑わされるなと。決して「風」はハズレ属性ではない。やればできる子なんだぞと。とても偉大な属性なんだぞと。
にもかかわらず師匠は夏場になると決まってその偉大な「風」の魔法を扇風機代わりに使っていた。それは何とも考えさせられる光景だった。