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異世界ブギウギ。  作者: 渡良瀬ワタル
179/373

(襲来)7

 俺は魔導師達の範囲攻撃魔法の凄さに驚いた。

20翼ほどを撃墜。

予想外の攻撃力を目の当たりにした。

これならワイバーンを討伐できるのではないかと期待した。

 と、それも束の間、身体の芯から凍えた。

殺意混じりの物凄い魔力を感じた。

目の当たりにしているワイバーンとは桁違いだ。

それは俺の探知と鑑定の外から来た。

精度を荒くして広範囲を把握していたつもりが、埒外に脅威がいた。

気付いた時には遅かった。

1翼が遥か高々度から急降下して来た。

 体長は15メートルほど。

翼を広げれば30メートルほど。

他のワイバーンとは一線を画した個体。

明らかにワイバーンキング、Sランクだ。

『きっ、来たわね』警戒するアリス。

『プー、怖いプー、』動揺するハッピー。


「新たなスキルを獲得しました」脳内モニターに文字。

 続けて羅列された。

「ボール系、カッター系、アロー系、ソード系、スピア系、

漏れなく獲得しました」

「新たなスキルを獲得しました。氷魔法☆」

「シールド系も漏れなく獲得しました」

「七つの範囲攻撃魔法を獲得しました」

「ファイアストーム、ウォータストーム、アースストーム、ウィンドストーム、

ダークストーム、ライトストーム、アイスストーム」

 魔法の修業は水魔法を主体にしていて、他は疎かにしてきた。

そのせいで行使できる魔法は偏り傾向にあった。

それが、それが、全て、一挙に、見ていただけで獲得できた。

ワイバーン様、ある意味、ありがとう。


「名前、ダンタルニャン佐藤。

種別、人間。

年齢、十才。

性別、雄。

住所、足利国尾張地方戸倉村生まれ、国都在住、美濃地方木曽。

職業、子爵、木曽の領主、冒険者、幼年学校生徒、アリスの名付け親、ハッピーの名付け親、山城ダンジョンのマスター。

ランク、B。

HP(333)残量、290。

EP(333)残量、205。

スキル、弓士☆☆。

ユニークスキル、ダンジョンマスター☆☆、虚空☆☆、魔女魔法☆☆、

無双☆☆☆☆☆(ダンジョン内限定)。

加護、神竜の加護」

「光学迷彩☆☆☆、探知☆☆、鑑定☆☆、水魔法☆☆、火魔法☆☆、

光魔法☆☆、土魔法☆☆、風魔法☆☆、闇魔法☆☆、錬金魔法☆☆、

身体強化☆☆、透視☆☆、契約魔法☆☆、時空☆、重力☆、

氷魔法☆」


 王宮区画の魔導師達も脅威の接近に気付いた。

即座に対抗措置をとった。

半数が直ちに攻撃魔法を放った。

初級魔法のボール系。

ただし、初級でもランクが違うので、集束された威力は半端ではない。

ファイアボール、ウォータボール、アースボール、ウィンドボール等々。

 残った半数は防御魔法。

それぞれが得意のシールドを持ち寄るように、巧みに重ねて行く。

アイスシールド、ライトシールド、ウォータシールド、ウィンドシールド等々。

日頃の訓練の賜物だろう。

強固なシールドが組み上がった。


 ワイバーンキングが下から来る攻撃魔法を視認した。

双眼を鋭くした。

攻撃には攻撃、ブレスウィンドストームを放った。

それでもって敵の複数の攻撃を相殺、瞬時に打ち消した。

 降下速度を落とさず、そのままシールドに体当たり。

一枚、二枚、三枚と破壊し、高い建物に当たる寸前で急反転。

再び、高々度に舞い上がった。

そして、国都上空にて旋回を開始した。

 全てのワイバーンが高々度に舞い上がり、

ワイバーンキングの旋回に付き従う。

星空の下、不気味な旋回を続けられた。


 国都に住む誰もが不安に苛まれた。

防衛する将兵も、貴族も、街中の平民も、スラムの住人も。

星空を見上げ、ワイバーンの群れが、このまま立ち去るのを願った。

でも、願いは叶わない。

先頭のワイバーンキングが旋回から急降下に転じたのだ。

狙う先は王宮区画。

それに群れが付き従う。

 近衛軍が応じた。

射程に入るや真っ先にカタパルトが唸りを上げた。

投石でもってワイバーンキングの鼻先を潰そうと狙った。

弓、弩、連弩は厚い外皮を避け、目を狙う。

魔法使い達も狙いは同じ。

 魔導師達は一人を除き、全員が防衛に徹した。

王宮区画全体にシールドを張り付けた。

それが破られたら魔導師の最頂点に立つ大魔導師の出番。

持ちうる力を振り絞り、全力で反撃する。


 ワイバーンの力の根源は風魔法にある。

人のように呪文を唱えるのではない。

呼吸するように自然に持って生まれたもの。

理解しないでも、翼を広げれば風魔法の補助で空を軽やかに飛び、

ブレスで敵を攻撃できる。

 ワイバーンキングのブレスウィンドストーム。

全てを薙ぎ払う凶器そのものの暴風に風刃や風槍が入り混じり、

王宮区画を襲った。

幾重にも張り付けられたシールドを次々に打ち破って行く。

ブレスを終えると、まるで爆撃機のように余裕の反転、

高々度に舞い上がった。

 それで終わりではない。

後続の群れがいた。

残ったシールドを破壊せんと、ブレスウィンドストーム攻撃。

Sランクに比べると格段に落ちるが、それでもAランクのブレス、

破壊力は十分。

5翼目で全てのシールドを攻略した。

こうなると、後はワイバーンの時間。


 王宮区画で鐘が乱打された。

総員退避、直ちに屋内に退避せよと告げた。

ワイバーンと戦っている近衛軍の将兵も含まれていた。

一兵卒から将校、魔法使い、魔導師匠、司令官までが、

それまで扱っていた武器を置き去りにして従った。

 例外が一人いた。

近衛軍の司令官と同待遇の大魔導師だ。

彼のみが屋上に残ることを許されたと言うか、最後の切り札であった。

 彼はこうなると想定して準備万端整えていた。

後は発動するのみ。

総員退避したかどうかの確認もせず、

ワイバーンの後続が接近するのも構わず、呪文を詠唱した。

正しい文言、正しい発音、正しい息継ぎを心掛けた。

 夜空に魔法陣が描かれて行く。

誇るかのように光り輝くそれは広域攻撃魔法の魔法陣。

完成するや、その証か、いきなりの暴風、続けて雷鳴、そして落雷。

 国都上空で爆発するかのような雷鳴が無数、連続して轟いた。

間髪入れずに落雷がこれまた無数、連続して落ちた。

 ワイバーンの群れが無事でいられる訳がない。

落雷を受けると身体が真っ二つになる。

彼等に対抗する術はない。

逃走を図り、方向も定めず闇雲に飛ぶも、逃れられない。

 ワイバーンも凄惨な有様だが、王宮区画も目が当てられない。

建物が落雷で破壊されるか、

落下するワイバーンの重みで圧し潰されるか、

いずれにしても最悪の結果を招いていた。

綺麗事で言えば、王宮区画を捨てて外郭を守ると・・・。

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