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神話生物が認知されている世界で──  作者: くとゅりゅふ
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「なぁ、お前らの頭には脳みそが入ってねぇのか?よく考えりゃわかることだろ、こんな傷だらけのやつ見たらやばいやつだって」


たった一人の男が、この場を支配していた。それは今この場にいる男以外の奴らが全て動けないからだろう、悪夢だからだろう。本来なら有り得てはいけないことが目の前で起こっているのだから。


「う、噂以上だな〝傷だらけ(スカー)〟……どうだ、お前も一緒に──」


それが遺言だった。目の前に存在する恐怖を味方につけようとしたのが運の尽き。いや……そもそもこの男に狙われたのがダメだったのだと、気づかなければいけなかった。


「お前らがどういう気持ちでそういうこと言ってるかは知らないが、俺の友に手を出したツケは払ってもらうぞ」


その言葉と共に戦いの火蓋が切って落とされた。


生き残ったのはただ1人、〝傷だらけ(スカー)〟と呼ばれた男だけだ。



この男の名前は伊吹(いぶき)(ごう)。とある界隈では恐れられている人物であった。













場所はアメリカのニュージャージー州、時刻は夜。そこにあるカジノの一室で密談が行われていた。



「おい、レビー。あいつらあっさりとやられちまったぞ」

「……何よ、私が悪いって言うの?」

「いんや、そういうわけじゃあねぇ。あの〝傷だらけ(スカー)〟ってやつが規格外すぎるだけだな」


机に置かれたタブレットに映し出された秘匿されし施設の一室で、昨晩襲撃があったのだ。襲撃者は〝傷だらけ(スカー)〟と呼ばれ、不可視の攻撃を得意とした魔術師(メイガス)だと言われている。


「こうもあっさりとダゴン秘密教団の研究施設を見つけて、襲撃。無傷で帰還なんざヤバすぎるだろ。ムービーですらそんなご都合主義はやらねぇよ」

「……あそこには他の魔術師(メイガス)もいたはずなんだけど、抵抗するできていないわね」


顎に手を当て、肘を机に乗せて思案する女性はとても美しく、金色のロングヘアーが光を反射し眩しい。レビーと呼ばれる女性だ。


そんな美しい女性と共に座るのは粗野なイメージを持ちやすく、一目でカタギと呼べない存在であるのは理解出来るスーツを着た男。そんな男がそういえばと、何かを気にした様子でレビーに話しかける。


「そもそもその魔術師はどこの奴らなんだよ。見たこともねぇやつだったが」

「ウチの同胞よ、みんな《セデフカーの皮膚》を唱えれるはずなんだけれど……何なのかしらね?」

「いや、聞かれてもわかんねぇよ。にしてもお前の同胞、か。てことはなんだ、()()()()()ばっかなのか?」

「そうよ、うちはそういう所だもの。その代わり……ね?」

「うへぇ、これだからお前らは恐れられるんだ。美容の為に他人を犠牲にするなんていうことするとかやべぇよ」


これだから、と。呆れた様子でレビーを見るもどうでもいいか、と気にする様子はなくタブレットを見続けている。そこには先程言っていた襲撃者が戦闘をしている映像が繰り返し映し出されていた。


「にしても本当になんだこれ……不可視の攻撃か、レビー、透明になる魔術ってあったか?」

「私はあまり……なら別のアプローチで攻撃しているのでは?」

「……見る限り押したり切ったりで多様な攻撃手段としか分からねぇ」


実際に見て見ないと、体験してみないと分からないな──


結局、何も分からなかった。


その画面の中で火が揺れ、強く大きくなり、燃え広がるも、気づくことがなかった。












「オペレーター、終了し──」

『デルタグリーン、チームαより救援要請。付近にシャンタク鳥が現れているようです。現在の装備では確実に仕留められないため〝傷だらけ(スカー)〟の、〝UNKNOWN〟の出動が求められています』


またか、最近神話生物の発生率が増加していないか?自然発生してるにしても数が多すぎる。それよりもαチームからか……あいつら確か


「〝UNKNOWN〟了解。直ちに急行する」

『データアップロード……完了、端末に地図を表示します』


ここから数百メートル先か。これなら走った方が早いか。


「今回はビル上を走っても?」

『構いません、このまま放置すると市民に被害が出ます。むしろ推奨します』

「ありがたい」


地下室から出てビルの壁に足をかける。そのまま力を込め、壁を走る。


勢いのまま上へと飛び出してしまったが、向かう方向の様子がよく分かった。


まずいな、何体いやがるんだ。


「ちなみにシャンタク鳥の報告数は?」

『五体です』

「俺の視界には10体いるが?隠しきれるのか?」

『無理ですね、そろそろ勘のいい市民なら存在を確信しているはずですし。今まで通りオカルト扱いすればいいでしょう』

「発砲音はどうすんだよ」

『彼らは強化兵ですが、今回はステゴロで戦闘していますので救援要請をしたわけです』


なるほどね。例の事件を生き残ったメンツなのにシャンタク鳥に苦戦してるのはなんでかと思ったが……非番だったな?


「さて……〝UNKNOWN〟戦闘開始する」


シャンタク鳥は既にこちらに気づいている。


「だからどうした」


一体のシャンタク鳥の直上に出てかかと落としを放った──






壁走──判定《登攀》

成功値85+???──03(クリティカル)


かかと落とし──マーシャルアーツ+武道 《キック》

成功値90──53(成功)

2d10+DB(1d6)+???=25

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