添付‐第13話 SNS反響分析レポート
「新・福あかりまんじゅう」に関するSNS反響分析レポート
報告日: 2025年XX月XX日
報告先: 鈴木 誠一郎 取締役
作成者: 品質管理課 佐藤 健太
1. 分析サマリー
件名:
新商品「新・福あかりまんじゅう」発売初日における、SNS上の顧客反応の定性的・定量的分析
概要:
新商品発売初日、食通インフルエンサー「黒木シュン(@Kuroki_Gourmet)」氏のX(旧Twitter)における批判的投稿をトリガーとし、SNS上で弊社製品に関するネガティブな言及が爆発的に増加。本レポートは、発売後24時間に投稿された主要なSNS(X、Instagram)上のコメント約3,500件を分析し、その傾向と主要因を特定するものである。
結論:
顧客の批判は、単なる「味の変化」に対する不満に留まらない。「長年の信頼を裏切られた」という、極めて強い感情的な反発が、炎上の中核を形成している。現時点でのセンチメント比率は、**否定的意見が78%**を占め、極めて深刻なブランド毀損が発生していると判断される。早急、かつ、誠実な対応がなければ、回復不可能なダメージに至る可能性が極めて高い。
2. 定量的分析
・分析対象期間: 発売日 9:00 〜 翌日 9:00 (24時間)
・収集データ総数: 3,582件(X, Instagramの#福あかりまんじゅう を含む投稿)
・センチメント比率:
・否定的 (Negative): 78% (2,794件)
・中立 (Neutral): 17% (609件)
・肯定的 (Positive): 5% (179件)
主要ネガティブキーワード・出現頻度ランキング:
・1位
・キーワード: 味が落ちた
・出現数: 1,982
・関連コメントの傾向: 最も直接的かつ多数の批判。
・2位
・キーワード: 昔の方が
・出現数: 1,540
・関連コメントの傾向: 過去製品との比較による、ノスタルジーと失望感。
・3位
・キーワード: 残念
・出現数: 1,211
・関連コメントの傾向: 長年のファンと思われる層からの、強い失望。
・4位
・キーワード: 値上げ
・出現数: 975
・関連コメントの傾向: 品質低下と価格改定を結びつけた、不満の表明。
・5位
・キーワード: 裏切り
・出現数: 850
・関連コメントの傾向: 最も感情的で、根深いブランド不信を示す言葉。
3. 定性的分析(主要コメント抜粋)
【トリガーとなった投稿】
・投稿者: 黒木シュン 横浜グルメ探訪 @Kuroki_Gourmet
・内容:
【悲報】子供の頃から愛してやまない、福あかり本舗の『福あかりまんじゅう』。今日から新しくなったと聞いて、早速買いに走ったのだが…。
…これは、もはや、俺たちの知る、あのまんじゅうではない。
確かに、あんは滑らかになったのかもしれない。だが、失ったものがあまりにも大きい。上品な甘さの奥にあった、あの、すっきりとした『後味のキレ』が、完全に消えている。代わりに舌に残るのは、ぼんやりとした、輪郭のない甘さだ。
老舗の挑戦は、尊重したい。だが、これは「進化」ではなく、「劣化」だ。あまりにも、悲しい。
#福あかりまんじゅう #さよなら俺たちのソウルフード #横浜グルメ
(リツイート: 1.2万 / いいね: 3.5万 / 表示回数: 250万回)
【カテゴリ別・代表的な顧客コメント】
A:否定的・批判的コメント(最も多数)
・@yokohama_lover
福あかりまんじゅう、マジか…。値上げした上に、味が落ちるって、どういうこと?もう二度と買わない。
・@sweets_patrol
なんか、あんこが水っぽくなった?前はもっと豆の味がしっかりしてたのに。がっかり。
・@mama_life_ykhm
これで値段据え置きならまだしも、1個20円も上がってる。この味でこの値段は、ないな。完全に客をナメてる。
B:懐古・失望コメント(長年のファン層)
・@hamakko_BBA
私が子供の頃、おばあちゃんがいつも買ってきてくれた、あの福あかりまんじゅうは、もう、どこにもないのね…。本当に、本当に、残念です。涙が出そう。
・@since1985_Fukuakari
30年間、横浜を離れる友達には、必ずここのまんじゅうを渡してきた。もう、それも、できないな。俺の青春の味が、消えた。
・@motomachi_gentle
先代の社長が、どれだけ、あの「後味」にこだわっていたか…。今の経営陣は、それを知らないのだろうか。悲しいというより、虚しい。
C:中立・疑問コメント
・@nani_kore_nani
ん?福あかりまんじゅう、なんか変わった?気のせいかな?
・@doushitano_Fukuakari
原材料、変えたのかな?パッケージの裏の表示、前と違う?誰か知ってる人いますか?
D:肯定的・擁護コメント(少数)
・@ganbare_Fukuakari
色々言われてるけど、私は新しい方が滑らかで好きだけどな。今の時代、値上げも仕方ないと思う。頑張ってほしい。
・@local_love
地元の企業なんだから、みんなで応援しようよ!きっと、何か事情があったんだよ。
4. 結論・考察
今回の炎上の本質は、単なる「味の劣化」ではない。顧客は、味の変化そのものよりも、「長年、愛してきたブランドから、何も知らされずに、梯子を外された」という、コミュニケーションの不在に、深い失望と、裏切りに近い感情を抱いている。
特に、「昔の方が」「残念」といった、ノスタルジーに紐づくワードの出現率の高さは、我々が相手にしているのが、一過性の消費者ではなく、ブランドの歴史そのものを愛してくれていた、ロイヤルカスタマーであることを、明確に示している。
彼らの信頼を回復するためには、マーケティング的な「火消し」や、「キャンペーン」といった小手先の手段は、さらなる炎上を招くリスクが極めて高い。
我々が今、提示すべきは、「反論」ではなく、「誠実」と「透明性」。そして、今回の味覚の変化が、決して「劣化」ではなく、我々が目指す「品質」のための、苦渋の、しかし、前向きな「選択」であったことを、鈴木取締役が持つ、客観的なデータと共に、我々自身の言葉で、直接、顧客に語りかけること以外に、道はないと考える。




