03話 パーフェクト自己紹介
名前:小桜美夜
年齢:16歳(高2)
身長:161cm
体重:42キロ
スリーサイズ: 82/52/77
趣味:読書
住所:XX県XX市XX区XXXX X-XX-X
携帯:080-XXXX-XXXX
mail:XXXXXXX@XXX.XX
将来の夢:未定
etc
どうしよう。
ガチ情報っぽい。
特にスリーサイズが見た目と同じで、失礼と分かっていても見比べてしまう。
それによく見れば整った顔立ちで、地味なメガネを取って髪も整えれば結構な美人になりそうな逸材と気付いた途端、胸の高鳴りがどんどん加速していく。
そしてようやく分かった。
先輩の名前が、小桜美夜ということに。
「えっと、小桜さんでいいですか?」
コクコク(首を縦にふる)
「じゃあ……、僕も書きますね」
こうなった以上、書くしかない。
そう腹を括って項目を埋めていく。
名前:羽生悠助
年齢:15歳(高1)
身長:165cm
体重:58キロ
スリーサイズ:
あれ? 僕のスリーサイズっていくつだ?
男なので気にしたことがなく、参考になる情報がないか周りを見渡すと、小桜さんのスリーサイズ情報が目に入ったので、それを参考に項目を埋めていく。
ええっと、小桜さんの胸がパッと見それなりで82だから、貧乳な僕は-10くらいか? 腰は男だから+3にして、尻も同じく+3でいいだろう。
スリーサイズ: 72/55/80
よし、当たらずとも遠からずってとこだろう。
そうして他の情報も全部埋めてからプリントを渡す。
「どうぞ。あと小桜さんのプリントもお返しします」
非常に口惜しいけど、ここは涙を呑んで返すべきだろう。
そんな紳士対応をしたのに、
????(首を傾げる)
当の本人は心底不思議そうな顔をしていて、なんでこっちがおかしな対応したみたいになってるの?
「いや、男として大変興味深い情報ですけど、女の子の体重やスリーサイズ情報を握ったままというのは……」
バッ!!
ええー、自分が書いたプロフィールを食い入るように見てるよ!
緊張や動揺で視野が狭くなるって話があるけど、もしかしてそれなの?
そしてこの推測は正解だったらしく小桜さんがワタワタしっぱなしで、さらに僕と目があった瞬間に後ずさってから盛大にすっ転ぶ。
「ちょっ! 大丈夫でっ!」
つい条件反射で体が反応してしまい、動かすなと厳命されていた腰に痛みが走って強制的に体が静止。そして小桜さんはすぐに立ち上がってワタワタしながらベッド横のナースコールを連射。ペコペコと僕に頭を下げまくった後、ピンポンダッシュの如く一目散に退散したのである。
「結局、一言も喋ってくれなかったな」
そう呟いた後、スリーサイズはともかく携帯アドレスはメモしておけば良かったと後悔してから、小桜さんと入れ替わる様に看護師さんが到着したのである。
主人公の名前を「夕」から「悠助」に変更。理由はこの名前が物語に関連せず、だったら読みやすい名前の方がという判断です。