16
エマはモンスターの召喚を終わらせ、街まで歩みを進めるモンスターの最後尾にキールと共についた。
エマの侵略構想はこうだ。
大木の姿で根が足に、枝が手となっている防御特化型のモンスター『ウッドウォール』。
このモンスターにエリアの苗木を植えてもらいながら、街をダンジョンエリアにするというものだ。
とはいえ、街からの反撃もあるだろう。
召喚されたモンスターは、ダンジョンのレベルがそのままモンスターのレベルとなる。
一般的な街に在中している兵士たちのレベルは20くらい。
普通ならば、召喚されたモンスターはすぐにやられてしまっても、おかしくはない。
だが、『ウッドウォール』は防御特化型。
攻撃力が低く動きも遅いが、防御力は高いためレベル20程度の兵士では、数人集まってようやく1体倒せるくらいなのだ。
そして、木の弱点となる火の対策として、水の精霊『ウンディーネ』を『ウッドウォール』と一緒に行動させる。
『ウッドウォール』の葉の中に隠れながら、火が放たれた場合は『ウンディーネ』が消火活動を速やかに行う。
さらに、『ウッドウォール』の接近戦の補助役として『森の笛吹き』。
このモンスターの笛の音を聴いたものは、眠ってしまう。
これで兵士の無力化をはかる。
また、ダンジョンエリアを速やかに広げるために、『エリアの苗木』の成長をぐんと速める『森の踊り子』を召喚した。
このモンスターにより苗木を急成長させ、1本あたりのエリア範囲を広げる。
少ない苗木で効果的にエリアの拡大を行う。
どのモンスターも攻撃力はほぼない。
真っ向勝負を捨てた侵略特化型の力技。
エマは、『ウッドウォール』に乗りながら、成功を祈った。
大丈夫、兵士を無力化し、ダンジョンエリアにしてしまえば、こちらのもの。




