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13話 思春期

 いやいやいやいやっ!


 本能でノートを開きそうになった所で制止。その後に葛藤しつつ、これは勉強だから問題なしって免罪符で突き進もうとした後、もし小桜さんに知られたらって想像をして悶絶という無限ループが延々と続いている。


 だってこれ、下手なエロ本よりも破壊力ありそうじゃん!


 高校一年生という多感な時期の女子が記した保健体育ノートには、もしかしたら男子には知る由もない秘密情報が記載されている可能性がゼロと誰が言いきれるだろうか!?

 くっ、きっと自分が女性経験のない子供だからアホみたく気が動転してしまうのだろう。それに見ないという選択肢だって勿論ある。てゆーか見ないのが正しい判断だ。なのでノートを遠ざけようとしたのだが、


「バカな! 手放せないだと!」


 このノートを見ないという選択が正解なのは分かっている。だがもし、もしもだ。このノートを見ることで、僕は男として大きく成長できるのではないだろうか? それにいい子ぶって謙虚過ぎる男は何も得ることはできない。てゆーかこのノートの存在を知ってしまった以上、見ないままぐっすり安眠なんてできる訳がない!!


 リアルJKの保健体育ノート。

 それは男にとってデスノートよりも価値があるだろう。

 いや別に殺したい人はいないし、新世界の神になる気だってサラサラないけどね。


 冷静になれ。学校は教育現場であり、いかがわしい情報を教える訳がなく、だからその事実を確認するだけで、それが分かって「僕って馬鹿だなー」って自虐するまでがテンプレだ。

 それにこのノート見なかったら内容が気になって寝不足になり、明日からの勉強がままならくなるのは自明の理で、だからこそ明日から気持ちよく勉強をする為にこのノートを見る必要がある。それに小桜さんも見ていいからこそ貸してくれた訳で、だから僕の行動は何一つ間違っていないのは明らかだ!


 と、そんな言い訳を重ね続けた末、遂にノートを開く。

 そして記念すべき一ページ目、最初の行に書いてあった文字は、



『★特別授業★ 彼氏の付き合い方(15禁)』



 もう言い訳は無駄と悟り、一語一句読み漏らさずに突き進むことを神に誓いました。

 デスノートは、名前を書いた人間が死んでしまうジャンプの名作漫画です。当時は超話題になって実写映画も作られましたが、もう10代は知らない作品なのかな?

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