18話 テレビある限り、奴等は必ず来る
「ふぅ、本日の勉強終了」
時刻はもう面会終了間際。
ずっと勉強しっぱなしで本当に疲れた。
入院ベッド用の机で小桜さんと一緒に黙々と勉強だったけど、小桜さんの集中力は凄まじく、その勢いに引っ張られた格好だ。
分からない部分はどこを参考にすべきか示してくれたり、数学で分からない所は途中式をしっかり描いてくれたりと、やっぱり小桜さんは優等生らしく、大きなメガネは伊達じゃない様だけど、教える時もやっぱり無言でした。
「今日はありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
そうお礼をいうと小桜さんが頷いていから帰り支度を始めたが、病室内のテレビを見つめていることに気付く。
「見たい番組があるならどうぞ」
そうして小桜さんがテレビをつけると、チャンネルを回したり、テレビ横に付いているカード差し込み口を気にしたりで、病院のテレビに興味があるらしい。
「僕はあんまり使ってないですけど、普通のテレビと変わらないですよ。でもカード式なので有料。因みに値段は1分1円、2時間番組なら120円という地味に高…」
ブツッ
僕の台詞が終わるより早くテレビをシャットアウト。
そして小桜さんがお財布から1000円札を差し出してくる。
「いりませんって! つけたのも一瞬でしたよね?」
フルフル(首を横にふる)
「いやでも」
フルフル(首を横にふる)
「じゃあそのお金は、お見舞い品の対価ということにしてくれませんか? 今日はメロン貰っていますので」
この提案にどうにか納得。
やっぱり小桜さんは頑固な所があるから、今後は気を付けよう。
あと前に森谷さんに質問したけど、これは外部業者の委託ビジネスで病院にも利益があり、委託業者も少ない労力で安定収入というWin-Winの関係らしいけど、無料の方が消費者としては嬉しいと発言したら、
「それだとN●K集金が来るから」
という言葉にぐうの音も出ず、ひれ伏しました。
因みに大抵の病院はネット利用(ノートPC貸し出し・wifi利用)もオプション料金で利用可能だそうです。
外部からテレビをレンタルする場合、リース会社が受信料を支払う仕組みなので、病院は受信料を支払う必要はなく、そういう理由でホテル・旅館のテレビはカード式が多いです。各部屋ごとに受信料は大層な金額になりますからね。
なお大手ホテル会社の東横インがホテル全室のテレビ受信料を支払えとN●Kに起訴され、約19億の受信料を支払う決定が下されたりしています。




