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「主、ダンジョンエリア端の監視花の映像に兵士の姿を確認した。」

「数は?」

「16人」

「まあ、そんなものね。

集落の皆はすでにダンジョン内に避難している?」

「ああ、完了している。」

「よかった。

じゃあ、防衛魔法の機能検証といきましょうか」


エマとキール、それにワイズはダンジョン内から監視花の映像を優雅に紅茶(街で叩き売りされていた安物!)を飲みながら見ることにした。


☆★☆


「おい、なんで砂漠の奥地がこんな鬱蒼とした森になってんだよ。」

「いつからだ?」

「増税の連絡しに行った兵士からそんな報告受けてない。」

「どう考えても、育って数年の木じゃねえぞ。

数十年前から植わっている木だ」

「どうなってるんだ?」


ゲイルの命により、兵士達は砂漠の最果てに住むハヤブサの獣人の集落までやってきた。

納税していない彼らを捕まえるように命じられていた。

もちろん、兵士達は獣人がどうなるか理解していた。


目的地は間違えていないはず。

だが、想像をしていた砂漠地帯ではなかった。

鬱蒼とした密林。

奥深くを全く見通すことができない。


それもそのはず。

『エリアの苗木』は『成長の水』を与えることで、驚くほどのスピードで成長する。

たかだか数日前に植えた苗木でも立派な大木になるのだ。

もちろん、『成長の水』を使えば、一般的な植物も立派に育つ。

だから、木々の根元には雑草が茂っている。

すでにダンジョン周辺は砂漠とは無縁の場所に変化していた。


兵士たちは困惑した。

どう考えても、引き返して報告をした方がいい。

だが、そんなことしたらゲイルの逆鱗に触れて、自分たちが戦地に送られる。

それだけは避けたかった。

そのため、彼らは進むという選択肢しかなかった。


「行くぞ」


兵士たちは、重い足取りで密林へと踏み込むことにした。

そこが、ダンジョンエリアだと知らずに。


☆★☆


密林を進むと、少し開けた場所にでた。

不自然に看板が立てられている。


『奥に進みたくば、10分以内にこのエリアから四葉のクローバーを見つけ出すこと。

四葉のクローバーを持つものだけが、奥へ進むことができる。

見つけられなければ、1年間侵入が不可能となる。』


「なんだ、この看板?」

「四葉のクローバーを探せって、なんだよ?」

「おい、奥に進めないぞ。

透明な壁に阻まれている」

「つまり、探すしか無いのか」


解決の糸口はこの看板のみ。

仕方なく、兵士たちは自分の足元に目を凝らすことにした。


その様子を監視花を通して、エマたちは見ていた。


「これは簡単すぎるのではないか?」

「一日中ずっとならば可能でしょうけど、制限時間は10分。

結構、運頼りよ。」


これがエマの魔法である。

エマは炎や水を出すような魔法は一切使えない。

その代わり、条件魔法という特殊な魔法が使える。


「これをクリアすれば、あれが可能となる。クリアできなければ、とある行動が制限される」等条件付けをし、クリアした場合は恩恵を、クリア出来なければ制限を、というものだ。

普段は活用に難点がある魔法だが、ダンジョン内に侵入させない、という点では頼もしい魔法だ。


今回用意した条件魔法は、三つ。

第一に四葉のクローバーを見つけろ。

第二に水さしいっぱいの炭酸水を一気飲みした上で、1分間ゲップをしないこと。

第三に、大盛り超絶激辛マグマラーメンを完食すること。


街に買い出しに行ったキールも頭を傾げるわけだ。

ちなみに、超絶激辛マグマラーメンは、キールお手製だ。

兵士が食べられなければ、超激辛党のエマが美味しく頂く予定となっている。


できそうでできない。

それぐらいならば、エマの魔力で可能な範囲なのだ。

反対に、肉体の性別を一瞬にして変えろ、などという実現不可能なものは条件とするのは難しい。

もちろん、魔王とも言えるような魔力を所持しているのならば、可能なのかもしれないが・・・。


さてさて、兵士たちは先に進めるのだろうか?


☆★☆


「おい、見つかったか!?」

「あっ!違った。くそっ、これも三葉だ!」

「本当にあるのかよ、四葉のクローバーなんて」

「去年の娘の誕生日に露店で買った四葉のクローバーの押し花のしおりをあげたから、あるんだろうけど・・・・・」


10分経過。


「あらあら、誰一人先に進めなかったわね。

次のエリアに数名は進むと思っていたのだけれど」

「いきなり四葉のクローバーを探せって言われても、な」

「うまく意表をつけた、ということね。

兵士達も帰っていくようだし、次はこちらのターン。

街を侵略するわよ。

キール作戦通りに!」


「了解した。

しかし主、本当にあのラーメンを食べるつもりか?」

「もちろん、食べたくてウズウズしてたわ!」


キールは、頬を引き攣らせた。

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