表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
<R15>15歳未満の方は移動してください。
この作品には 〔ボーイズラブ要素〕が含まれています。
苦手な方はご注意ください。

熟れ落つ果(うれおつかじつ)

作者: T.Wlin

正直、近○相姦とも取りかねない表現があります。

そういうことが苦手な方は、絶対お読みにならないでください。

またそういうダークさ満載です。

ご注意下さい。

~この親が落とそうとしない果実を僕がもいで口にして

種をその根方に落とした。

だって、この木がこの種を離したがらないからさ~


その日はひどく冷たい雨だったせいか、

起きるのが惜しかった。

でも、もう時間だ。

「今日はどうする」

「もう家に帰るよ」

「そうか」

そう言って相手も身支度を始めた。

50がらみになろうかという男性だが、

その欲はまだ絶えていない様だ。

この人の講義が聞きたくて、この人が知っている

わたしの母の姿を知りたくて近づいた。

紳士的な付き合いのはずだった。

しかし、椅子に座り、傍に耳を傾け、

それが夜にまでなると・・・

寝そべるしかなかった。

相手は特段傍らに寝る人のない年月。

わたしは、懐かしさをかき寄せたくて

共に寝た。

それがどういうことか、

寝乱れたシーツのしわに落とされる

汚れからわかるだろう。

そういう関係だ。

しかし、近頃様子が変わった。

以前ほど、わたしに執心しなくなった。

もともと淡白だといえば、淡白だったが

“なにか風向きが変わった”


「それで、どうだったんだい」

「あんまりよくなかった」

「こんなこと続けていていいと思う」

「よくないだろうね」

苦笑いして見た顔もまた苦笑いしていた。

幼馴染、もう一人の相手。

わたしの憧れだった。

兄弟がいなかったし、

それをみてかやさしくしてくれた

兄のような人だった。

やがて、わたしが両親をなくし

彼の街を去るときの寂しさ、

なんとも言えなかった。

そして再び彼に会った時、

彼もまた家族を亡くしていた。

養子に入った先の勧めで

同じ学校で学び、

そのついでに下宿をしている内に、

こういう関係になった。

仕事をし始めた今もそのままに。

若い彼との関係は、

思う様。

彼が穿つものをすべて

わたしが受ける。

なぜか、抱く気にならなかった。

兄だから?それとも・・・


ひそひそとささやかれる

下世話な話。

「あの卒業生、実はさ・・・」

耳をそばだてる気なんて特になかった

「教授の実の子だから、引き取られたらしいよ」

そんなのいいかげんな話じゃないのか

「それに、母親そっくりだっていうじゃないか」

母親?

ああ、たしかに以前勉強机の傍にフォトフレームがあった。

彼によく似ていた。

「教授、あの卒業生の母親と付き合っていて

なんかあってダメになって、

別れたらしけど、

相手の女性すぐに子供を産んだって」

運命の奇宿なるところかな!

それゆえに養子に。

罪の深さか、それとも・・・

わたしが愛した相手は、

わたしの知らないところで

密やかな想いを抱いていたというのか?

嫉みよりも意地の悪い考えが浮かんでくる。

なぜって?

だって、彼が乱れる姿なんて

上等じゃないか!


マホガニーのテーブルに

供された食事を一通り頂いて、

いつもの部屋に落ち着く。

いつもなら、口付け愛撫と

来るところだったが、

今日は趣向を変えた。

「ここのところ、どうも

乗り気じゃなかったようだったから

お土産を持ってきたよ」

「なんだい」

苦笑したしわ一つ一つ、

愛しいよ。

だからあげるよ

「きっと喜んでくれるだろうと

思ってね」

わたしは部屋の片隅のクローゼットを開いた!

彼が見開いた目には、

椅子に縛り上げられた人が座っていた。

「な、なんだね!これは!!」

「あなたが望んでいたもの。

わたしよりね」

口に布のハミ、目隠し、耳栓。

「ああ、あなたの声は届いてないよ」

「しかし」

「遠慮はしないでよ。

だって、わたしも楽しみだったんだから」

ごろんと椅子から転がし、後ろでの縄は

切らずに晒した。

「ボナ ぺ ティ!

どうぞ“召しあがれ”」

ふぁさっと彼と同じ色の髪が

シーツの上で音を立てた。

彼が振るえ、怒りともなんともつかない

有様だったから、背中を押してあげた。

「どうせ、わかりやしない」

耳たぶに口付けを落としてあげたら、

彼の食指も動いた。

自分が愛した女性と同じ姿の

“養子を抱く”

いいねぇ。

乾いた唇が湿っていく。

縛り上げられたお土産も、

どうやら“お届け先を気に入った”のか、

低くうめきながらも、

快感を欲していることに

わかりやすく反応していた。

こんなにわたしも

おいしそうな光景見たこと

あっただろうか?

いや、ないね。

じゃなきゃ、こんなに高揚しないからね。

気持ちも体も。


悲鳴の内容が変わってくる。

嫌でたまらない、罪深いことだと

叫んでいたのが、

素直に欲しくて、嬉しいと

鳴いている。

わたしを舐る唇の柔らかさと、

息の潤い。

気持ちイイ。

もっと、もっとしていて

いいよ。

あなたも、君も。


~落ちた種はこれからもその木の

根方で芽を伸ばす。

わたしはせいぜい

水をくれてやるぐらいかな?~


【終】

【萌えカス】

ある話の挿入として書こうとしていたものだったのですが、

ちょいとだけどうしようかと迷い、ひとまず先に

発表してみました。


なんかどす黒くて書いているわたしも

うへぇ、やだねーって思いながら

書きました。


仕業をしかけたりする欲って案外一番

えげつなくて汚くてごもっともなような

気がしています。


もしこの話を映像化するならば

仕掛けた彼が一番涼しい顔をしていて、

仕掛けられた男性がよくいる知的な紳士、

仕掛けられた若い男が、静かに見えて

情熱的ならば、

見栄えがするような

気がするのですがいかがでしょうか?




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ