64 動き出す仲間達…
俺達は王国上空に現れた禍々しい存在に気付き仲間がいるホテルへと向かった…。
到着すると、コタース達が待っていた。そして。
「やっと来たでござるな!」
「仁さん!?」
「久しぶりだな!ルイスよ!」
「おまた~っ!んっまぁっ!見ない間にまた逞しくなっちゃって!アタシのタイプよ!タ・イ・プ!ってそれよりも~!あれはいったいなんなの?!」
仁さん、ルシルさん、ファデューさんが居た。そして、上空にホーエンは微動だにもしなく、未だにただただじっとしている。
「ルイスどの。あれが例の?!」
「ああ…俺の育ての母親を操っているかもしれない、女神崇拝教のホーエンっていうやつだ!」
「やっぱりそうか!女性のわりに言動がおかしかったんだよなぁ~!!」
俺は上空を見る…。
「今はまだ何かをしようとする動きが見られないが…」
俺はとりあえず、クリステル達を見る…。クリステル達も色々な不安が貯まってるのかしゃがみこんでいる…。
「その…。さっきはありがとう。お前達がいなかったら俺は負けていたかもしれない…。」
「ルイス…」
「兄貴…ごめんね…」
「お兄様…」
そしてスルトは…。
「あれが… 我の母… なんでなのじゃ!!どうして我の母親が!!」
「大丈夫だよ。俺が必ず助ける!あの人は俺の育ての母親でもあるんだから!」
「記憶が封じ込められていて分からぬのじゃが… 胸がいたいのじゃ!!」
スルトは俺の胸の中に顔を埋める…。
「仁さん。仁さんの他の仲間は?!」
「拙者の仲間達なら既に王国外で戦闘の準備をしてるでござる!拙者達、忍者は数はすくないでござるが皆、凄腕の方ばかりでござるよ!」
仁さんは「ははは!」と高笑いをする。
すると後ろから聞き慣れた声も聞こえてきた。
離れてからそんなに月日も経っている訳じゃないけど、とても懐かしく感じた…。
「よう~っ!!勇者様に大聖女様!!」
「久しぶりだな!勇者様!」
そう…。メルドアの街のギルマス…アドバンと冒険者のガッシュだった!
「久しぶりだな!っていうか勇者様はやめてくれ…はずい…」
「お久しぶりです!」
「あ~!アドバンさん!!お久しぶりです!」
「ははは!相変わらず謙虚だなぁ~おめぇはよ~!それにしてもルイスが勇者だったとはなぁ!それにヒナルちゃんも大聖女だったとは!」
「俺もビックリしたぜ!!今度は俺が勇者ルイスを助ける番だぜ!この俺のバトルアックスが唸るぜぇ!」
「そういや~、クリステルの嬢ちゃん達も… あの偽勇者に操られていたんだってな?」
「えぇ… 申し訳ありませんでした…」
「気にすんなって! 操られていたんだってな!自分の本心じゃあ~ないんだからしゃあねーよ!」
「…」
「ごめんなさい…」
「はい…」
3人とも謝る…。たしかに操られていたのは仕方ないけど、その姿を見ると痛々しく感じる…。
「だから、ルイスも傷つく気持ちは理解できるけどよ?少しずつ嬢ちゃんを信用してやってもいいんじゃねぇか?」
「…」
うん…。とは今は言えないけど。いつか…。
にしても、アドバンもガッシュも…、二人ともありがとう…。
「メルドアの街の冒険者をある程度連れてきている。本当は全員連れてきたかったけどメルドアの街も教われたら大変だからなぁ~」
「でも俺達や100人以上の腕がたつ仲間もいる。安心して雑魚は任せておけ!」
二人は意気投合して肩を組み合っている。
「街の方は~っ、フィリシアさんや~っ、騎士団ミランダと~、ミランダのお父さん達もいるよ~っ!後、ウチのラビット軍も来てるよ~っ!」
「ありがとうコタース!こっちもいつでもいける!」
「ルイスどの、拙者達はスザクと一線交えるでござる…。それだけはやらして頂きたい…。ヒョウ一派とモンスターの軍勢と一緒にこちらに共進してきているでござる」
「仁さん…」
「ああ!そっちに関しちゃ~俺がいるから問題ねぇ!!」
「フフフ!こっちはアタシ達に任せて~、ルイスちゃんはこの現況を作り上げた張本人をズバッとやっちゃってね~!アタシも応援してるからぁ!」
「ありがとう… 仁さん、ルシルさん、ファデューさん…」
俺は彼らの顔をそれぞれ見ながら頷く。
「それじゃあ皆、配置に就こう!!」
………。
……。
…。
~ホーエン視点~
アレックスがいとも簡単にやられた…。
何が起こっている…。
ルイスが勇者として覚醒したのか?取り戻せる筈がないが…。でもここ最近のルイスの動きを目にしてきたが…やはり、あれは勇者だ…。
忌々しい勇者め… またワシの邪魔立てをするつもりなのか!?
小賢しいわ…。
ワシは瞑想をする。何が勇者の力を目覚ましたのか…。
向こう側からかすかに聖女クラスの… とても大きな聖女クラスの力を感じとる事ができる…。
(まさか大聖女が現れたのか…?)
だとすれば、こちら側の不利になる可能性がある…。
まず先にソレを伐たねばならぬ…。ワシの邪魔だけはさせぬ…。
ワシはゆっくりと目を開けてソレがいる方向へと足を向ける。ラグナログがこちらに来る前にはなんとしてもソレを始末させんとならん…。




