表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
偽りの救世者  作者: haL.
1/1

第1話 無意味な日常

自宅警備で十分だった。そう考えるのはあれから何度目だろうか。外は煩い。他人が怖い。だが、今は俺が“救世主”だ。


あれからもう2週間経つが、あの「瞬間」は、今でもふと思い出す。脳裏に焼きついているのだ。ー微かな高揚と後悔と共にー




2週間前


俺は、正真正銘のニートだった。大学はとうの昔に卒業している。24歳となると、周りの同級生は皆バリバリ働いて、活気に満ち溢れている。だが俺は親に寄生「中」である。仕事をしたくない、というより周りの人と合わない。バイトは何度かした。しかし、1週間以上同じ場所で働いた記憶は無い。他人に罵られ叱られていくうち、自然と精神は磨耗し、立ち去っていったからだ。


話は変わるが、俺の家は4階建てである。間取りは1階は倉庫、2階は書斎と両親の部屋、3階は俺の部屋、4階は寝室である。


午前11時頃(水曜日)


 勤務中である。勿論、自宅の警備中だが。父親は会社に働きに行っている時間帯である。母親は大抵家で家事をしている、が、毎日毎日めげずに俺に社会復帰するように言ってくる。正直鬱陶しい。俺のことを思って言ってるのは理解できるんだが。

そんなこんなで俺は今日もノートパソコンを起動させる。就職活動?何それ美味しいの?俺は知らない。もちろんネトゲをするためだ。今流行りのMMORPG「救世者」である。

 諸説あるが、モチーフは近未来の荒廃した日本だ。家々は壊れ、ビルは木っ端微塵となった街を駆け抜け、住み着いた謎の「機械化生物」を仲間と共に倒し、人類の土地と尊厳を取り戻す「ニューワールド計画」を遂行させるのが目的である。

 このゲームの特徴は大きく分けて2つだ。

 1つ目は、地形である。綺麗なグラフィックで描かれた3Dの地形は、一説によると、忠実縮小された日本が再現されているらしい。俺もネットの書き込みを見て興味を持ち、探索してみると最寄り駅の残骸らしき物を見つけたこともあった。このゲームにはあからさまに不自然な点が多い。俺が何故、「探索」したのか。どのMMOにも有りがちな全体エリアマップが無いのだ。日本と言う説が生まれたのも、俺以上に暇な、「俺以上に」、暇な人達が、ネット掲示板を利用して地道に計測した結果である。

 2つ目は、ゲームシステムである。キャラクターメイキング時から着けている腕輪(ディスティニー・バングル)が示す数字、「アクトナンバー」を消費してスキルを発動するのだ。「アクト・ナンバー」は時間経過で溜まる「アクトゲージ」が満タンになると、1増える。因みにアクトゲージは約30秒で1増える。

 装備は、敵からドロップする部品を集めて作成する。たが、加工屋どころか、武器屋も防具屋も雑貨屋出さえない。全ては1キロメートルおきに点在する、直径5メートルほどの白い円柱状の建物(ライフ・ポール)で行う。所持品の整理から装備の変更、指定数の特定部品を消費して、武器や防具、アイテムを作成できる。

 また、特筆すべきはPK(プレイヤーキル)が可能な点だ。よって、パーティープレイは全て信頼の上に成り立っている。このゲームでの死は現実での死を意味する、とよく言われる。勿論比喩表現である。と言ってもデスペナはえげつない。部品を除く全アイテムのロストである。プレイヤーの努力の結晶は呆気なく消滅する。そして皆は言う。俺も言った。「こんなゲーム、誰がやるか。」と。

 だが、この理不尽な設定が瞬く間にゲームをヒットさせた切っ掛けとなった。


 大まかに言うと、こんな感じのゲームである。少々熱く語りすぎてしまった。俺は好きなことととなるといつもこうだ。まあいい。この平凡で単純な日常は文字通り破壊されるのだから。


 それはまだまだ、先のお話。










小説書き始めました。

稚拙な文となりますが、のんびり更新していくので、宜しくお願いします。

追記:話自体はそのままで、タイトルを少しだけ変更しようと思っています。更新はかなり先になるかもです。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ