05話 ご都合展開
日間現実世界の恋愛ランキング56位ありがとうございます。
初投稿の翌日からランクインできて嬉しいです。
気まずい。
小桜さんがベッド横の椅子に座ったけど、全然目を合せてくれない。
嫌われているのだろうか?
だけどそれならお見舞いに来ないだろうし、どう接すればいいんだ?
「今日も来てくれてありがとうございます」
「…………」
「その袋ってお見舞いですよね? とっても嬉しいです」
「…………」
「あの、ええっと……、ご自由にお過ごしください」
「…………」
そう伝えてから、逃げる様に読書を再開しました。
いやだってどうしろと!?
これ以上無理に話しかけるのもアレだし、小桜さん全然喋ってくれないし、推理小説ならもう迷宮入りレベルの難事件だよ! なので時間がこの難事件を解決してくれるのを願いながら小説を読みはじめると、程なくして小桜さんがチラチラと僕の方を見ていることに気付く。
気になる。
だけど小桜さんからは話しかけないでねオーラだだ洩れで、深呼吸をして落ち着こうとしている小桜さんを、僕が小説を読みながら盗み見る状況になっている。
因みに今読んでいる小説は、負傷した主人公が部屋で休んでいるところにヒロインが看病という場面で、なーんかこの状況に似てるなーと既視感を覚えながら読み進めていくと、2人はどんどんイイ感じになっていき、気付いたら一糸纏わぬ姿に……
ってちっがーう!!!
そんなベタ展開が現実にあってたまるかと心の中で叫びながらも、淡い期待に胸を膨らませながらゴクリと生唾を飲んでページを捲ってみると、
良かった。
この鼻を伸ばした主人公、ナイフで殺されそうになってる。
どうやらこのヒロインは敵が送り込んできた刺客で、やっぱり現実世界でご都合展開はあり得ないと安心してから小桜さんを見てみると、その手には小説ヒロインと同じく、鋭利なナイフが握られていたのである。
羽生君は小説が大好きなので、小説ネタがしばしば入ります