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2,3

欠落部分を補完しました

 十二月十八日。暖房をつけていない一人暮らしの部屋は、凍えるような寒さだった。深酒をしていてまどろんでいたら、マナーモードにしていたスマートフォンが震える。

 メールを受信していた。

 珍しい。連絡を取り合う人なんていないのだから。

 夜も更けている。こんな時間に誰だと思いながら、のろのろと新着メールを確認した。


 12.18 04.15

 タイトル「私が続きを書かなければ、あなたは生きてくれますか」

 添付ファイル 1件 「未完の原稿」


 電波系の、新手の迷惑メールか。

 中身を見ることなくメールを消そうとした。眠いのだ。瞼が重たい。こんなもの早くなかったことにして寝よう。

 いや、待て。差出人のアドレスを確認してからでも遅くない。気まぐれを起こして、迷惑メール報告画面を立ち上げて、安全に中身を確認した。

 Saisatask.bloomed-like@*****.ne.jp。

 差出人のドメインは携帯電話のキャリアメールだった。パッと見では迷惑メールを大量に送信しているようなところではなさそうだ。それどころか、どことなく意味のあるようなアドレスに少し戸惑う。意味づけや何かの単語を好きに設定したメールアドレス。携帯電話を持ち始めたくらいに流行ったつけかただ。電話帳に登録はなかったけれど、見覚えはあった。

 記憶をたどる。……佐井たすく。これは彼のメールアドレスだ。連絡をとらなくなって長い。

 どういうわけだか、ほとんど使うことのなかったメールでなにかを送ってきたらしい。

 となると変なものではないだろう。

 添付ファイルを開く。ワードファイルで、結構な重さだったからか、ダウンロードに思ったより時間がかかった。

 ウイルスにかかっていないことを確認し、ファイルを開く。

 文字がびっしり。中身は原稿のようだ。1行目に書かれていた『異世界への通行証』というタイトルを見て納得した。キャラクターの名前と設定にも覚えがある。佐井くんが昔書いていた短編だ。

 ななめ読みをしていくと、覚えている短編とはやや異なるストーリー展開をしている。いや、それだけでなく枚数が多い。続きを書いたか、はたまた丸ごと書き直したか。どちらかだろう。

 と思うと、『異世界への通行証』は終わってしまった。残り枚数はまだ十数ページあることを示している。意味のない白紙でも続いているのか。それでも戯れにスクロールさせた。

「私が続きを書かなければ、あなたは生きてくれますか」

 目に飛び込んできたのは、どこかで聞いたことのある一文だった。このフレーズがひっかかる。眠気はあいかわらずひどいが、寝落ちをするのなら、それだけのことだったのだろう。枕元に置いてある缶チューハイの中身は空だった。私はスーパーの袋から梅酒を取り出して、一口飲んでから画面に映る世界にとんだ。

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