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ミオってほんとうにダメダメよね

 デートを消化しきったころ、ミシェル・カルデローネから正式な招待状が届いた。


 二泊三日での招待である。


 驚きべきことに、皇太子殿下も行けることになった。当然、お忍びである。それから、先日の競馬での勝負の前夜の事件でケガを負い、それがほぼ治ったエドモンドも行く。


 それにしても、皇太子殿下がカルデローネ家が所有する皇都外の別荘に二泊出来るだけの時間を取るなんて……。


 彼がそうしただけでも驚きだけど、そう出来たことも驚きである。


 というわけで、みんな揃って行くことになった。


 サンドロも、特別に招待された。


 カルデローネ家の別荘は、あの遠乗りの際に見た湖の近くにあるらしい。


 サンドロは、大喜びである。


 馬に乗ることの出来ないサンドロやアマンダたちだけ馬車に乗り、わたしたちはそれぞれの馬に乗った。


 そして、カルデローネ家の別荘へ向かった。


 あの夜にいたメンバー以外には、皇太子殿下の護衛として近衛隊隊長のオレステと四名の近衛兵が乗馬服姿で同道している。


 

「カルデローネ家の別荘には、ロゼッタ嬢も来ているらしいですよ」


 パオロは、人一倍ウキウキしている。はしゃいでいる、と表現してもいいかもしれない。

 なぜかはわからないけれども。


 そのパオロが教えてくれた。


 パオロ以外で、モレノもまたうれしそうである。


 彼は馬車に馬をよせ、馬車の窓から顔をのぞかせているアマンダと会話をかわしている。

 きくともなしにきいていると、それぞれの実家のことを話しているようである。


 モレノって食べ物以外の話をするんだ……。


 シンプルに驚いてしまった。


「知っている」


 先程のパオロの言葉に応じたのは、リベリオである。


 知的なイケメンを見ただけで、彼がひどく不機嫌なことがわかる。


 道中、彼はずっと不機嫌なのである。


 仲の悪いロゼッタがいるとすれば、彼が不機嫌になるのもわかる気がする。


 皇太子殿下は、ロゼッタのことが苦手なわりには平然とされている。


 それもまた意外である。


 いくつもの町や村を通過した。


 あいかわらず、皇国内は平和で満ち足りている。


 人々は皇太子殿下やエドモンドたち貴公子を見上げ、うっとりしている。

 皇太子殿下や将軍だと知ったら、きっと驚くにちがいない。



「アマンダ、あれを見てごらん」

「アマンダ、喉が乾かないかい?」

「アマンダ、子羊がいるよ」


 モレノのアマンダ攻撃にはびっくりである。


「モレノさんがアマンダさんばかりに声をかけて、セリアさんやクロエさんが気を悪くされていなければいのですけど」


 だれにともなくつぶやいてしまった。


 わたしにだって、少しは声をかけてほしいわ。


「なんだって?ミオ、きみは本当に鈍感だな。わたしがモレノでも、まったく同じことをするよ。なぁ、リベリオ?」

「ああ、パオロ。きみの言う通りだ。それが、男心というものだ。だったら、セリア譲とクロエ嬢に気を悪くしているか尋ねてみるといい」


 なぜかはわからないけど、パオロとリベリオが呆れ返っている。


 だから、言われた通りに彼女たちに尋ねてみることにした。


 モレノが馬車にならんでいるのとは反対側の窓に近付いた。


 ガイアは、わたしがお願いしなくっても馬車が進む速度に歩調を合わせてくれている。


 窓から馬車の中をのぞきこむと、向こう側の窓が見える。


 モレノは、あいかわらずアマンダ攻撃をしている。それに対して答えるアマンダは、本当に楽しそうである。


 馬車の中は、対面式になっている。向こう側の窓がふさがっているため、セリアとクロエ、それからサンドロは、自然とこちら側の窓に近付いて景色を眺めている。


「あの、気を悪くなさっていませんか?」


 ガイアを近づけてから、唐突すぎるとは思ったけどそう尋ねてみた。


「なにが、かしら?」


 セリアが言い、彼女はクロエと顔を見合わせた。


「なにがって、あれですよ」


 アマンダとモレノの方に視線を走らせた。


「驚きだわ」


 クロエが絶句した。

 もちろん、なぜかはわからない。


「ミオさん。あなた、まだわからないわけ?」


 それから、セリアにも呆れ返られた。


「ミオさん、あなたは勇気があってやさしくって、なにより可愛らしいのだけれど……。もしもあなたとお付き合いするとなると、お友達以上はかんがえられないわね」

「そうよね。何かにつけ、あなたにわからせるのに苦労しそうですもの。こういうことは、自然とわかり合わなきゃ。ねぇ、サンドロさん?」


 片手に手帳を握りしめ、片手に鉛筆を握りしめているサンドロは、クロエに突然話を振られてハッとしたみたい。


 彼は反対側の窓をチラリと見てから、こちらに視線を戻した。


「わたしも絵しかわからないですし、興味がありませんが……。あれだけ露骨だと、嫌でもわかりますよね。ちょっとだけうらやましいでしょうか。だけど、応援したくなりますね」

「ですよね、サンドロさん。ほら、ミオさん。もっと感じなければ」

「見た目も性格もいいのに、ほんとうに残念だわ」


 なんだか、クロエとセリアに否定されてしまったみたい。


 結局、アマンダとモレノのことはわからずじまいだった。

 ただ、わたしがダメダメの残念なやつ、ということはわかった気がする。


 もちろん、それがどうしてなのかはわからないけれども。


 そして、わたしたちはカルデローネ家の別荘に到着をした。







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