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異世界ブギウギ。  作者: 渡良瀬ワタル
287/373

(大乱)88

 ドラゴンが顎を大きく上げ、空に向かって何度も激しく咆哮した。

吼えている様にも聞こえるが、実態は泣き叫ぶに近い。

そのせいで喉元が、がら空きになった。

チャンス、好機到来。

 俺は方向を修正した。

狙うは喉元。

重力スキルを全開にした。

ついでに風魔法を重ね掛け。

突撃。

構える槍は光魔法が施された逸品、当然ダンジョン産、神話級。


 ドラゴンの視線が俺を捉えた。

これまでとは違い、感情を露わにした目色。

俺の読み違いだろうか、憎悪にしか見えない。

まあ、そうかも知れない。

ドラゴンが口を大きく開けた。

 外の空気と一緒に魔素等を取り込む吸気。

それらを体内に貯蔵していた物等と共に錬金して変換。

仕上げた物を排出する、排気、ブレス。

俺はそう理解していた。

しかし、目の前のドラゴンの行為はそうではなかった。

前段階の吸気をしていない。

となると、悪足掻きなのか、最後の意地なのか。

体力の限りを尽くしてのブレス・・・、来るか。


 俺は止まらない。

ここまで来たら俺が早いか、ドラゴンが早いか。

たぶん、体感的には俺が早い。

行け行け、GoGo。

 あっ、読み違えた。

ドラゴンが倒れる様に前のめりとなり、大きく傾いて来た。

これはっ。

視線で俺を捉えたま口を大きく開けて、

俺そのものを捕えようとするではないか。

拙い、逃れられない。


 これからの方向転換では遅い。

下手に回避行動を取れば、態勢を崩し、反撃を喰う。


 咄嗟に俺は重ね掛けしていた風魔法を変更した。

速度から攻撃魔法に切り替えた。

風槍・ウィンドスピア。

イメージは捕鯨用の銛。

当たった瞬間に先端が回転し、抉りながら深く突き刺さる。

 俺の場合の魔力表示はMPではなくEP。

俺特有のもの。

この世界の者達とはちょっと違うらしい。

詳しくは脳内モニターも説明してはくれない。


 間近に迫る大きく開けられた口。

口内の手入れが良いのか、立派な牙と歯並み。

最奥に喉チンコが見えた。

正に真っ赤なチンコ。

 風槍が間に合った。

喉チンコを貫いた。

血肉が舞う。

のみならず、回転しないがら真っ直ぐに飛んで行き、

喉奥の壁に突き刺さった。

食道口の肉壁を喰い散らすかの様に破壊し、破裂した。

ここまでが限界だったようだ。


 ドラゴンも体内の痛みは我慢できないらしい。

明らかな悲鳴を上げ、口を閉じようとした。

俺は光体で身体を覆った。

これでドラゴンの体内でも生存できるはず。

口が閉じられる寸前、口内に突入した。

直後、口が閉じられた。

 暗い。

幸い夜目が利く。

先行した風槍が破壊した箇所を目指した。

大きな穴から大量の血が噴き出していた。

俺の辞書に躊躇いはない、欠陥品だ。


 当たった瞬間、手応えを手の平で感じ取った。

槍に施された光魔法が発動したのだ。

文字通り光を発し、厚い肉壁を切り裂いて行く。

この槍は穂先自体の鋭さに光魔法が重ね掛けされた逸品。

ドラゴンをただの肉として処理を進めた。

 ドラゴンは外からの攻撃には耐性がある。

鱗と厚い外皮が鎧を超える防御効果を発揮するからだ。

だが、内は弱い。

それは他の魔物とも共通したもの。


 気付いたら暗闇から月明かりの元に出ていた。

貫通していた。

アリスの声が聞こえた。

『ダン、邪魔よ、突入の邪魔よ、どいて』

 咄嗟に横に飛んだ。

傍をアリスがエビスで駆け抜けた。

外皮の穴に突入した。

『プー、パッフォーン』

 クラクショクかっての。

ハッピーもエビスで突入した。


 俺は上空に移動した。

鑑定でドラゴンの様子を見た。

俺の決死の突入は即死には至らなかった様だが、

確実にHPMPは減少していた。

そこへアリスとハッピーが追撃。

死に馬に鞭打つ行為。

ドラゴンの体内を破壊しながら縦横無尽に移動し、暴れている模様。

これでは堪らない。

ドラゴンは湿地で無様に泣き喚きながら七転八倒。

手足は当然、尻尾までもばたつかせた。

 ついにHPMPがゼロになった。

凍り付いたかの様に微動だにしない。

それでも魔力の残滓はあるようだ。

身体全体を保全しているのが見て取れた。


 アリスとハッピーが体内から脱出して来た。

同時に、久しぶりに脳内モニターに文字が走った。

「ランクが上がりました」


「名前、ダンタルニャン佐藤。

種別、人間。

年齢、十一才。

性別、雄。

住所、足利国尾張地方戸倉村生まれ、国都在住、美濃地方木曽。

職業、子爵、木曽の領主、冒険者、幼年学校生徒、アリスの名付け親、

ハッピーの名付け親、山城ダンジョンのマスター、

木曽ダンジョンのマスター。

ランク、S。

HP、555。

EP、555。

スキル、弓士☆☆☆☆。

ユニークスキル、ダンジョンマスター☆☆☆☆☆、虚空☆☆☆☆、

魔女魔法☆☆☆☆、無双☆☆☆☆☆(ダンジョン内限定)、演技☆☆。

加護、神龍の加護。

称号、邪龍の討伐者」

「光学迷彩☆☆☆☆☆、探知☆☆☆☆☆、鑑定☆☆☆☆☆、

水魔法☆☆☆☆、火魔法☆☆☆☆、光魔法☆☆☆☆、

土魔法☆☆☆☆、風魔法☆☆☆☆、闇魔法☆☆☆☆、

錬金魔法☆☆☆☆、身体強化☆☆☆☆、透視☆☆☆☆、

契約魔法☆☆☆☆、時空☆☆☆、重力☆☆☆、氷魔法☆☆☆、

雷魔法☆☆☆」


 ついにランクがSに到達した。

そして光学迷彩と探知、鑑定が上限に達した。

でも他言はできない。

これでは化け物だ。

慰めに仲間のアリスとハッピーも鑑定した。


「名前、アリス。

種別、ダンタルニャンの眷属妖精。

年齢、19才。

性別、女。

住所、山城ダンジョン。

職業、エビスゼロの所有者。

ランク、A。

HP、222。

MP、222。

スキル、妖精魔法☆☆☆☆☆。

ユニークスキル、異種言語理解☆☆☆☆☆、収納庫☆☆☆☆☆、

変身☆☆☆、光体☆☆☆。

称号、邪龍の討伐者」


「名前、ハッピー。

種別、ダンタルニャンの眷属スライム。

年齢、2才。

性別、女。

住所、山城ダンジョン。

職業、エビス一号の所有者。

ランク、A。

HP、222。

MP、222。

スキル、ダンジョンスライム魔法☆☆☆☆☆。

ユニークスキル、異種言語理解☆☆☆☆☆、収納庫☆☆☆☆☆、

変身☆☆☆、飛行☆☆☆。

称号、邪龍の討伐者」


 二人の活躍が大きい。

後で説明してあげよう。

その前にドラゴンの始末だ。

とっ、見ると、二人が始末を終えていた。

妖精魔法でドラゴンの身体を清め、ハッピーが収納していた。

『ダンジョンに運ぶわよ』

『ぺー、みんなが喜ぶっぺよ』

『驚くの間違いでしょう』

『ポー、ぽっぽー』

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― 新着の感想 ―
[一言] せっかくのドラゴンの素材なので、肉は食べるとしても、鱗や皮や爪、牙、血など最大限に有効活用して、武装やアイテムを強化してほしいですね。 
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