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異世界ブギウギ。  作者: 渡良瀬ワタル
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(帰省)18

 ドラゴンの言葉が終わると同時に俺は全身が痺れる感覚を味わった。

それはほんの一瞬だった。

光学迷彩と関連付けている光体は空気以外、何も通さないが、

ドラゴンが何かをしたらしい。

 疑問に思いながらドラゴンを見上げた。

いない。

姿がない。

転移か・・・。

 勘が働いた。

ズームアップで南に向かったドラゴンを探した。

見つけた。

遠ざかる小さな点がそれだ。

視線をその遙か上空に向けた。

いた。

そこに見つけた。

転移していた。

大きなドラゴンも南を目指していた。

親子、もしくは保護者として同行しているのだろう。


 アリスが溜め息混じりに言う。

『ひゃー、恐い、恐い~。

次からは相手を選ばなきゃ』

 反省してるのか、してないのか。

すると脳内モニターに文字が現れた。

「新たに加護が、そしてスキルが追加されました」


「名前、ダンタルニャン。

種別、人間。

年齢、十才。

性別、雄。

住所、足利国尾張地方戸倉村生まれ、国都在住。

職業、冒険者、幼年学校生徒、アリスの名付け親、

山城ダンジョンのマスター。

ランク、B。

HP(333)残量、333。

EP(333)残量、333。

スキル、弓士☆☆。

ユニークスキル、ダンジョンマスター☆☆、虚空☆☆、魔女魔法☆☆、

無双☆☆☆☆☆(ダンジョン内限定)。

加護、神竜の加護」


 ステータスを確認した。

神竜の加護。

ではスキルは。

魔女魔法を詳しく見た。



「光学迷彩☆☆☆、探知☆☆、鑑定☆☆、水魔法☆☆、火魔法☆☆、

光魔法☆☆、土魔法☆☆、風魔法☆☆、闇魔法☆☆、錬金魔法☆☆、

身体強化☆☆、透視☆☆、契約魔法☆☆、時空☆、重力☆」


 追加されていた。

時空と重力。

どちらも☆一つ。

 次はアリスのステータスを見た。

変化なし。

 それをアリスに告げた。

すると怒る、怒る。

『神竜だったの~。

なによ、それ、巫山戯るんじゃないわよ~、プンプン。

私も加護が欲しい。

差別、差別よね。

断固、抗議するわ。プンプン』両手で俺の頭を叩く。

 でも冷めるのも早い。

『ねえダン。

神竜の加護は恐いわよ』俺をジッと見詰めた。

『どういうこと』

『神竜の加護があるから竜種に遭遇しても攻撃される事はないわ。

でも、一つ問題があるの。

竜にも邪神がいるの。

滅多に遭遇する事はないと思うけど、邪神の竜と神竜は仲が悪いから、

充分に気を付けることね。

・・・。

特に私を巻き込まないでよね』

『邪神の竜か・・・』

『そうよ。

人間の寿命だと滅多に遭遇しないわね』

 神竜にも滅多に遭遇しないと思う。

でも遭遇してしまった。

となると邪神の竜に・・・。

『恐い、恐い』


 俺はアリスに尋ねた。

『それはそうと、どうして伝説の竜魔法をくれないのかな』

『身体の構造の問題よ』

『構造・・・』

『ドラゴンのブレスを見たでしょう。

アレを体内から吐き出すのよ、アンタにできる』

『アレは・・・、できないな』

『でしょう。

だから格落ちの時空スキルと重力スキルにしたのだと思うわ。

この二つはダンジョンマスターと相性が良いのよ。

それが何なのか分かる~』

『んー』

『ダンジョンでしかお目にかかれないものよ』

『もしかして転移』

『もしかしなくても転移よ。

ダンジョンマスターの転移は完璧で、

時空操作と重力操作で転移酔いせぬように造られてるわ。

これが、どちらか一方でも欠けたら、

普通の人間だと転移の途中で簡単に死ぬわね。

感謝しなさい』

 殺したダンジョンマスターに感謝しろと・・・。

しかし、内蔵されてる物を二つに・・・。

『ダンジョンマスターに内蔵されてるスキルを、

わざわざ二つに分離した訳は』

『たぶんだけど、親切心ね。

時空スキルで亜空間の拡張・・・。

重力スキルだと、私のように飛べるようになるかもね』

 んっ・・・、飛べる・・・。


 アリスの目が泳いだ。

何を思ったのか、一言もなく光学迷彩から飛び出した。

ジャングルのほとんどど真ん中、広い更地に降りて行く。

さっきまでドラゴンと獣達が争っていた場所だ。

そのドラゴンが去ったからか、何時の間にか獣達も姿を消していた。

ところが痕跡だけは、くっきり残っていた。

あちらこちらが凸凹。

 挙動不審なアリス。

左右を見回し、確認しながら小さな手を地面に伸ばし、

何やら触れて収納していく。

 アッ、・・・俺は臍を噛んだ。

慌ててアリスの後を追った。

そして探知と鑑定で更地を探し回った。

ない、ない、獣達との乱闘でドラゴンから剥がれ落ちた鱗がない。

アリスに全て回収されてしまった。

 そんな俺を見てアリスが飛んで来た。

『残念でした』ドヤ顔で収納から一枚取り出して見せびらかす。

大きい。

アリスの十倍以上はある。

 鑑定した。

「ドラゴンの鱗です」

 成体のドラゴンの鱗ではないが、まずこれも市場には出回らぬ逸品。

ミスリル等との相性も良く、加工材としては、この上ない物だ。

悔しい。

アリスに出遅れた。


 アリスが手にしていた鱗を俺に差し出した。

『可哀相なダンにあげる』

『ほんとうに』

『これでデーターを取れば何枚でも複製できるでしょう』

『・・・、もしかして』

『錬金で我慢しなさい』

 錬金で複製も出来るが、品質を上げる事も出来る。

この鱗以上の物が造れる。

そこは言わずにおいた。

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