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「き、来たぞーっ!!」
兵士が警鐘を鳴らし、高台からモンスターに向かって弓矢を放つ。
普通の弓矢では全く効果がない。
「油を撒けっ!」
「火を放て!」
ウッドウォールが燃え始める。
「よしっ!この調子でっ・・・嘘だろっ!?」
燃え広がるはずが、急激に炎の勢いが弱くなり沈下した。
「どうなってるんだっ!?」
「炎耐性のあるモンスターなのか!?」
「どうすれば倒せる!?」
「知るかっ!」
「もう街の目の前だぞ!」
「と、投石だ!何でもいい、攻撃しろ!」
混乱、怒号。
少ない兵士でどうにか街を守ろうと四苦八苦している。
こんな辺境の地にいる兵士がモンスター退治などしたこともなく、戦い方など満足にしらない。
普段は飲んだくれ同士のケンカの仲裁が関の山。
本格的な戦いをこの地でするなど予想打にしていなかった。
それでも街を守ろうと全力を尽くす兵士には敬意を評さねば。
しかし、モンスター達はそんな兵士のことなどお構いなく、ゆっくり大きく前進する。
歩みを止めることはない。
エマの号令なくして、止めることなどあり得ない。
兵士達の奮闘虚しく、モンスターは街に入ってきた。
槍で突こうが石を投げようが、兵士に構うことなく、苗木を植え続ける。
ロープを使いどうにか兵士数人で『ウッドウォール』を転ばせたと思えば、兵士は急に体が重くなり始めた。
どこからともなく笛の音が・・・。
そう気がつく頃には、夢の中。
頼りになる兵士も総崩れ。
止める術を持たない街は、日が昇る頃には森と化した。
つまり、ダンジョンエリアに組み込まれたのだ。
最後尾のエマが到着する頃には、全てが終わっていた。
「呆気なかったわね」




