71話 本当の姉妹
「一緒に寝るのは初めてだね、おねーちゃん」
一緒にお風呂に入った後におねーちゃんのベッドに潜り込むと、コンタクトを外したおねーちゃんもベッドに入ってくる。寝る時間にはまだ早いけど、おとーさんが始発で出張先に戻るので、それを見送るために早く寝ることにしたのだ。
だけど普段より早いせいで全然眠れなくて、それについさっきの話を思い出す度にニヤニヤが止まってくれないのだ。
「…………どうしたの?」
「だって美羽と美夜は血は繋がってないけど、本当の姉妹だったんだなーって」
両親の出会いを聞いてみたら、なんと二人は高校で出会っていて、同じクラス・同じ部活で三年間ずっと一緒で、一緒に遊んだり、一緒に喧嘩したり、色々語らう中で『もし自分に子供ができたらどんな名前にする?』というお題に『女の子なら“美”という文字を入れる』という意見で一致。そして数十年ぶりの同窓会で再会して、お互いの子供の話題になった時に、二人とも高校生の時みたいに笑い合ったそうだ。
「そんなに仲良しだったのに、どうして結婚しなかったのかな?」
この質問はついさっきにもして、両親は苦笑いで回答。
好きという感情は、やっぱり美羽にはまだ理解できない。
「おねーちゃんは明日、おかーさんと一緒に耳鼻咽喉科?って所に行かなきゃだけど、その後にお見舞い行ってあげてね。おにーちゃん寂しがってるから」
「…………そうなの?」
「そうだよ! おにーちゃんはすっごくすっごく頑張ったんだよ! 口止めされるから言えないけど、おにーちゃんが頑張ったからみんな動いたんだよ! プレゼントまで用意したんだから!」
「…………プレゼント?」
「そう! って忘れてた!!」
そう叫ぶのと同時にカバっと立ち上がり、急いで自分のカバンを漁ると、部屋の電気をつけてくれたおねーちゃんに託されたものを差し出す。
「はい、おにーちゃんからのプレゼント」
プレゼントを受け取ってくれたけど、コンタクトを外したせいでよく見えない感じで、もう一度コンタクトを装着してから確認してみると、そこには小桜美夜が一番欲しいものがあったのだ。
「えっへへー、こんなプレゼント貰っちゃったら、お返ししなきゃだよねー」
そう茶化しながら、おねーちゃんの机にある毛糸玉と編み棒、そしていつの間にか増えた“はじめての編み物”という本を見ると、おねーちゃんが照れくさそうに答える。
「…………頑張る」
「でもあの毛玉、おにーちゃんから貰って随分たつけど、全然だね。美羽も手伝う?」
こういう時、今までのおねーちゃんなら必ず美羽を頼ってくれた。
だけど今回だけは、初めて首を横に振ってから、
「…………一人で、頑張りたい」
「そっか。でも冬までには完成させなきゃだよ」
やっぱり、おにーちゃんはズルいなぁ。
だからおねーちゃんが頑張っているのは黙っておこう。
だってその方が、おにーちゃんが喜んでくれそうだから。




