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ゲイルは今か今かと兵士と獣人が来るのをソワソワしながら執務室で待っていた。
コンコン
「入れ」
「失礼致します」
「ご苦労だったな。結果はどうだ?」
結果など聞かずともわかっている。
緩みそうになる口元を引き締め、真剣な表情をつくる。
「それが・・・・獣人たちの集落があったはずの場所が密林となっており、さらに不思議な魔法により進むことができませんでした。
そのため、獣人と会うことすら叶わず、連れて来れませんでした。
申し訳ございません!!!」
「な、何!?
意味がわからない!
密林?
ここは砂漠地帯だぞ!
木の一本だって生えやしない不毛地帯だ。
何を馬鹿なことを!
お前はクビだ!
他の兵士を呼んでこい!」
ゲイルの感情は急転直下。
他の兵士を呼び出しても同じことを言うばかり。
集団幻覚でも見たのか?
獣人は魔法が使えない。
ならば、王都から追放されたと聞く公爵令嬢の仕業か?
とにかく、朝一番でまた兵士を向かわせ、今度そこ獣人達を捕まえなければ。
☆★☆★☆★
ゲイルが報告を受けている頃
「キール、状況は?」
「『ウッドウォール』が、30体。
『森の踊り子』と『森の笛吹き』は、10体ずつ。
『ウンディーネ』は、5体の召喚が完了している。
『エリアの苗木』は、ダンジョンエリア端から街までおおよそ50キロのところまで植栽も進んだ。」
「全体的にモンスターの数が少なすぎるわね。
あと2倍の数は欲しいわ」
敵は、街の兵のみにあらず。
時間との勝負。
もしゲイルが怒りに任せ、兵をすぐに送っていたならば、事態は大きく変わっていただろう。
少なくとも、簡単に侵略されるような事にはならなかっただろうに。