09
残り10日を切ったところで、目標だった集落の先までダンジョンエリア拡大は完了した。
エマは、キールとワイズを連れてダンジョンエリアの端までやってきた。
「順調ね。」
「主、今更のことだが、集落の彼らを使人として招くのは、もっとギリギリでもよかったのではないか?
そうすれば、今まで通りダンジョンの経験値が入った。
ダンジョンレベルを上げれば、それだけ彼らの安全性も担保される。」
ワイズも頷いた。
「エマ様、これからダンジョンがここにあると知らしめることになるのです。
知られる前に少しでも多くの経験値を獲得しレベルをあげれば、攻略も難しくなりダンジョンの存続をより確実にしますよ。」
「ええ、確かに。
効率性を考えればそうでしょうね。
だけどね。
少しでも早く彼らの不安を取り除き、安全な場所を提供することこそ、大事だと判断したの。
これから行うのは防衛戦かつ籠城戦。
民の士気が大事となる局面。
まず、言葉よりも行動を第一にするべきと思ったの。」
「なるほど。
すでに戦いは始まっていたということか。
それで、君の防衛能力については、先日説明してくれたから、今回はうまく撃退できると思う。
が、万が一のことをがある。
ダンジョンの内部も防衛機能を持たせた方がいいのではないか?」
「そうね。
ならば、それはキールに任せるわ。
1階をダンジョンの防衛に。
2Fを彼らの住まいと会議室のような皆で集まる場所を設けてちょうだい。」
「了解した。マナはどれだけ使用していい?」
「決戦日、マナタンクが満タンであればいくらでも」
「心得た。」
あと数日で、彼らの初めての防衛戦が始まる。
△▲△▲△▲
イワンは、いつもの新聞配達の後に大人達に混じって苗木を植え始めた。
朝から夕方まで大人も子どもも苗木を植え、気がついたら集落の先まで植わっていた。
ありがたいことに給金はちゃんと植えた分だけ増え、今では数カ月は働かなくて済む程度の蓄えとなった。
とは言え、500テイルの税金を納められるほどはなかった。
だが、遠くへ逃げるという選択肢も出て来たというのも事実。
大人達は当初、今ならここから逃げられる、逃げるか?等コソコソと話していた。
だが、今ではそんな話は出てこなくなった。
残念なことにエマの人望によるものではない。
ダンジョンの力を知ってしまったからだ。
苗木の仕事を始め、最初に植えた苗は、すでに大人達の背丈を超えていた。
そして、昨日植えた苗は今日になると、しっかりと地中に根を張り、引っこ抜くのは困難となっていた。
こんなこと、あり得ない。
自分達は恐ろしい力の配下になったのではないだろうか。
そう考えずには、いられなかった。
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