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添付‐第7話 経営再建計画書


■福あかり本舗 経営再建計画書


提出日: 2025年6月21日 提出先: 株式会社みらい銀行 御中 提出者: 株式会社福あかり本舗 代表取締役社長 高梨 英治


件名:経営改善計画の提出、及び、金融支援に関するお願い


拝啓、時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。平素は格別のご高配を賜り、厚く御礼申し上げます。


さて、先般ご指摘いただきました弊社の経営状況につきまして、社内で精緻な分析と、再生に向けた徹底的な議論を重ね、この度、全社一丸となって断行する「経営改善計画」を策定いたしましたので、ご報告申し上げます。


本計画は、単なる延命措置ではございません。弊社の伝統である「品質」を、現代における最大の競争力へと昇華させ、3ヶ月以内に営業キャッシュフローの黒字化、6ヶ月での黒字定着、そして12ヶ月後の財務基盤安定化を達成するための、具体的かつ実行可能なアクションプランです。


つきましては、本計画の実行にあたり、現在ご融資いただいております短期借入金の返済条件の見直し(リスケジュール)、並びに、当面の運転資金確保のための追加金融支援を賜りたく、謹んでお願い申し上げる次第でございます。


何卒、本計画をご精査いただき、弊社の再生にご理解とご支援を賜りますよう、お願い申し上げます。 敬具


■1. 経営課題の要約


弊社は、深刻な営業赤字体質と、それに伴うキャッシュフローの悪化という問題に直面しております。その主たる原因は、昨今の急激な原材料費高騰による原価率の著しい悪化(85%)です。現状のビジネスモデルのままでは、3ヶ月以内に資金ショートに陥る可能性が極めて高いと分析しております。


■2. 再建計画の全体像と目標


本再建計画は、最初の3ヶ月を「緊急止血フェーズ」、その後の期間を「成長戦略フェーズ」とする二段階で構成されます。短期的な財務改善と、中長期的な成長基盤の構築を同時に実行することで、持続可能な黒字化を達成することを目指します。


■3. フェーズ1:緊急止止血と体質改善(アクションプラン詳細)


まず最優先課題として、売上総利益(粗利)の改善に取り組みます。


そのための施策として、原材料コストの抜本的な見直しと新商品戦略を実行します。全社平均の原価率を現状の85%から70%へ引き下げることを目標とし、45日以内に新商品の試作から生産ラインの調整までを完了させます。具体的な施策としては、まず現行の「福あかりまんじゅう」を「福あかりまんじゅう・極」と再定義し、価格を15%引き上げた上で、高付加価値の限定生産品へ切り替えます。同時に、品質とコストのバランスが取れた新しいブレンド豆を使用した「新・福あかりまんじゅう」を緊急開発し、標準品の原価率を68%に抑制します。この施策により、月間5万個を出荷した場合、粗利は月あたり約850万円の改善が見込まれます。


この原材料コスト改善について、主力商品「福あかりまんじゅう」を例に具体的にご説明します。従来品は国産手亡豆を主原料としており、1個あたりの製造原価100円に対し原価率は84.7%と非常に高い水準でした。これを改善するため、主原料を品質基準を満たした外国産・国産のブレンド豆に切り替えた「新・標準品」を開発します。この変更により、白あんのコストを50円から30円へと削減でき、結果として1個あたりの製造原価は80円まで下がります。これにより、製造原価率は67.8%へと16.9ポイント改善し、目標としていた70%を達成することが可能です。


次に、不採算商品の即時製造を中止します。「製造原価率80%以上、かつ月間販売数1,000個未満」という基準に基づき、収益を圧迫している商品の製造を中止することで、月あたり約80万円の損失を圧縮します。


製造中止の対象となるのは、「秋限定・栗きんとんもなか」と「桜あん団子(3本入)」の2品目です。「秋限定・栗きんとんもなか」は製造原価率が88%で、試算では月間約42,500円の損失、「桜あん団子(3本入)」は原価率92%で月間約34,800円の損失を生んでいます。この2品目の製造を中止することで、合計で月あたり約8万円、年間で約96万円の営業損失を直接的に圧縮できます。


販管費についても徹底的な見直しを行います。広告宣伝費については、月間600万円の支出をSNS運用と成果報酬型広告に切り替えることで150万円まで圧縮し、年間5,400万円の削減を目指します。業務効率化の観点からは、受注・発注業務にRPAツールを導入します。45日間で導入を完了させ、月間30時間分の間接業務時間を削減し、約10万円の月次コスト削減を見込みます。


資金繰りの改善策として、保有資産の現金化を速やかに進めます。具体的には、工場内の旧型包装機を200万円で、本社に隣接する遊休地を1,500万円で売却する計画です。売却予定の機械は全自動まんじゅう包装機(FUKU-PACK 55-MarkII)で、査定額は200万円です。土地は神奈川県横浜市中区福富町XX-Xに所在する150.00㎡の雑種地で、査定額は1,500万円となっております。


さらに、中小企業診断士と連携し、「ものづくり補助金」および「事業再構築補助金」への申請準備を開始します。8月末締切の公募回に申請し、採択された場合は最大1,500万円の補助が見込めますが、これは本計画の資金繰りには含めず、加点要素として捉えています。


■4. フェーズ2:未来への成長戦略(アクションプラン詳細)


緊急止血策と並行して、未来への成長戦略を実行します。


まず、EC事業を本格的に強化します。6月末までに楽天市場、Amazonへの出店を完了させ、オンライン限定のギフトセットやリピート顧客向けの定期便プログラムを導入し、顧客生涯価値の向上を目指します。


次に、ふるさと納税への戦略的な出品を行います。地元市役所との調整を進め、7月の掲載開始を目指します。ここではプレミアムラインである「福あかりまんじゅう・極」を含む返礼品セットを提供し、粗利率60%を確保した高収益な販路を確立します。


最後に、OEM生産の戦略的受託を進めます。現在、高品質な製品提供を条件に3社と打診中であり、うち1社とは試作段階に移行しています。月間ロット5,000個の年間契約の確度が高く、利益率25%を確保できる見込みです。


■5. 実行計画と進捗管理


計画の実行は、フェーズごとに担当部署と完了目標を明確にして進めます。最初の3ヶ月で行うフェーズ1では、まず開発部と品質管理部が45日以内に新商品の開発を完了させます。並行して、営業部と製造部は7日以内に不採算品の製造を停止します。広告費の最適化は営業部とマーケティング部が30日以内に、RPAの導入は経理部と品質管理部が45日以内に完了させます。金融機関との交渉は高梨社長と財務部が30日以内に、資産売却は財務部と総務部が90日以内に完了させることを目標とします。


3ヶ月後から始まるフェーズ2では、営業部とマーケティング部が60日以内にECモールへの出店を完了させます。ふるさと納税への出品は営業部が90日以内に、OEM先との契約は営業部と高梨社長が180日以内に締結することを目指します。


■6. 財務シミュレーション


金融機関からのご支援を前提とした資金繰り予測は、3つのシナリオで作成しております。計画通りに進捗する中立シナリオでは、6ヶ月後の現預金残高は219百万円となる見込みです。新商品がヒットした楽観シナリオでは245百万円に達し、一方で新商品の売上が振るわなかった悲観シナリオにおいても、初期のコスト削減策が功を奏し、155百万円を確保できる見通しです。この悲観シナリオの結果は、弊社が不測の事態にも耐えうる強固なリスク管理体制を持っていることの証明であると考えております。


以上



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