第4話『未知との遭遇』
屋上の真ん中に書かれた魔法陣を中心に、透也・孝介・賢治・淳一の4人が声を出し呪文を唱えている。
一同「ベントラベントラスペースピーポー」
しばらくして動きが止まる。
孝介「ねえ、こんな事してて本当にUFO来るの?」
淳一「考えるな。感じるんだ。」
賢治「それなんか違くない?」
透也「て言うか、トイレの花子さんの方が気になる。」
孝介「気になる、で思い出したけど、気になる番組の最終回。留守録、ちゃんと回るかなあ~。」
勢いよくドアを開け、屋上に入ってくる担任。
担任「ごらぁ! こんな時間にこんなところで何やってんの!」
孝介「あ、行き遅れ先生。」
担任「なんやと?」
淳一「いや、ちょっと、部活を。」
担任「お前オカ研やろが。でなんで映像研もおるんじゃ?」
賢治「いや、共同作業として。」
担任「今何時だと思っるん? はよ帰り!」
ちょうど担任の背後の空に光る点がゆっくりと、また奇抜に動いて接近してくる。
一同「え? あれ?」
担任「何言っとる! はよ帰りーな!」
ちょうど担任の背後にズームアップしたかのように大きくなる。
一同「え? ええーっ!」
担任「何驚いてる。うるさいし近所迷惑だ。」
一同「先生、後ろ! 後ろ!」
担任「なにそんな昭和の古いギャグ言ってんの。だまされるわけないでしょ!」
一同「先生、後ろ!」
担任の背後の光が拡大し、担任が光の飲み込まれる。
担任「え? は? ええー?」
一同「えーっ!」
衝撃のあまり透也孝介賢治淳一の4人、非常階段へと逃げ出す。
非常階段から廊下
走って叫びながら逃げる4人。
隠れる場所を探して、とある部屋に逃げ込む。
そこは開かずの女子トイレであった。
開かずの女子トイレ内
息を整える一同。
孝介「はあはあはあ、先生置いてきちゃったけど大丈夫かな?」
賢治「カメラ、回ってたかな?」
孝介「そんなもん、心配するな!」
淳一「おお、これぞUFOとの接近遭遇。すばらしい!」
孝介「でもやばいな。行き遅れ先生が宇宙人に捕獲されてしまった。やばいな。
助けを呼ぼう! 警察!」
携帯をかける孝介。だが指が震えてうまく扱えない。
孝介「ちがーう! 押し間違いだ! あーん、もう! なんでこうなるの?
もう、いやだー! 誰か助けてよ!」
声「助けて。」
孝介「わかってるよ、今助けを呼んでんだよ!」
声「助けて。」
孝介「わかってるってば!」
声「助けて。」
孝介「あーんだよ、うっせーな!」
電話をかける孝介の背中を指で叩く賢治。
孝介「なんだよ、こっちは助けを呼んでんだよ!」
振り向くと、透也賢治淳一の3人が指を刺して固まっている。
その指の先に光に包まれた人の姿が。
孝介「は?」
声「助けて。」
固まる一同。
透也「は、花子さん? トイレの、花子さん?」
孝介「待て! 誰か来るぞ!」
淳一「おおっ!」
誰かの視点
ゆっくり非常階段から歩く視点。
廊下から繋がる開かずの女子トイレに近づく。
ここかと場所を確認した動きの後、勢いよく中に入る視点。
だが、誰もいない。
どこかの一角
息を切らす一同。
孝介「はあはあはあ、いったいなにがどうなってるんだ。」
透也「思わず勢いで連れてきてしまった。」
透也が思わず花子さんの手をつかんで連れてきていた。
4人の目の先に、妖精のような人影ー花子さんが。
全員驚いて飛び離れ、お互いの顔を見合わす。
賢治「(カメラを回しながら)って、誰? この人? スクープじゃん!」
淳一「おおーっ! まさに異種生命体との接近遭遇? これぞオカ研の本懐!」
孝介「どうする?」
透也「どうしよう?」
花子さんの寂しげで困った表情。
淳一「どうする?」
賢治「どうしよう?」
孝介「このままは女子誘拐で逮捕されちゃうんじゃ?」
淳一「でも、幽霊誘拐って、犯罪になるの?」
透也は思わず花子さんをじっと見つめる
透也「花子さん、本当にいたんだ。あえてよかったよ。」
花子「助けてください。」
透也「助けてって、いったい何から?」
花子「私を助けてください。私はストーカーによって命を狙われているのです。」
淳一「ストーカー? あのUFOの事かな?」
孝介「行き遅れ先生も、あのストーカーUFOにつかまっちゃったのかな?」
花子「まずは私と契約してください。そして一緒に行動しましょう。」
孝介「私と契約? なんか魔法少女みたいだな。」
透也「(ぐいぐいと)で、どうすればいい? 花子さん!」
花子「私と契約した者は、常に一緒に行動します。そして。」
バーン!
すごい大きな音がする。
ドアの方向を見る一同。
そこには今までと違う雰囲気の担任が立っていた。
担任「ごるおおお~。」
賢治「え?」
淳一「あ?」
孝介「先生?」
花子「ストーカーです!」
透也「え?」
孝介「いや、行き遅れ先生だよ。UFOの宇宙人にキャトルミューティレーション
されなかったのかな?」
淳一「いやそれ、違う。」
担任「ぐおおおおー!」
孝介「あれ?なんかいつもと違う?」
透也「凶悪なとこは変わってないんじゃない。」
担任「きしゃーっ!」
(花子を狙って)襲い掛かる担任。
孝介「先生、なにやってるんですか?」
淳一「ちょ、抑えろ!」
賢治「え? セクハラにならんか?」
担任「きしゃーっ!」
賢治「なんないな。」
暴れる担任を抑える賢治と淳一。
賢治「ここは俺たちに任せて彼女を連れて逃げろ! って映画みたいだ~。」
淳一「俺の屍を乗り越えていけー! 一度行ってみたかったんだな。」
花子さんをひたすらかばっている透也。
孝介「行くぞ! 逃げよう!」
逃亡する透也、孝介、花子さん。




