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異世界ブギウギ。  作者: 渡良瀬ワタル
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(解放)8

 アリスとハッピーが助け出した三人を連れて俺の傍に飛んで来た。

用件は言わずと知れたこと。

入浴と洗濯のライトクリーン。

続けて心身の疲労を取り除くライトリフレッシュ。

囚われていた妖精三人を回復させた。

 その様子を見たデミアンが怒鳴り声。

「舐めた真似を、殺せ、殺せ」

 デミアンの配下が一斉に動いた。

まず五人の魔法使いが攻撃してきた。

と言っても所詮はスラムの魔法使い。

しょぼい火魔法に風魔法、水魔法。

 俺は水魔法で防御。

ウォーターシールドを周囲に張り巡らした。

全ての攻撃を跳ね返し、ランク違いを鮮明にした。


 学ばないのだろう。

第二陣、十二人が槍や剣、斧を片手に襲って来た。

 俺は水魔法で応じた。

イメージはミサイル乱射。

ウォーターボール、水弾を自動装填し、

襲撃して来る連中全員の肘膝の何れかをアトランダムでロックオン。ホーミング誘導、遊び心で軌道は高速カーブ。

順次、放った。

 一人として逃さない。

連中の中には防具を身に付けている者もいるが、

俺の攻撃の前には無力でしかない。

簡単に破壊し、狙った部位に当てた。

全員が肘膝の欠損により、手足の何れかが飛び、

出血と痛みで悲鳴を上げた。

 次はデミアンと五人の魔法使い。

彼等にも水弾第二波を向けた。

対応の早い奴がシールドを張るが、無駄。

ここでもランク違いを見せつけた。

いとも簡単に破壊して着弾。

 驚かされたのはデミアン。

水弾を寸前で素早く躱した。

流石はBランク。

でもホーミング誘導なので、追尾から逃れられる訳がない。

水弾は大きな軌道を描いて反転した。

 足掻くデミアン。

何を考えたのか、考えないのか、長剣で対峙。

思い切り振り下ろした。

水弾を真っ二つに切り裂いた。

 もしかしてと思い、俺は長剣を鑑定した。

術式が付与されていた。

切れ味特化の魔剣仕様ではないか。

 ポキリ。

長剣が鍔元から折れた。

耐久性はなかった。


 デミアンの逃げ足は速かった。

長剣が折れたと同時にテントから一目散だった。

配下の者達には一瞥もくれない。

あざとい。

これが悪党の生き残る道なのだろう。

 テント内に居残っていた値付け客等も逃げ出す。

状況の悪化をようやくの事で理解したようで、

テントから転げ出る醜態を演じた。

場内は怪我人の悲鳴と泣き声、散らばる手足、

魔物の幼体の声に異臭、それらが入り混じり、実に殺伐としていた。


 俺は動けない。

デミアンどころではなかった。

問題は別の檻。

人間や獣人の子供達が入れられている檻。

幼体か、それとも幼児か、・・・同じか。

 これは・・・。

攫って来たのか、あるいは牧場があるのか。

どちらにしても見過ごせない。

 そんな俺にアリスからの念話。

『ダン、これ貰うね』

 そちらを振り向いた。

アリス達はワイバーンの卵の檻を見下ろしていた。

『どうするの』

『生卵のうちに、みんなで飲むのよ』

『俺もかい』

『当然でしょう。

精力がつくわよ。

ダンもどう』


 脳内モニターに文字が走った。

「Aランクの者が接近しています」

 探知と鑑定の範囲を広げた。

見付けた。

Aランク。

公爵家に仕える男爵様で、公爵家の警備兵の隊長。

得意なのは槍術と体術。

根っからの武闘派だ。

彼が兵士七人と魔法使い三人を連れ、こちらに向かって来た。


 俺はアリスに敵接近を知らせた。

『Aランクは俺が引き受けるから、アリス達は邸内で思い切り暴れてくれ』

『一人で大丈夫なの』

『俺も暴れたい気分なんだ』

 アリスは察したのか、幼児の檻を見遣った。

『助けたいの』

『助けられるものなら助けたい』

『でもダン、アンタはまだ子供。

あんなに大勢の母親役は出来ないでしょう』

『分かってる』

『で、どうしたいの』

『公爵邸に奉行所や国軍の連中が踏み込む理由が欲しい』

 幼児を奉行所か国軍に発見させるしかない。

『・・・そうね、私達が公爵邸を壊して回れば良いのね』

『それで頼む』

『任された』

『パー、ピー』ハッピーも頷いた。


 決まると早い。

アリス達は風魔法を連発。

テントの屋根を大きく切り裂いて、そこから抜け出した。

 彼女達と入れ替わるようにAランクが部下を率いて現れた。

テントに入ると、中の様子を見て足を止めた。

落ちていた腕を俺の方へ蹴り飛ばした。

「これはお前の仕業か」

 デミアンの時もそうだったが、口を開く気分ではない。

口を閉じたまま、ジッと睨みつけた。

個人に恨みはない、が、許せない。

 Aランクの部下達が左右に走り、俺を遠巻きに包囲した。

それを見ながら奴はなおも俺に問う。

「妖精の檻が空だ。

どうした。

今返すなら許してやるぞ」

 人を舐め切った態度。

高ランクに胡坐をかいているとしか思えない。

部下の一人がテントの天井を指し示した。

それで奴も察知した。

「なるほど、そういう訳か。

喋る気がないなら、喋らせてやろう。

・・・。

こいつを捕らえろ。

怪我させても構わん。

ポーションで治す」

 一斉に部下達が行動に出た。

初手は三人の魔法使い。

一拍開けて七人の兵士が武器を片手に、詰めて来た。

デミアンの配下に比べて連携が取れていた。

常日頃の訓練の賜物だろう。


 公爵邸の魔法使いの攻撃は火魔法と風魔法。

スラムの魔法使いに比べて威力が高い。

魔法学園の卒業生なのだろう。

 三人目はその隙を突くように俺を鑑定する。

こちらも練度が高い。

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