表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

2/76

01話 ささやかな入学式

 改訂版はちょくちょく新作ネタが入りつつ、中盤からオリジナル展開という感じです

 ……どちら様?


 外見はサラリとしたボブヘア、長い前髪で目が隠れていて、その上に大きなメガネという目線完全ガードという鉄壁っぷりで、運動が苦手そうなほっそり体型、物静かでミステリアスな雰囲気の女性で、首元のリボンが赤だから二年の先輩だろうか?

 そう思案していると、先輩があるものを差し出してきたので受け取ると、学校のプリントだった。


 学校行事スケジュール・クラスメイト一覧・高校生の心得など、今日受け取るのを諦めていた資料で後々貰えたとしても、やっぱり入学式がある今日欲しかったもので、まだクラスメイトの顔が一人も分からないけど、それでも今日受け取れたことが、とても嬉しい。


「ありがとうございます!」


 上半身はどうにか動かせるのでしっかり頭を下げて感謝を伝えると、今度はスマホが差し出されて、そこには入学式の風景が動画再生されている。


「これってまさか、今日の入学式?」


 コクコク(首を縦にふる)


 入学式の間、ずーっとスマホをかざして録画をしてくれた先輩の姿を想像して不覚にもウルっとしながら一緒に見てみると、拍手で迎えられた新入生がゾロゾロと入場。遠巻きに撮影された映像だけど、しっかりと緊張感が伝わってくる。

 そうして新入生入場が終わり、次は国家斉唱。体育館内の全ての生徒が一斉に歌い出すのをドキドキしながら見守っていたら、


『きーみーがーあーよー』  ブツッ!

「……あれ?」


 急に映像がブラックアウト。何事かと先輩を見てみると、それは先輩にとっても予想外だったらしくブンブンとスマホを振り回し、焦りながらスマホ操作していると思ったら突然の硬直。

 そうして先輩の手元からポロっとベッドに落ちたスマホを見てみると、


“ストレージの空き容量がありません”


 あー、成程ね。

 入学式は2~3時間あったはずで、容量不足に気付かないままずーっと録画していた努力がムダに終わったショックは計り知れない。


「ええっと、僕は満足ですよ。入学式の雰囲気も堪能できましたから」


 咄嗟にフォローしたけど先輩の顔はどよーんとしたままで、どうしよう。

 そんな病人がお見舞い人を励ますという真逆な構図に戸惑っていたら、急に先輩が僕の胸元をまさぐってくる。


「ちょっ、先輩!?」


 こちらは負傷しているので抵抗できず、しかも女の子に迫られた経験もないのでこのまま襲われたらどうしようと内心ビクビクしながらも淡い期待を渦巻かせていたら、幸か不幸かすぐに先輩が引き下がる。


「あの。今のは一体?」


 肩透かしな理由を尋ねると先輩が僕の胸元を指さして、そこには"ご入学おめでとう"と書かれた花飾りが付いていたのだ。


「これって入学式に先輩が新入生の胸に付けるアレですか?」


 コクコク(首を縦にふる)


 車にはねられて病院送りという有様だけど、それでも僕は高校生になれたんだな。パジャマ姿にこの花飾りは不格好だけど、それでも今日は外さずに付けておこう。こんな入学式を経験したのはきっと僕だけで違いないけど、先輩のおかげで思い出深い入学式になった。


「先輩、本当にありがとうござ…」


 ドサッ!!


 心からのお礼を伝え終わる前に、今度はプリント束が渡される。


「これも学校のプリントですか?」


 フルフル(首を横にふる)


 じゃあ何だろうと見てみたら、そこにはこう書かれていたのだ。


“アンケートにお答えください”と

 目が隠れる前髪長い系ヒロインって意外と少ないですよね。いつも目を閉じてる糸目の謎強キャラよりも希少な気がします。

 なお今日は誤字脱字チェックした後にもう1話更新しますので。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ