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異世界ブギウギ。  作者: 渡良瀬ワタル
167/373

(解放)5

 その日は直ぐにやって来た。

俺が午後の実技授業が終え、疲れた身体で寮に戻ると、

いつもは姿のないアリスやハッピーがベッドで寝転がっていた。

『いつまで待たせるの。

待ち草臥れちゃった』

『ピー、遅い遅い』

 二人共やる気満々。

俺はそんな態度に呆れた。

『闇市の開始は夕刻だよ』

『分かってるわよ。

でも待ちきれないの』


 俺は汗まみれの自分に光魔法をかけた。

入浴と洗濯のライトクリーン。

心身の疲労を取り除くライトリフレッシュ。

それから真新しい衣服に着替え、

一番上には夏用の丈の短い橙色のローブを羽織った。

『僕は昼食は済ませたけど、二人はどうする』

『プー、途中でなんか買ってよ』

『暑いから冷たいジュースね』


 俺は帰宅する生徒達に紛れて学校の正門を出た。

そのまま東区画へ向かう。

アリスとハッピーの二人は当然ながら子猫姿で、

学校側が設置した結界や巡回する警備員の目を避け、

敷地から抜け出し、屋台の近くに先回りして俺を待ち構えていた。

『ペー、屋台屋台』

 屋台で焼き鳥とジュースを買い、近くの公園に寄り道した。

二人に焼き鳥とジュースを渡し、俺はこれからの手順を再検討した。


 公爵邸は偵察済み、既に3D化していた。

当主や使用人、警備体勢も把握済み。

ただ、闇市が開かれる本日は変化する筈だ。

特に警備体制が。

デミアン・ファミリーが動員されるだろう。

ただの暴力装置なら問題はない。

蹴散らすだけ。

危惧するのは、ただ一つ。

探知や鑑定、あるいは攻撃が得意な魔法使い。

今回はアリスだけでなく、ハッピーがいる。

侵入する際に発見されると面倒だ。

それに貴族街なので、近隣の屋敷にいるかも知れない。

 はたと気付いた。

俺のステータス偽装は・・・。

これまではランクが低い奴が相手だったので、一度も見破られていない。

王宮でさえそうだった。

それに偽装に触れられれば、脳内モニターが教えてくれる。

でも、でもね・・・。

悪戯心が擽られた。

 そうだ。

もう一つ偽装しよう。

悪党ステータス。


「名前、ブラック。

種別、人間。

年齢、三十才。

性別、雄。

住所、足利国山城地方国都住人。

職業、悪党。

ランク、B。

HP、150。

MP、150。

スキル、全属性魔法」


 自分で言うのも何だが、

俺を鑑定できる奴がいるのか・・・。

ましてや偽装と見破れる奴は・・・。

まあ、いいか。

念の為、用心用心。

そんな俺の自己満足にアリスが気付いた。

ジュースから口を離した。

『悪い顔をしているわね。

何を企んでいるの』

 俺は素直に訳を話した。

するとアリスが乗って来た。

『面白そう、私も私も』


「名前、レッド。

種別、ブラックの仲間。

年齢、一才。

住所、足利国山城地方住人。

職業、悪党。

ランク、B。

HP、150。

MP、150。

スキル、全属性魔法」


 偽装を施してやると満足そうに笑みを浮かべるアリス。

『悪党か、良い響きね。

でもどうしてランクBなのよ』

『なんとなく』

 隣のハッピーが焼き鳥を飲み込み、俺とアリスを見比べた。

『パー、面白い事なら、僕も僕も』


「名前、ブルー。

種別、ブラックの仲間。

年齢、一才。

住所、足利国山城地方住人。

職業、悪党。

ランク、B。

HP、150。

MP、150。

スキル、全属性魔法」 


『ピー、悪党悪党、みんなと一緒』心から喜んでくれた。

『ねえダン。

私達には覆面はないの』

『プー、覆面覆面』

『子猫用の覆面かい』

『そうよ』

『ペー、覆面覆面』

 面倒臭い。

でも断ると、余計に面倒臭そう。

自分のと同じで錬金で作ることにした。

材料はミカワサイで、色違いにして、

目鼻口の三か所に小さな穴を開けた。

夏場の猫には必須の、汗対策の風魔法の術式を施した。

アリスには赤の覆面。

ハッピーには青の覆面。

それを渡すと二人は覆面を被り、嬉しそうに跳ね回る。

『これはこれで良いわね』

『ポー、これでお仕事、がんばる』


 夕刻には早いが行くことにした。

みんなで悪党ファッション、悪党ステータス、そして光学迷彩。

上空へ、探知に引っかからぬ高さまで転移。

そこから目的地上空へと更に転移。

下をズームアップで確認した。

 最上位の貴族だけあって公爵邸は広い。

無駄に広い。

使わないのか、放置してるのか、手入れされていない箇所まである。

奥まった所にある池と、それを囲む雑木林だ。

人の丈より伸びた雑草がぼうぼう。

偵察時同様、本日も人影はなし。

 俺達は偵察時にはなかったテント村を見付けた。

表の庭園に軒先を並べ、大勢が独楽鼠のように動き回っていた。

どうやら、ここが闇市の一般品の売り場なのだろう。

だとすると俺達が目指すオークション会場は・・・。

ジッと人の動きを観察した。

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