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異世界ブギウギ。  作者: 渡良瀬ワタル
220/373

(大乱)23

 冬季休暇は短い。

十二月半ばから一月半ばまでの約一月。

領地が手頃な距離なので視察する事にした。

馬でも構わなかったのだが、初めて領地を訪れるのだからと、

大人達に馬車での移動を勧められた。


 箱馬車二輌と警護十騎で国都を出た。

先頭は騎馬五騎。

一輌目には俺とコリン、スチュアートの三名。

ダンカンは国都の屋敷の執事なので留守番。

二輌目には俺付メイドのドリスとジューン。

バーバラも国都の屋敷のメイド長なので留守番。

後尾に騎馬五騎兵。

ウィリアム、彼もまた国都の屋敷担当の小隊長なので留守番。

悲喜こもごもあり、選ばれた十四名を率いて木曽に向かった。


 馬車の屋根に乗っているアリスとハッピーからの念話。

『楽しませてよね』

『パー、楽しむ』

『期待が大きいようだけど、田舎町だからね』

『それを栄えさせるのが領主様の仕事でしょうに』

『プー、栄える』

『魔物が棲む大樹海ならあるけどね』

『そこにダンジョン造って、山城ダンジョンと連結させるのよ。

出来るんでしょう、ダンマス様』

『ペー、ダンマス様』


 急ぐ旅ではないので観光しながら進んだ。

琵琶湖周遊で一泊。

美濃地方の領都見物と買い物、寄親伯爵様への挨拶で一泊。

幸いと言うか、伯爵様は国葬の流れで社交に励んでいるそうで、お留守。

執事への挨拶だけで済んだ。


 木曽領の手前の大きな神社には驚かされた。

まるで城。

完成まで後二年だとか。

ここに佐藤家のご先祖様『白銀のジョナサン様』を祀ると言う。

 そして隣り合わせているのが俺の木曽領の領都。

隣と外壁を共用にしているので、だいぶ安く上がるそうだ。

その表門に皆が勢揃いしていた。

手空きの家来達だ。

馬車を降りると見知った顔を幾つも見つけた。


 久しぶりにカールやイライザの笑顔を見た。 

代官のカール細川男爵。

強引にその補佐をしているイライザ。

イライザの気持ちが伝わっているのか、いないのか、

二人の顔色だけでは読み取れない。

 領軍を率いるアドルフ宇佐美騎士爵。

彼の場合は軍を率いる中隊長なので、

俺が王宮から騎士爵を買い与えた。

この騎士爵は本人が買うのではなく、当主が栄誉として買い与えるもの。

他の爵位と重複叙爵させても問題はない。

多くの者は真っ先に騎士爵を口にし、それから本来の爵位を述べる。

武力の象徴なのだ。


 領都は思いの外、広かった。

と言うか、空地が多かった。

木曽大樹海が近いので安全策を採り、

先に外壁で町の予定地を囲ったのだ。

 表門から続くメインストリートは石畳続きで、

その左右には基本的な公共施設が建てられていた。

領兵詰め所、町役場、町民集会所、代官所、治療院、冒険者ギルド、商人ギルド、魔法使いギルド、傭兵ギルド、錬金ギルド、駅馬車ギルド、教会、学校、宿屋二軒、料理屋三軒。

そしてその周辺には町家が増えつつあった。


 隔離された感のある長屋が何棟も見えた。

「あれは」

「奴隷の町です」

 連座制が適用されて奴隷に落された者を収容していた。

刑期はほとんどが十年前後。

問題は連座なので家族連れであること。

女子供は当然として、老人もいた。

 俺はカールに、彼等が安心に暮らせるように指示しておいた。

治療院や学校にかかる費用に関してもだ。

刑期を終えた彼等が望むのなら領民として受け入れても良いとも思った。

刑罰は刑罰なのだが、一方で彼等は被害者でもあったからだ。

全ての元凶は彼等の主人、貴族にあったのだ。


 領主の屋敷は警備の観点から、神社沿いの外壁に接していた。

なにしろ神社には国軍の駐屯地も併設されるというのだ。

これほど心強いことはない。

カールに案内されて屋敷に入った。

 仕事に復帰するので、これかの投稿が不定期になります。

今後ともよろしくお願いいたします。

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