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異世界ブギウギ。  作者: 渡良瀬ワタル
231/373

(大乱)34

 年が明けた。

俺は十一才になった。

そこでステータスを確認した。


「名前、ダンタルニャン佐藤。

種別、人間。

年齢、十一才。

性別、雄。

住所、足利国尾張地方戸倉村生まれ、国都在住、美濃地方木曽。

職業、子爵、木曽の領主、冒険者、幼年学校生徒、アリスの名付け親、

ハッピーの名付け親、山城ダンジョンのマスター、

木曽ダンジョンのマスター。

ランク、A。

HP(444)残量、444。

EP(444)残量、444。

スキル、弓士☆☆☆。

ユニークスキル、ダンジョンマスター☆☆☆☆、虚空☆☆☆、

魔女魔法☆☆☆、無双☆☆☆☆☆(ダンジョン内限定)。

加護、神竜の加護」

「光学迷彩☆☆☆☆、探知☆☆☆☆、鑑定☆☆☆☆、水魔法☆☆☆、

火魔法☆☆☆、光魔法☆☆☆、土魔法☆☆☆、風魔法☆☆☆、

闇魔法☆☆☆、錬金魔法☆☆☆、身体強化☆☆☆、透視☆☆☆、

契約魔法☆☆☆、時空☆☆、重力☆☆、氷魔法☆☆、雷魔法☆☆」


 いつ見ても凄いな、俺。

でもこれは他人には披露できない。

知られたら、どんな目で見られるか分からない。

嫉妬や羨望なら良い。

厄介なのは親切面をして近付いて来る輩だ。

俺を利用しようとするのが目に見える。

面倒臭い。

 隠忍自重、隠忍自重。

何事もぐっと堪えて、家臣達に委ねよう。

俺はそれ以上考えるのを止めた。


 領都で新年の行事を済ませた。

そうなると次は国都の屋敷だ。

学校も新年度が開始されるので戻る事にした。

来た時の人員が一人も欠ける事無く、帰途に就いた。

 箱馬車三輌と警護十騎。

先頭は騎馬五騎。

一輌目は俺とコリン、スチュアートの三名。

二輌目は俺付メイドのドリスとジューン。

三輌目には木曽の土産物。

そして後尾に騎馬五騎兵。


 土産物で箱馬車が増えた代わりという訳ではないが、

アリスとハッピーが欠けた。

欠けたが、表の人員には入れていないので問題はない。

 二人は木曽のダンジョン開発で忙しいので、暫くは帰れないそうだ。

そう聞かされると仕事中毒にも思えるが、実態は決してそうではない。

ただ単に趣味に走っているだけ。

 新規のダンジョンが出現すると同時に、

ダンジョン内にダンジョンスライムもセットになって現れる。

そしてダンジョンの開発から保守等に携わる。

そういう役目のスライムがいるのだから委ねれば良いものを、

二人は上から目線で指示を出すと言う。

・・・何様だっ、とは俺は言わない。

言えば言ったでアリスとハッピーが激しく反論してくる。

面倒臭い。

そう言えば俺、最近面倒臭いと思う事が増えた。

これが大人への階段を上がるという事なのだろうか。


 途中までイライザがチョンボに乗って見送ってくれた。

「グエッ、グエッ」

「もっとしっかり走りなさいよ」

「グェティー、グェティー」

「文句は言わない。

足でしっかり仕事をしなさい。

アンタは走るしかないんだから」

「グワー、グワイエ」


 聞いていると喧嘩してるようだが、実際はそうではない。

チョンボは怒ってもイライザを振り落とそうとはしない。

イライザも怒ってチョンボに鞭は使わない。

俺は休憩時にイライザに話しかけた。

「随分と仲が良いね」

「そうかな、こいつ我儘だから困ってるのよ」

「はっはっ、そうは見えない。

そうそう、空は飛べるようになった」

 途端、チョンボが羽根を大きく広げた。

「グワッ、グワッ、グエイ」

 飛べると言ってるようだ。

イライザが嘲笑う。

「もっと上手く飛べるようになってよね。

その前にアンタが鞍に慣れてくれないとね」

「鳥に鞍か、難しそうだね」

「短時間なら鞍なしでも良いけど、長時間になると私が困るの。

後半には何度か落ちそうになったわ」

「グゲ、グゲ」抗議しているようだ。


 俺は肩掛けバッグ経由で虚空から三つの指輪を取り出した。

「イライザとカールと、新たに家族になったチョンボに贈り物」

 イライザの顔が緩んだ。

認めたも同然。

「カールとそうなったんだろう」

「まっ、まあね」真っ赤な顔。

「国都にいる二人の家には報告したかい」

「まだよ。

忙しくて報告に戻れないの」

 俺のせいだ。

カールが代官職にあるので、帰省する暇がないのだろう。

「ゴメン、俺のせいで忙しいんだろう」

 イライザが両手で俺を制する仕草。

「いいのよ。

カールも喜んでいるわ。

木曽の土台作りは大変だけど、仕事自体は楽しんでいるわ。

私も大感謝よ。

一から造るって大変だけど、やり甲斐があるの。

それを任せて貰っているんだもの、もう大感謝しかないわ」

 正面から感謝されると照れる。

どんな顔をしていいのか分からない。

困った。


 俺は指輪の説明に逃げた。

「どれも国都の露天で仕入れた物なんだけど、しっかりした物だよ。

きちんとした術式が施されていて、自分で言うのもあれだけど値打ち物。」

 本当は俺が錬金した逸品。

自動的に使用者の指サイズに合わせる【自動サイズ調整】。

自動的に修復する【自動修復】。

自動的に周辺の魔素を吸収し、魔力に変換する【魔力自動供給】。

そして所有者を登録する【所有者登録】。

チョンボの足の指にも合う仕様にした。

「これは優れものだから誰にも内緒にするんだよ。

例えば、そうそう家族の証とかにすれば良いかもね」

 困惑気味のイライザ。

「そんなに良い物を貰っていいの」

「当然だろう。

代官とその家族なんだから。

・・・。

これは自動的にMPを供給する指輪。

これがあればカールの水魔法が途切れる事は無い筈だよ。

チョンボの場合は風魔法だね。

でも人が造った物だから、どこかで限界が来るかも知れない。

だから程々にね」

「私は・・・。

私、魔法スキルを持ってないんだけど」

「イライザの場合は習ってないだけだろう。

ずっと家の手伝いをして、それどころではなかったんだろう」

「まあ、そう言われるとそうかも」

「だからこれを機会に習ってみれば。

MPが自動的に供給されるから、何らかのスキルを得ると思うよ」

 イライザの目が輝いた。

その頭をチョンボが片方の羽で叩いた。

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