とある異世界の思い出
序 章
「じぃーちゃぁーん」
家の屋根裏の方から孫の声がする。
「おー、どうした?」
ゆっくりだがお年寄りには見えないしっかりした足音で祖父があがってくる
「これなあに?」
屋根裏に置いてあるいくつかの箱の中の一つがあけられている。
祖父がのぞきこむと懐かしい品物が数多く入っていた。
「ここにあったのか…」祖父は懐かしさと寂しさと少しテレたような顔で箱の中の品物をとりだす。
中には色褪せた衣装、装身具
「ねーねーじいちゃん何?」
孫は不思議そうな顔をしていても目がキラキラ輝いていた。
「そーだな、これはこの国の英雄達が身につけていたものだ」
「英雄!ってあの方達のことだよね!」
「何でじいちゃんがもってんの!」
驚きと矢継ぎ早の質問攻撃がつづきそうになるまえに祖父が口を開く
「これこれ、話してやるからまずはここを降りて下にいこう。ばぁさんにお茶を入れてもらってな」
「分かった!僕先にいってくる」
「気をつけて降りるんじゃぞ」
一目散に降りていく孫の元気な足音それを聞きながら祖父はいくつかの衣装を持ちゆっくりと下に降りる
「久しぶりだな、イーズ、ラルス」
衣装を抱え彼は呟いた。
階下では誇りまみれの孫が祖母に怒られているのであろう賑やかな声がする。
「さて行って話すとするか」
かれは歩き出す。先程の孫とおなじように顔は輝き
に満ちていた。




