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エピローグ

 ――ムバータの亡骸は、いつの間にか消えていた。


 翌日、ディラメル館のどこを探してもシュベリとガルデンの姿が見当たらなかったため、その二人がムバータをどこかへ運んだのだろう。

 やはりあの三人は最初から悪党一味だったのだ。


 でも、奴らがどこで何を企んでいようとも、僕たち踊り子ギルドは必ずそれを止めてみせる。そう、僕の癒掌術と踊り子の身肌集中を合わせれば、向かうところ敵は――


「……ちょっと、聞いてるの? お兄さん」


 リーナさんの呼び声で僕は我に返る。


 そこはディラメルの酒場の中。昼間なので客やスタッフの姿はなく、僕とリーナさん、そしてエリスさんとユノンちゃんの四人が中央の丸テーブルを囲んで話していた。


「ご、ごめん、何の話だっけ?」


「今後のディラメルの運営についてですよ。支配人がいなくなったので、どうしようかという話です」


 ユノンちゃんが厳しい声音で言う。


「ああ、そうだったね。でも、別にこれまでと変わらずに踊り子ギルドとしての活動を続けていけばいいんじゃ……」


 次はエリスさんが口を開く。


「踊り子ギルドとしてのディラメルだけじゃなく、酒場としてのディラメルの経営もどうしようかってところが難しいんだよね」


「な、なるほど」


 そうだった。ムバータはギルドマスターとしてだけではなく、酒場の経営者としての立場も兼務していた。両方を司るヘッドがいなくなったため、エリスさんたちは現在宙ぶらりん状態。


 だったら酒場部分の経営は終了すればいいんじゃないかと思ったが、かなり客たちに人気がある店だからそう簡単には閉めれないらしい。それに僕自身もステージの上で踊るエリスさんたちの姿はこの先も見ていたいというのが本音だ……。


「お兄さん、やってみたら?」


 エリスさんがにこにこしながら提案してくる。僕は全力で首を振った。


「いやいやいや! 無理無理無理! 僕にはそういうの向いてないよ! それに僕はクエストに同行する立場だから、ここにいないことの方が多いかもしれないし」


「前半は分かりませんが、後半はその通りですね」


 ユノンちゃんが顎に手を当てて考え込む。


 さてどうしよう……。

 全員が沈黙し始めたとき――


「だったらその役目、この俺が担うぜ!」


 威勢のいい叫びとともに、酒場の両開きの扉がバーンと開いた。


 陽光を背に現れたのは、黒鉄の鎧を身に纏い、自分の背よりも長い大剣を担いだ長身の男。


「ジェドー!?」


 リーナさんが驚きに跳ね上がる。

 アシェ村で出会った便利屋の男――というかスケベおやじ――ジェドーさんだ。


「あんた、なんでこんなところにいるのよ!? って毎回言わせないでちょうだい!」


 リーナさんの言う通り、毎度毎度予想外の登場をする人だ、この人は。


「ジェドーさんが、ディラメル館の支配人になるってこと?」


 全く動じていない様子でエリスさんが小首を傾げる。


「ああ。困ってるんだろ? 困ってるならこの便利屋ジェドー様の出番ってわけさ。いろいろやってるからギルマスだろうが酒場の運営だろうがお手の物よ」


(無駄に経験だけは豊富……!)


 いやしかし、僕としてはひとえに拒否できない理由があった。


「ま、まぁいいんじゃないかな。僕はジェドーさんでいいと思うよ。ほかに候補もいないわけだし」


「はぁ!? 本気なのお兄さん!」


 がしっと腕を僕の首にかけてくるジェドーさん。


「よくぞ言った、青年! 消去法的な言い方が気になるが、見る目あるぜ!」


「いたた……」


 いつもふざけた態度の人だが……ジェドーさんはディラメル館に渦巻く怪しさにいち早く気付いていた。便利屋ゆえになんだかいろいろ知ってそうだし、割とマジで頼りになりそうな人だ。


「エリスは賛成! 全然知らない人がいきなり支配人になるより、ずっといいよ」


「マジ!? ユノンはどうなのよ!?」


「私は別に誰でも……」


 リーナさんは額を抑えて深くため息をついた。


「はぁ……終わった……」


「決まりだな! ちなみにクエストだが、俺が今までやっていた便利屋稼業も取り入れたくてな。モンスター退治以外の頼まれ事も、サブクエストとして受け付けていこうと思う。どうだろう?」


「なんか楽しそうだね、エリスはいいと思うよ」


「踊り子がやることかどうかは疑問ですが……役に立てるのであれば」


「まぁいいんじゃない? 気分転換になりそうだし」


 三者三様のリアクションを受け取ってから、ジェドーさんは腰に両手を当てて高らかに声を上げた。


「よし! じゃあそういうことで――新生ディラメル館、発足だ!」


「……おー! とかは言わないわよ」


「ノリ悪ぃなおい!」


「はは……よろしく、ジェドーさん」


 そんなこんなで、新メンバーを加えて、僕たちの新しいディラメル館がスタートした。


 ……そういえば、まだ会っていない他の踊り子はどんな人がいるんだろう?


 そのへんの期待も込めて、僕は新たなディラメル館の門出に胸を躍らせた。

これまで本作を読んでくださった皆様、本当に本当にありがとうございました!


本作はこれにて完結となります!


目標としていた総合評価ポイントに届かず、打ち切りのような形になってしまったのは、ひとえに私の力不足のせいです!(ToT)


この先の展開を楽しみにしてくださった方々、本当に申し訳ありませんでした!m(_ _)m


少しの間でしたが、皆様と一緒に踊り子の世界を旅できて、私としても楽しいひと時でした。


重ね重ね、今までありがとうございました!m(_ _)m

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