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「聞いてよ、クロウさん!
今日さ、新参者のダンジョンマスターと話したんだよ。
あっちがさ、相談したいことあるって言うから、時間とってやったのに、めっちゃ失礼な女だった!
そうだ、やっぱクロウさんが言った通りの女だったよ。
王都を追い出された公爵令嬢。」
「そう」
「でさ、キメラ化すること、すんげー責められた!
個人の意思を踏みにじってる!って!
可笑しくない?街侵略してるヤツの言うことじゃないよね!」
「そうだね。そう言えば相談の話は、どこからきたんだい?」
「あー、あいつのサポート係から。
名前は忘れたけど」
「ふーん、それで君は言われっぱなしだったのかい?」
「まさか!
俺のダンジョンの隣が公爵領だから、のっとるって言ってやったよ!
そうしてら、顔が真っ青になってやがんの、アイツ!
侵略した時のアイツの顔みたいからさ、これから準備するつもり!」
「そうかい、それは楽しみだね。
楽しみの邪魔をするのは忍びないから、ここいらでお暇するね」
「うん、クロウさん、またいつでも来て!」
「またね」
クロウと呼ばれる人物は、ユウタのダンジョンを後にした。
ふと、思った。
サポート係がユウタと公爵令嬢を引き合わせたのは、このためだったのでは?と。
公爵令嬢にダンジョンエリアの拡大をしてもらうため。
だが、
(ダンジョン同士をぶつけさせようなんて、随分と酔狂なことを考えるヤツもいたもんだ。
しかし、何のために?
魔界にメリットがあるのか?
まぁ、どちらでもいい。
大胆な方法をとるヤツは、嫌いじゃない。
そのサポート係とも連絡を取りたいなぁ。
きっと僕は、サポート係の役にたてると思うし!)
「これからが、楽しみだなー。」
クロウはスキップしながら、ダンジョンを後にした。
○●○●
とある電報
王妃の命により、王都の部隊を伯爵領に送る。
一月もすれば、到着する見込み。




