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「それではユウタ様、日程については調整次第ご連絡いたします。
改めて、お引き受け頂き誠に感謝申し上げます。
それでは、失礼いたします。」
ワイズは、とある人物に連絡を取り終えた。
「ふぅ〜、やれやれ。
何でこんな面倒な事しなければならないんだ。
それもこれも、レベルが上がらなかったせいだ」
ワイズは、一人きりのオフィスで悪態をついた。
エマに発破をかけて、街を一つ侵略したまでは良かった。
そこから、街の住人全員を追い出すことをしなかったのは頂けない。
お陰で想定よりもレベルが上がらなかった。
というか、今回のダンジョンレベル上げの功労者は、ワイズと言っていい。
ワイズがこっそりとゲイルと兵士を街から逃がしたことで経験値を獲得した。
さらに、経験値に変えられそうな物を血眼になって探し、どうにかこうにかレベル20まで上げたのだ。
「あ"ーっ!!元の部署に戻りてぇ!!
何で俺がこんな面倒なことをっ!!」
実はワイズは、元々は別の部署にいた。
だが、ドラゴン・テイル国内ダンジョンの納税量が芳しくなく、上司にどうにかしてこいと異動を命じられたのだ。
「あのクソ上司、覚えてろよっ!
ハゲてしまえー!!
いや、その前に俺が心労でハゲそうっ!!」
これだから下っ端は、嫌だとボヤキながら頭をガシガシと掻きむしった。
「外まで声か漏れてるわよン、ワイズちゃん。」
「あっ、バーニーさん、お疲れ様です」
「お疲れ様ン、ワイズちゃん。
これ、ワイズちゃん宛の郵便物よン。」
「ありがとうございます。」
「部署が変わっても、相変わらず忙しそうねン」
「ええ、まぁ。
なかなか思うように事が運ばなくて・・・。」
「人生ってそういうモンよン。
思い通りに事が運ぶことの方が少ないんだからン。
元気だしてねン。」
「そうですよねぇ。」
「何か力に慣れる事があれば言ってねン」
「ん〜・・・そう言えば、バーニーさん。
そろそろ仕事の契約期間が切れるって言ってましたよね?」
「そうなのよン。
まだ次の仕事が決まってなくて困ってるのよねン。」
「へぇ・・・バーニーさん、ダンジョンに興味ありませんか?」




