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添付‐第4話 福あかり本舗の財務状況経営状況

福あかり本舗の経営状況に関する財務


下記に示す財務三表は、「このままでは、遅かれ早かれ、必ず倒産する」という動かしがたい事実です。銀行は、この「営業活動によるキャッシュフロー」がプラスに転じる、具体的で実現可能な計画がなければ、追加融資はできないと判断する方針でした。



【財務三表】

1. 損益計算書(P/L):

下記損益計算書の内容は、本業が利益を生み出せない構造を示しています。売上があっても利益が出ず、「売れば売るほど赤字になる」という深刻な状況が読み取れます。


* 売上高: 2,000百万円。看板商品が好調で、売上自体は維持しています。

* 売上原価: 1,700百万円。円安による原材料(手亡豆等)の高騰が直撃し、原価率が85%にまで悪化しました。

* 売上総利益: 300百万円。

* 販売費及び一般管理費: 350百万円。人件費、家賃、広告費などが含まれ、コスト削減努力も限界に達しています。

* 営業利益: ▲50百万円。本業での儲けが5,000万円の赤字です。

* 営業外費用: 10百万円。銀行からの借入金の利息支払いです。

* 経常利益: ▲60百万円。会社全体の最終的な赤字額は6,000万円となります。


この財務諸表が示すのは、20億円もの売上を上げても、最終的に会社には6,000万円の赤字しか残らないという致命的な収益構造です。


2. 貸借対照表(B/S):

借金に依存する脆弱な財務体質を示しています。

この貸借対照表は、会社の財産と借金の状況を示しており、その実態は、銀行からの借入金によってかろうじて支えられている、極めて脆弱な状態です。


* 資産合計: 1,500百万円。

* 現金・預金: 100百万円。

* 短期借入金: 500百万円。

* 負債合計: 1,050百万円。

* 純資産の部: 450百万円。

* 利益剰余金: 250百万円。


会社の「現金・預金」は1億円しかないのに対し、一年以内に返済が必要な「短期借入金」が5億円も存在します。これは、銀行が融資を止めれば会社が即座に資金ショート(倒産)することを意味します。また、創業以来蓄積してきた利益である「利益剰余金」が2.5億円まで減少しているのは、近年の赤字によって先代が築いた財産を食い潰しながら生き延びている証拠です。


3. キャッシュフロー計算書(C/F):

会社の「現金の流れ」を表すもので、このキャッシュフロー計算書は止まらない現金の流出を示しています。


* 営業活動によるCF: ▲50百万円。本業によって、1年間に5,000万円の現金が会社の外に流れ出ています。

* 投資活動によるCF: ▲30百万円。古くなった工場の機械の修繕など、最低限の設備投資によるものです。

* 財務活動によるCF: +80百万円。銀行から新たに8,000万円を借り入れることで、なんとか帳尻を合わせています。


会社は、本業の活動によって年間5,000万円もの現金を失っています。それでも倒産しないのは、銀行から新たに8,000万円を借り入れているからです。これは、銀行という「生命維持装置」によって、かろうじて生きている状態です。


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