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17話 病院食はマズい

 ここからしばらくの間、1話完結の入院生活あるある物語になります。

 本編のみ希望の方は、22話→28話の飛ばし読みでOKです。

 病院食は不味い。

 これは世間の常識であり、入院患者は病気と戦うだけでなく、人間の三大欲求である食欲が満たされないという苦行にも耐えなければならないのだ。


「羽生く~ん、今更だけど夕食よ~。勉強も大事だけど、食事を後回しにされると困るから~、ちゃちゃっと食べてね~」

「分かりました。小桜さん、すぐ食べるのでちょっと待ってて下さい」


 この応答にコクコクと首を振る小桜さん。

 因みに配給時間はどの病院も8時・12時・18時固定だそうだ。


 じー(こっちを見つめる小桜さん)


 うっ、食べづらい。

 小桜さんは帰ってからの夕食で、自分だけ食事というシチュエーションは居心地が悪い。


「小桜さんも何か食べます?」


 この誘いにいつも以上の速度で首を横に振る小桜さん。

 どうやら物欲しげに見ていた自分を恥じているらしい。


「うふふ~。美夜ちゃんは病院食が気になるのかな? 久々に食べてみる? 病院食は理想のダイエット食だからね~」

「へぇ、そうなんだ」


 僕がそう頷くと、森谷さんが得意げに語り始める。


「そりゃ~病院ですからね~。患者さんが健康になる様に栄養士さん監修で作られてるよ~。一食460円って縛りを守りながら」

「それはお買い得ですね」

「そうよ~、ひと昔前は260円だったけど」

「ええっ!? それは安すぎでは?」

「そうね~。病院食がマズイってイメージはそのせいかもね~」


 いくら栄養士でも260円で献立作りは無理ゲーでしかなく、何かしらのシワ寄せをせざるを得なくなり、その結果が“病院食が不味い”というイメージになってしまったのだろう。


「だから今はよっぽどな病院じゃない限り食事はちゃんとしてるよ~。そのおかげで患者の脱走も減ったからね~」

「脱走!? そんな人いるんですか?」

「いるよ~、美味しいご飯を求めて病院から脱獄。外出申請せずの無許可でね。中には絶対安静なのに抜け出して警察出動ってケースまであったよ~。そして当の脱獄犯は居酒屋で飲んだくれってオチだから」


 恐るべし、人間の食欲。

 そしてそんな事態が頻発すれば病院は困る訳で、だからこそ値上げ断行で美味しくしたのかもしれない。


「今食べてる病院食は美味しいけど、そんな経緯があったんですね」

「そうよ~。260円じゃいい食材は使えないし、味付けは基本薄味。ついでにココはご飯じゃなくてお粥だから評判悪いのよね~」

「そういえば、頑なにお粥ですね」

「胃に優しくて消化にいいからね~」

「育ち盛りには辛い配慮です」


 そう愚痴ると、森谷さんが笑いながら付け足してくる。


「だけど羽生くんは病気じゃなくて怪我だから間食自由よ~。だから食料調達は美夜ちゃんにお願いしてね~。もし脱獄したら強制退院だから」

「えぇ…、強制退院なんてあるんですか?」

「結構あるよ~。迷惑な問題患者を追い出してブラックリスト入り。今後の受け入れ拒否って権利が病院にもあるから、羽生くんも気を付けてね~」


 冗談っぽい口調だけど、実話だから笑えない。

 そんな看護師さんの苦労が垣間見えるブラックジョークを経て、森谷さんが去っていったのである。

 病院食の値段は全国一律で決まっていて、平成28年に260円から360円に、平成30年に460円に引き上げられました。たかが100円差かもしれませんが、一ヵ月入院になれば3食30日で食事回数は90になり、9000円という無視できない差額になるので、値上げ決定には色々な経緯があったと思います。

 因みに入院期間が一定以上、住民税非課税の場合等で値下げになったりするそうです。

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― 新着の感想 ―
[一言] ここのところで消化器系で入っていたりしましたが、まあ最初は流動食から五分粥、全粥になりましたが、最終的には常食(ごはん)にはなりました。 泌尿器で入ったときは、術後を除いては常食でしたね。粥…
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